水口栄一のブログ

私が創作活動を始めたのは木枯らし紋次郎の生みの親である笹沢左保先生との出会いがきっかけでした。

魔術

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魔術(14)水口栄一詩集 ケータイ投稿記事

冬の別れ

冷めたコーヒーを飲み干すと
その娘は僕を見詰めながら囁いた
「帰ったら、すぐ手紙書くわ」
僕達は
黙ったまま
ガラス越しに外界を眺めていた
空も海も
どんよりしていて活気がなかった
「四時出発だね」
その娘は黙って頷いた

喫茶店を出た
波止場を僕達は肩を並べて歩いた
風が肌に冷たかった
「母さん、大事にしろよ」
「体、無理しちゃイヤよ」
「真美も元気でな、俺、きっと夏休みになったら会いに行くからな」
その娘は唇を噛んで微笑んだ

魔術(13)水口栄一詩集 ケータイ投稿記事

優しいまなざし

幼い頃
僕は小犬を拾ってきた
おとなしく
とても可愛い小犬だった
家で飼いたいと漏らしたら
家族の者に反対され
捨ててこいと罵声を浴びて
僕は小高い丘へ
小犬を連れて出かけて行った
丘の茂みにそっと小犬を置いた
僕が立ち去ろうとするたびに
キャンキャンと吠えながら
そばへ走り寄ってくる
二度三度やっと四度目に
僕は小犬を残したまま
心の中でさよならを繰り返し
一目散に走りつづけた

翌日の夕方
僕は丘へ行った
小犬はもうどこにもいない
小犬よ、どこへ行ったのだ
僕は何度も心の中で叫んでいた
小犬よ、僕を許しておくれ
いつかじっと僕を見つめた
小犬の優しいまなざしを思う
西の空が茜色に染まっている

魔術(12)水口栄一詩集 ケータイ投稿記事

ボール

突き抜けるような青天に
真っ白なボールを弾き飛ばすことは
少年の日の
私の唯一の遊びだった
あれから十八年近く経つ
今も
私はボールが大好きである
だが
それは
地球という名のボールである

魔術(11)水口栄一詩集 ケータイ投稿記事

錆びたライター

灰色の空を
私は凝視しながら
錆びたライターを投げた
三年間の記憶と
歪んだ女の顔が
大きな輪を描いて
私の荒んだ胃袋の底へ
落下していった

魔術(10)水口栄一詩集 ケータイ投稿記事

聖女

おまえの初夜に
私は妄想し、祈り
狂った
婚約中に宛てた手紙も
たった一枚の紙と化し
私はおまえに殺された
今、おまえは
三十近い男に抱かれ
悪魔となり
今、おまえは
私のうつろな胸の奥で
聖女となった

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