|
8月3日18時10分配信 読売新聞
裁判員裁判の全国第1号となった東京都足立区の路上殺人事件の公判が、3日午後、東京地裁(秋葉康弘裁判長)で始まった。
全国で初めて選ばれた裁判員は女性が5人、男性が1人。この日は、検察官による起訴状朗読から現場近くの女性の証人尋問まで、3時間余りで終了した。冒頭陳述ではわかりやすい言葉が使われるなど、刑事裁判の姿は大きく様変わりした。
午後1時半前から始まった公判では、裁判官に続いて、裁判員6人が入廷し、裁判官3人の両側の席に分かれて着席。補充裁判員3人はいずれも男性で、裁判員の背後の席に座った。昨年12月に始まった被害者参加制度も適用され、殺害された整体師文春子さん(当時66歳)の長男(37)と代理人弁護士も検察官の後ろの席に着いた。
殺人罪に問われている藤井勝吉被告(72)は「間違いございません」と起訴事実を認めた。
この後、森川誠一郎検事が、席の前に進み出て、裁判員に正対して一礼。「これからどのような事実を証明しようとしているのかをお話しします。時間は約20分を予定しています」と前置きして、冒頭陳述の朗読を始めた。これまでの裁判ではなかった丁寧な説明だ。
森川検事は、法廷内の大型モニターに、事件のポイントを表示しながら、藤井被告が、向かいに住んでいた文さんと路上で口論となり、文さん宅前のオートバイの止め方などを巡る日ごろの不満を爆発させて、「ほぼ確実に死ぬ危険な行為と分かって刺した」と主張。医学用語についても、「大動脈、つまり、心臓から全身へ血液を送る重要な血管を傷つけました」などと分かりやすく言い換えて表現した。
続いて、弁護人の伊達俊二弁護士が冒頭陳述で、藤井被告は、文さんがつかみかかろうとしてきたことから、とっさに刺してしまったとし、殺意は強くなかったと反論した。
検察側の立証では、遺体の写真を裁判員に見せる場面も。間川陽子検事が「ショックを受けるのでご覧になりたくない方もいるかもしれない」と前置きしたうえで、「今回の結果を知るための重要な証拠。ぜひ見ていただきたい」と述べた。
傍聴席からは見えないように大型モニターの電源は消し、裁判員は全員が法壇上の小型モニターで傷跡を確認。裁判員の中には、耐えられずに目をそらしてしまう人もいた。
起訴状によると、藤井被告は5月1日、文さんの胸や背中をサバイバルナイフで突き刺し、出血性ショックにより殺害したとされる。
|