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8月7日15時34分配信 産経新聞
全国学力テストの点数公表をめぐり、「序列化や競争を招く」として都道府県教育委員会による市町村別データ開示を禁じた文部科学省の実施要領が、自治体の情報公開審査会によって覆され、開示に至るケースが相次いでいる。大阪府の橋下徹知事らが成績開示に踏み切ったにもかかわらず、「序列化や競争」が具体的に認められないことなどが判断理由だ。文科省は9月をめどに今年の学力テストの結果を発表するが、こうした判断を示す審査会はさらに増えるとみられ、実施要領の「有名無実化」が加速する可能性は高い。
「過度な競争や序列化は本当に起こるのか。大阪で1年間かけて大規模な“実験”をしたが、僕自身は今、そういうふうには感じていない」。橋下知事は今月5日の定例会見で文科省の言い分を真っ向から否定し、今年のテストについても市町村別開示に前向きな姿勢を示した。
文科省は都道府県教委に対し、提供したデータのうち市町村・学校別の成績を明らかにすることを禁じている。しかし、学力問題に関心を持つ住民や塾関係者からの情報公開請求は多く、橋下知事が昨年10月に開示したのも府民からの請求に応じての措置だった。
「実施要領に縛られない」と主張し開示を決めた橋下知事のようなケースはきわめて異例で、多くの都道府県教委は文科省の方針に従い公開請求に対して非開示の判断を示してきた。
ところが、各自治体の審査会がこの判断に異議を唱え始めた。昨年7月には鳥取県、12月には埼玉県の審査会が決定を取り消すよう答申。鳥取県では開示を認める情報公開条例改正案が成立し、埼玉県教委も答申に従い市町村名を伏せて点数を開示した。
大阪府情報公開審査会は、今年6月の府教委への答申で「市町村別データを出しても児童生徒の学習への影響は小さい」と指摘。さらに「橋下知事らが平均正答率の一覧を公表したにもかかわらず、今年の調査には全国すべての市町村が参加した」と開示によるデメリットを否定した。府教委は7月、開示を促す答申を受け入れ、平成19、20年度の市町村別の平均正答率などを一部を除いて開示することを決めた。
ただ、今回の府教委の決定に対し市町村からは「市教委の意思に反する一方的な公表は強権的な手法だ」(阪口善雄吹田市長)といった反発も。府教委幹部は「情報公開の見地から、審査会が開示を求めるケースは他の自治体でも起きるだろう」とし、「答申を受けたのでやむを得ないが、市町村教委との信頼関係が揺らがないかが心配だ」と漏らした。
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