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7月31日7時5分配信 VARIETY
日本での累計発行部数870万部を誇る村上春樹の大ベストセラー小説「ノルウェイの森」(講談社)が、映画化されることが分かった。フランスの俊英トラン・アン・ユン監督がメガホンをとり、2009年2月のクランク・インを目指している。
メガホンをとるトラン・アン・ユン監督
世界的に評価されている村上文学の中でも、その人気と地位を不動のものにした記念碑的な作品「ノルウェイの森」が、1987年の初版から21年の時を経て、ついにスクリーンにお目見えする。
高校時代に親友を自殺で失った「僕」が主人公。あらゆる物事と距離を置いて大学生活をおくりながら、親友の恋人だった直子、同じ学部の緑らとの出会いを通して生と死、喪失と再生などを淡々と見つめていく切ない恋愛叙情詩だ。
その人気は日本だけにとどまらず、世界36の言語で翻訳出版され世界的ベストセラーに。熱烈なファンの1人が、95年に『シクロ』でヴェネチア国際映画祭の金獅子賞(グランプリ)を獲得するなど、こちらも世界的な注目を集めていたユン監督だった。
フランス語版を読み、「青春の満たされない渇望、過激な主張、死の選択、大人に向かう道程など、だれもがたどる人生の経験を描いた作品」と心酔。日本人俳優による日本での映画化を思い立ったという。
具体的に動き始めたのは、01年『夏至』の日本公開がきっかけ。配給したアスミック・エースのスタッフを通じて、同じく映画化を構想していた同社の小川真司プロデューサーと知り合い、村上との交渉に向かった。
「自分にとっても特別な作品であり、映像化は無条件でOKというわけにはいかない」という姿勢だった村上だが、ユン監督の作品が好きだったこともあり企画開発がスタート。ユン監督は自ら執筆した脚本を村上に提示し、その度に修正、改訂を加える熱意でアピール。その間に、フジテレビも製作に加わることが決まり、そしてこのほど実現にこぎつけた。
現在も脚本の改稿を重ねており、同時に日本でもロケ・ハンを進めているという。ユン監督は、「原作は力強く繊細であり、激しさと優雅さが混とんとしていて、官能的かつ詩情にあふれている。つまり、映画化するための数多くの幅広い題材を内包しているのです。この作品を映画化したいと直感したことが、原作の素晴らしさと豊かさの正当な評価につながると信じています」と意欲を見せている。
今後、スタッフの選定やキャスティング作業などを進め、来年2月のクランク・インを目指す。公開は2010年を予定。毎年のようにノーベル賞の有力候補に挙げられる村上の代表作だけに、世界中から注目を集めるのは必至だ。
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