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10月19日20時24分配信 ダウ・ジョーンズ
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)原油相場が上がれば上がるほど、正当化できない水準だ、と叫ぶ弱気筋の声も大きくなる。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物は18日、WTIの11月限が前日比2.07ドル高の1バレル=89.47ドルで取引を終え、終値での最高値を更新した。過去10日間で10ドル以上値上がりした。一部の逆張り投資家はこうした水準は持続不可能だと宣言しており、”バブル”だとの声も聞かれる。
エネルギートレーダーで、「ショーク・リポート」の筆者であるスティーブン・ショーク氏は、 今回の上昇局面は大きな調整に向けた道での気晴らしに過ぎないという。同氏は1バレル=65−68ドル程度へ下落する可能性があるとみる。
シティグループのエネルギーアナリスト、ティム・エバンズ氏も、強気筋の掲げる根拠は誇張されている、としている。
これら懐疑派は、現在の原油相場の上昇は、需給のファンダメンタルズではなく、不安感や投機的な資金の殺到によるものだ、と主張する。
株式、債券、通貨などの魅力が薄れるなか、投資家は資金をエネルギー先物に振り向けている、とアナリストらは言う。取引が簡単な原油の電子取引システムでは、出来高が急増している。
弱気筋の大半は、1バレル=45ドルから65ドルが、より現実的な価格とみている。しかし最も弱気な筋でさえも、原油価格が十分に上昇し、需要に大きなシフトをもたらすまでは、下落しはじめない可能性があると言う。
その価格は最高で1バレル=120ドルとなる可能性がある、とメリルリンチの副会長、トーマス・ペトリー氏は18日、ヒューストンでの講演で語っている。
インフレ調整ベースの終値での過去最高値は、1980年4月につけた101.70ドル。現在の水準はこれをまだ12%下回っている。
当然ながら、原油先物相場は実物市場の動きを反映しており、需要増と供給不足が引き続き原油価格を高止まりさせることを示唆する統計はたくさんある。独立系のエネルギー・エコノミスト、フィリップ・バーレッジャー氏は、「深刻な景気後退あるいは不況」でもない限り、エネルギー価格が低い水準に長くとどまる可能性はないとし、2010年代の初めには1バレル=200ドルを突破する可能性があるとまで述べた。
正しいのどちらか。
弱気筋は、原油相場は需給逼迫(ひっぱく)の兆しが出るたびに急上昇しているものの、そうした供給不安が後退した時でも、上昇時と同程度の調整をみせていないと指摘する。
今週はトルコとイラク間の緊張の高まりが供給不安をあおる要因となったが、多くの石油業界関係者は、両国の国境での争いは供給に対して大きな脅威とはならないと言う。
資産運用会社SAMアドバイザーズのウィリアム・スミス社長は「そもそもイラクからは原油は運ばれていないと聞いている。それなのになぜ急にそれが問題なのか」と述べた。
供給が需要に追いつかないとする説に弱気筋は反論している。米国では石油在庫が減少しており、少なくとも一部の統計によると、ここ数カ月間は世界的にも減少している。しかし、在庫水準は依然として、多くの専門家が歴史的にみて適正と呼ぶ水準にある。
もちろん、インド、中国などの国では石油需要は急増している。しかし西側先進国では石油消費はせいぜい横ばいといったところだ。弱気筋は米国の景気減速が全体的な需要の減少につながり、多くの人が認識しているよりも、原油価格から泡を払い落とす可能性があると言う。
弱気筋が最も執ように繰り返す主張は、”投機的プレミアム”と呼ばれるものにかかわる。年金やヘッジファンドの資金が原油市場に入ってこなければ、原油相場はもっと低い水準にあるといった主張だ。ゴールドマン・サックスの商品アナリストで、強気派のジェフリー・カリー氏は、こうしたプレミアムが1バレル当たりの原油価格を5−10ドル押し上げている可能性があると言う。他の専門家はそうしたプレミアムを最高で20ドルとみる。
シティグループのエバンズ氏は「利益確定する時になったらどうなるのか。これらの人々はみなどうやってポジションから抜け出すのか。それは価格にどういった影響を与えるのか」といった問題を提起する。
石油輸出国機構(OPEC)のバドリ事務局長も今週、「ファンダメンタルズは現在の高い原油相場を支えていない」とし、相場上昇は「市場の投機筋が主導している」と述べている。
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