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10月19日19時42分配信 毎日新聞


【ワシントン斉藤信宏】わずか10日余りで1バレル(約159リットル)当たりの価格が10ドル超も上昇し、史上初めて90ドルを突破した原油価格。98年末に10ドルまで下落して以来、上昇傾向が続いてきたとはいえ、このところの値上がりはあまりにも急だ。

10月に入ってからの急騰の直接的な引き金になったのは、イラク北部に拠点を置くクルド系武装組織とトルコ政府の対立だ。イラク産原油の主要積み出し港がトルコの地中海沿岸都市ジェイハンにあるが、トルコ政府が、イラク内にあるクルド系武装勢力の拠点に対する越境攻撃を警告したのを契機に、ジェイハンからのイラク原油の供給に支障が起きるとの見方が広がった。

本当に影響が出るのかどうかは不明だが、ニューヨークの先物市場では、支障の「可能性」が大きな買い材料になった。その背景にあるのが、原油とは一見関係なさそうな米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題だ。

米国内の不動産や株式市場にはこれまで、大幅な値上がりを見込んで巨額の投資資金が流れ込んでいた。ところが夏以降、サブプライムローン問題の表面化で不動産価格は暴落し、株式市場も冷え込んだため、逃げ足の速い投機資金が原油など商品市場に流れ込んだ。

加えて、米国景気の減速見通しからドルが売られ、海外の投資家にとってドル建ての原油価格が割安になったことも買いに拍車をかけた。世界的な金余りの中で、米国の不動産バブル崩壊であふれ出たマネーが新たな投資先を求め、一種の「原油バブル」を作り出した格好だ。

元々、原油市場には、こうした投機マネーを誘い込む構造的な値上がり要因があった。世界的な景気拡大を背景とする需要増と、それに十分追いつけない供給能力だ。

需要増が特に著しいのが中国、インド、ロシア、ブラジルなどの新興国。家電製品や自動車が、こうした新興国で急速に普及している。

産油国が大幅に生産を増やせば価格も沈静化しそうなものだが、まとまった増産余力がない。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の1日あたりの供給量(9月)8510万バレルに対し、石油輸出国機構加盟の主要8カ国の追加供給力は270万バレル程度しかない。製油所の余力も乏しく、原油や製品の在庫が低い水準が続いている。

こうした需給の逼迫(ひっぱく)懸念を根底に抱えた市場に、世界中から投機資金が集まり、ちょっとした不安材料にも敏感に価格が反応する。市民の暮らしを直撃し始めた原油高騰を、こんなメカニズムが支えている。

▽BNPパリバ・商品先物担当アナリスト、トム・ベンツ氏の話

現在の原油高騰は、90年代後半から年々勢いを強めてきた世界的な需要増と切り離しては考えられない。世界経済の強さを考えれば1バレル=90ドルは十分に予想できた数字だ。100ドルまで上昇するとは思わないが、91、92ドルぐらいの水準は、世界中の需要増、特にアジアなど新興国の好調な経済成長からすれば驚くような数字ではない。今後、冬季の冷え込み具合やナイジェリア、中東の情勢次第では、更なる上昇の可能性も考慮する必要がある。

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