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朝鮮への支援食料が横流しされている、との「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク(RENK)」のビデオ映像を伴う情報が、何ら検証を受けることもなく、日本のマスコミ(TBS、毎日、産経、新潟日報など)に垂れ流されています。
これに対して長年、日本による強制連行強制労働や軍慰安婦(性奴隷)被害者を朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)で現地取材し、また、今回問題になっている世界食糧計画の活動も現地取材してきたフォトジャーナリストの伊藤孝司さんから、ご自身の目で見た現地の食糧援助事情、今回の「横流し」情報に対する国連世界食糧計画ピョンヤン事務所から出された声明(英文)を送ってくださいました。
伊藤さんのお許しを得て、伊藤さんのお手紙と、私が翻訳した声明を、送ります。
現地で実際に支援活動を行っている方がた、現地を実際に見てきた方のご意見はとても重いと思います。
このメールは重複して受け取られた方には、大変申し訳ありません。不要の方は削除してくださることで、お許しください。
転送転載歓迎
伊藤さんからのお便り
>
> 伊藤孝司です。
>
> 「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク(RENK)」は05年6月21
> 日にソウルで記者会見を行い、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の市場で隠し
> 撮りしたビデオ映像を公表した。「『WFP』の紋章と『日の丸』が大書きさ
> れ、その上には英語と朝鮮語で『世界食糧計画』と書かれている」穀物袋の映
> 像がその中にあったことについて、「これは、昨年5月に小泉首相が二度目に
> 北朝鮮を訪問した際に表明した『25万トンの食糧援助』のうち、実施された
> 12.5万トン(約4000万ドル相当)の一部である」と断定した。つまり日本政府
> による支援食糧が「横流し」されたというのだ。私は、このような悪意に満ち
> た宣伝がいまだに行われていることに驚く。
>
> 私は昨年、日本政府がDPRKに対して行った食糧支援を取材した。小泉首相の
> 再訪朝で食糧支援が決まると、その実態を取材するためにDPRKの関係機関と
> 「世界食糧計画(WFP)」に取材を申請。困難が予想されたので、交渉のため
> 9月に8日間の訪朝をし、その上で10月7〜23日までDPRKでの取材を実施
> した。「WFP」平壌事務所の全面的な協力が得られたため、日本政府から最初
> に届いた支援食糧について時間をかけた取材を行うことができた。それはTBS
> 系列「報道特集」04年11月7日放送、月刊「現代」04年12月号、「週
> 刊金曜日」04年11月19日号に発表。
>
> 「WFP」は平壌(ピョンヤン)以外に5カ所の地方事務所を持ち、34カ国
> からの40人のスタッフを配置して、毎月500回もの監視活動を実施してき
> た。米国人のリチャード・ラガン「WFP」平壌事務所代表は、「私たちは監視
> 活動によって、支援物資は住民たちに確実に渡っているとはっきり言える」と
> 語っている。
>
> 私は穀物袋が再利用されている光景を見たことがある。平壌市内の「統一通
> り市場」の穀物売り場では、「WFP」や韓国政府からの食糧支援で使われた古
> い袋が並んでいた。破れた箇所は丁寧に補修して使っていた。また、チョンド
> ン協同農場の精米所には「WFP」の表示がある空の穀物袋が大量に積まれ、農
> 場で収穫した米を詰める作業が行われていた。
>
> RENKが横流しの証拠とした穀物袋は、かつての食糧支援で使用された袋が再
> 利用されたものであるのは確かだ。「WFP」は今までにもこうした映像が公表
> されるたびに、再利用の袋であると反論してきた。にもかかわらずRENKが同じ
> ことを繰り返すのは、「WFP」を通しての国際社会による DPRKへの食糧支援を
> 破綻させようとしているとしか考えられない。
> 「WFP」は5月27日、DPRKへの食糧支援の危機的状況を訴えた。「各国からの
> 拠出不足によって支援している約380万人への食糧援助を今後2カ月間カットし
> なければならない」というのだ。「WFP」の食糧は社会的弱者に対して支給さ
> れており、その活動を妨害すれば子供やお年寄り、妊婦などの命を確実に奪う
> ことになる。
> 米国はDPRKと敵対的関係にあるにもかかわらず、「WFP」を通しての食糧支
> 援を続けてきた。この22日には5万トンの支援を発表している。
>
> もう一つ問題がある。日本の新聞・テレビ・通信社の多くは、RENKのこの発
> 表をそのまま報じた。「WFP」日本事務所は、この件についての日本のメディ
> アからの問い合わせを受けていないという。日本政府が贈った食糧を実際に
> 扱ったのは「WFP」であり、その名前が入った穀物袋が問題になっているにも
> かかわらず、「WFP」日本事務所に電話取材さえしていない。RENKによる事実
> に反した発表をそのまま流すならば、DPRKでの多くの庶民の餓死に加担するこ
> とになる。
> 伊藤 孝司(いとう・たかし)
> http://jca.apc.org/~earth
国連世界食料計画対プレス声明
> 対プレス声明
> 2005年6月22日
>
> 朝鮮における支援食料横流し疑惑に対する回答
>
> 木曜日にソウルで一非政府組織(NGO)が報道各社にビデオ映像と写真を配布
> し、日本政府の援助食糧が朝鮮の市場で売られていることの証拠であると主張
> したが、世界食糧計画(WFP)はこのような全く根拠がない主張は認めない。
>
> WFPが9年前に活動を始めて以来、1億6000万袋を超える救援食料を朝鮮国内各
> 地に配給してきた。朝鮮では――WFPが活動しているたいていの国と同様――食料
> を入れる袋を様々な目的に再利用することは、当たり前にまたどこでも行われ
> ているところである。
>
> 今回NGOが流した映像に写っている袋が再利用されているものであることに、
> WFPは何の疑いも持っていない。これらの袋にもともと入っていた援助食糧
> は、昨年10月に配給し始めたものだ。NGOによると、問題の映像は今年4月に
> 撮ったものとのことだ。
>
> 映像には世界食料計画の標識と日の丸が印刷された袋が写っているが、これは
> 朝鮮で広く見られ長年の慣行になっている、もともとは援助食糧が入っていた
> 袋のリサイクリングの証拠であるに過ぎない。
>
> 外国からの食糧援助の必要性が朝鮮ではとても高いので、船積された食料は入
> 港するやいなや直ちに国内の配送され、もともと入っていたものが出されて空
> になると袋は早速再利用されるのが普通である。
>
> 朝鮮駐在のWFP職員たちは――そのほとんどが配給食糧の追跡と監視に当ってい
> る――大量の袋がリサイクルされているのを仕事の中でごく普通に見ている。
>
> 職員たちはまた、収穫期には朝鮮の農場労働者が、米、とうもろこしなど収穫
> した穀物を収納するのに援助食糧の空袋を利用しているのを見てもいる。その
> ような袋は穀物を入れてからたいてい機械で封をされ、袋が比較的に新しいも
> のだと、まだ使われていない新品と変わらないように見える可能性がある。
>
> このNGOはこれまで一連の疑惑を出しているが、今回のこの疑惑をWFPは遺憾と
> するものであり、絶望的なまでの飢餓にさらされている数百万の朝鮮国民のた
> めの食糧援助を確保する我われの努力を、台無しにしかねないと危惧するもの
> である。
>
> リチャード・ラガン
> 国連世界食料計画
> ピョンヤン事務所代表
> ピョンヤン、2005年6月22日
>
> 翻訳:寺尾光身
> 原文を手に入れたい方は、寺尾までお申し越しください。
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