一方、ビデオテープの映像のデジタル化作業にも手を付けようというところだ。これが済むと部屋の荷物が結構減ると思われる。来るべき再転居の為に荷物は可能な限り減らしておかないとならない。
…なのにネット通販でいろいろ買っちまってて、荷物は少しずつ増えている有様(汗)。
例えばさぁ…
なんと現在、あの名作、
出崎統監督版の『宝島』の廉価版DVDが発売真っ最中!
俺はLDボックスで持ってて、LDプレーヤーなんかとーっくの昔に壊れてるんで最後に観たのが90年代という…
その後DVDボックスが出たのだけど、ボックスだから高いのと、LDボックス持ってんのにDVDボックス買うのってなんかさ…LDのやつ自分でデジタル化できないかなとか、そんなこんなでDVDボックスは買ってなくて。
だから11年前に当ブログで取り上げた時も記憶で書いたという。
それがだよ、『宝島 COМPLETE DVD BOOK』vol.1〜3の1・2が現在発売中で、先日知った俺は思わず買ったよ!
1には第1話〜9話、2は10〜18話を収録。1枚につき約3時間45分収録! 各¥1501(税込)。ボックス買うより廉価なうえディスクを替える手間が減って&保管スペースも減って万々歳のいいコトづくし。
さらにはキャラクター設定画、スタッフのインタビューなどを掲載した小冊子付き。
19〜26回(最終回)+LDボックス発売時に特典でOVA製作された『夕凪と呼ばれた男』を収録したvol.3は7月18日発売予定で、俺は指折り数えて待ってる状態。
これは皆の衆にもぜひ買って観ていただきたい!
いや、ぴあから菓子折り貰ってないけどさ(発行・発売がぴあ)。
貰ってなくてもお薦めしたい、永遠不滅の傑作であり名作。
今回購入して1〜18話を久々に観たけどさ、やっぱ観応えあるわ。ズッシリくる。
ある意味
まどマギみたいなさ…よくある魔法少女モノかと思いきやハードでヘビーなドラマになだれ込んでくみたいな、
出崎版『宝島』も子供向け冒険ものアニメかと思いきや、裏切りや殺人が始まり、子供向けにしてはなかなかハード&ヘビーな展開の中で、男(というより漢)の生き様…というか男女問わず人としてこう在りたい姿がハードにスタイリッシュにセンチメンタルに描かれてゆく―― (子供向けアニメなんでユーモラスさもある。)
男性だけじゃなく女性もヤられるんじゃない? 特にシルバー役の若山弦蔵の声は今でいうところの
ASМR的にも素晴らしい! シブくてカッコよすぎるだけじゃなく、聴き心地がものすごく良い!
ただね、堪え性のない人は1話から観始めて脱落するかもしれない、シルバーが登場するのが6話からとちょっと遅いんだよね。俺的には1〜3話だっけ4話だっけ、で描かれる、初め横柄気味にみえて、少年ジムと緩やかに関わりながら最後は寂しく死んでくビリーボーンズも印象的でいい味なんだけど…。
あれだよなぁ、まどマギも1話とか2話で見るのやめた人も多かったと思うけど、3話からはもう見るのが止まらないみたいな、出崎版『宝島』も6話からは見るのが止まらない。
あまりにカッコよくてシブくて、思わず魅入っちゃうんだよシルバーは。主人公の少年ジムとシルバーの出逢い。ビリーボーンズの恐れていた“1本足”。今度の船旅の料理長の片脚・松葉杖のジョン・シルバー。果たして同一人物なのか!?
路地裏にて
シルバー「ここじゃ水も出ねぇ。(オレの)店へ入って話をしようぜ」
しかしビリーボーンズを襲った1人“黒犬”がシルバーの店へ入ってくのを見ていたジムは詰問する。シルバーは何も答えず店へ向かって歩いてく。
ジム「逃げるのかジョン・シルバー!」
しかし店に入ったシルバーは、物凄い低音ヴォイスで(←ココ重要!)「黒犬ってのはどこだい?」
ンもう ゾクゾクする! 子供向けアニメにあるまじき落ち着きと凄みのある声! もうコレ1発で大人の視聴者すら引き込む! この人物もこの作品もタダ者じゃないことが1発でわかる。
この後はしばしコワモテだが人の良いシルバーと少年ジムの触れ合いが微笑ましい回が続く。男は言わずもがな、女性が見てても心地良いだろう。
そんな中でも時折シルバーの凄みは炸裂する。9話、人身売買の人さらいに遭ったジムをシルバーが助ける場面、
シルバー「んー? このお兄さんたちは誰だい?」
ジム「コイツら人さらいの一味だよシルバー!」
ここからの編集(絵コンテ)が素晴らしい!
シルバー「へぇ〜」
敵が殴りかかってくるが、松葉杖のカットが一瞬入り、次の瞬間引いたカットになると敵はすでに松葉杖を食らっており、シルバー「そいつはおっかねぇ商売だな」 そして敵はドサッと倒れる。
この緩急!
のちの
川尻演出にも連なってゆくのではないか!?というこのハード&スタイリッシュなリズム感だが、本作は78年10月放送開始であり、70年代にすでにこういう演出をやっていた出崎監督のセンスに驚かされるし、今見てもこのカッコよさは遜色がない。
この演出は後にシルバーと拮抗する敵となるグレイにおいても炸裂する。
シルバーはジムの少年〜青年期の意識を察してるからなのか、それかコワモテだが面倒見が良いからか、ジムを過保護に扱わず1人の人格ある人間として接しつつ、子供の手に余る状況ではしっかり助けてあげている。
「シルバー、何見てんの?」
「夕陽だよ」
「夕陽? すごいねぇ、真っ赤だ。燃えてるみたい。俺、大好きさ」
「俺も好きだったよ、おめェぐらいの時はな。でも、今はあんまり好きじゃねぇ。派手に人の心を誘いやがるがそれもほんの少しの間だ。すぐに姿を隠して夜になっちまう。あの美しさをやたら信じちゃいけねぇんだ。大人になってからやっとそれがわかったが、それから夕陽は嫌いになった」
「じゃあ、なぜいつまでも眺めてるのさ?」
「わかっていてもよ、それでも野郎は美しい。だから負けねぇようにな、俺の勇気を試しているのさ」
父親のいないジムにとってシルバーはかけがえのないアニキというか父親というか、みたいな存在になってゆく――
ここまでがこの『COМPLETE DVD BOOK』のvol.1であり、
vol.2(=10話〜)からまどマギで魔法少女の秘密が露見した以降の如く大転回、シルバーの正体が実はやはりビリーボーンズの恐れていた1本足だったことが判明、
ジム及びスモーレット船長・リブシー先生ら正規陣営とシルバーが指揮を執る海賊陣営の闘争へ――
これまで温かい人柄を見せてきたシルバーの、シビれる冷酷さ。裏切者の部下を始末する時の「死んでもらうぜ…」のセリフもまた若山弦蔵の迫力ある低音ヴォイスが素晴らしく、昔 留守電の待ち受けメッセージ?に使ってたことがあるのだけど(笑)、帰宅して留守電再生したら、電話かけてきた女性が息を呑んでるのがはっきり録音されていた。そのぐらい凄みのある声なんである。(そしてシルバーはその男へ松葉杖を投げつけ背骨を粉砕して殺害する。)
一方、土壇場で急転直下、正規陣営側につくクールでスタイリッシュな男グレイの、シルバーとは異なるカッコよさ! ジョニー・トーの
『ヒーローネバーダイ』のレオン・ライとラウ・チンワンぐらいキャラの異なる2人。
グレイが味方に転じる時、そしてグレイの実力がシルバーに拮抗するレベルであることがわかる時、視聴者の興奮はレッドゾーンに突入する(笑)。
グレイのスタイリッシュな演出なんかモロに川尻演出に影響与えてるんじゃないかと個人的には思ってるのだけど…。どう見ても先駆け。
シルバーの攻勢により射殺されたレッドルースじいさんの死後の、教会のパイプオルガン的な曲をバックにした雲海の空撮カットがグッとくる。
杏子の死後の紅い墓地の場面のようにグッとくる。
…今回やたらまどマギを引っ張り出してるのは、まどマギが好き過ぎることもあるが、それと、まどマギが久々に出崎版『宝島』に匹敵するアニメではないかと個人的に強く感じてるから。つまりものすごくドラマティックな作品であると。この点において両作品は双璧といえるのではないか? 片や男の闘争、片や魔法少女モノだが、人間ドラマのドラマティックな描かれ方が、どちらも史上に残る素晴らしさである。
さて、正体を現したシルバーだが、これまでのシルバーが嘘っぱちだったわけではない。単にこれまでジムに対して冷酷さを出す必然性がなかったから、そして闘争には優しさは要らないからであって、ジムの友人だったシルバーも海賊のボスであるシルバーも、本人の中では別に分裂していない。
必然性があるならジムに対しても冷酷さを見せる。命に関わる水を汲みに来たジムの壺を銃撃し粉々に撃ち砕く場面がそれだ。今のシルバーとしては水を汲ませてやるわけにはいかない。正規陣営の生命線を絶たねばならない。そして人生は戦いだと、人は時と場合によっては非情であるべきと、シルバーはジムに経験させる。
しかしジムは子供であるがゆえ、それを包括的に受け入れられない。ジムがシルバーに対して持っていた信頼感は、そのまま憎しみへと転化する。
そんなジムに、シルバーは戦いの外では以前と変わらず接する。
闘争の渦中、ジムはシルバーを射殺できる千載一遇の機会を得る。シルバーはジムの想いを真っ向から受けて撃てばいいと言うが、しかしジムは引き金を引けない。無防備に背中を見せて去っていくシルバー、悔し泣きに咽ぶジム、どうしても割り切れない… (←割り切る必要はない)
ここでまたいいのはさ、その一部始終をグレイが手を出さずに見ているんだよね。決裂する前の2人を見てきているから、グレイは無粋な手だしはせず、2人の行く末を見守る。大人の対応。というか人としての対応が素晴らしい。
正規陣営は窮地に陥っているので、ここでグレイがジムがやれないなら俺がと手を下しても、アリっちゃアリなんだよ。それでこの闘争が終わるのだから。皆の命を救えるのだから。
しかしグレイは去っていくシルバーへ凄まじいナイフテクを炸裂させたりはしない。そのまま行かせちゃうんである。動物や昆虫なら自分が生き残ることが全てだが、人間はそうではない。精神性があるから。あくまでこの時はジムとシルバーの関係を優先して、自分はしゃしゃり出ない。
しかしグレイがシルバーと2人きりで1対1で対峙した時、ジムが介在しない時、お互いを止める必然性はない。グレイのスタイリッシュな投げナイフとシルバーの強烈な松葉杖殴打がフルコンタクトで炸裂する!
が、それは『COМPLETE DVD BOOK』のvol.3にて。
全員から裏切られ孤立無援になったシルバーが独りで切り抜ける強靭な精神性も、ジム・シルバー・グレイの男気溢れるノーサイドも、そして人生を 自分を 諦めた大人がグッとくるあの感動の最終回もvol.3収録。
7月18日を待ちわびているワタクシでございます。
(しかし今回改めて観てみて、17話は異様な回だなぁ…(笑)。あとやっぱ「♪いつも信じよう 真心を」は沁みるなぁ…(涙)。)