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9月2日14時23分配信 産経新聞
そろばんが再び脚光を浴びている。算数の成績アップにつながる指導法を取り入れた塾が増えたり、そろばんを学べるゲームソフトも人気を集めたりしている。低迷していたそろばん検定の受験者数も増加傾向に転じている。(森本昌彦)
≪算数に役立つ≫
「ここ3、4年で、指導法を取り入れた塾の数や生徒数が一気に増えました」
そう語るのは、珠算塾の経営者らでつくる「SSK CLUB」(愛知県西尾市)会長、伊藤さとるさん。現在、全国500の塾でクラブが開発した指導法が採用されている。珠算塾に限らず、学習塾が取り入れるケースもあるという。
指導法の特徴について、伊藤さんは「そろばんと絡めて算数の力を高めていくのが目的」。そろばんで計算力を高めるだけでなく、学校の成績向上にもつながることが人気の秘密のようだ。
千葉県一宮町の「なか塾」を経営する中島えいこさんは20年前に塾を開き、9年前からクラブの指導法を採用。「算数が分からないと行って来る生徒が8割を占めますが、1年後にはみんな算数が好きになったと言ってくれます」と、手応えを感じている。
例えば、かけ算の場合、最初に「5が2つ分だから10になる」というかけ算の意味や仕組みをそろばんで確認し、計算に挑戦。その後、「1さつ29円のノートを3さつ買いました。何円はらえばよいでしょう」などの文章問題に挑む流れだ。
文章問題を解くには自分で式を考える必要がある。こうしたプロセスを経るため、「考える計算」(伊藤さん)である学校の算数にも対応できるという。
≪拡大する特区≫
兵庫県尼崎市は平成16年度から、そろばんを活用した「尼崎計算教育特区」を設置。小学校で「計算科」という科目で年間35時間程度、そろばんを使って計算力などを養う授業を実施している。16年度の実施校は1校だけだったが少しずつ増え、20年度には21校に拡大。21年度は市内43の全市立小学校で行っている。
市教育委員会は「『計算が早くなった』という生徒が増え、保護者の評価も高い。そろばんを通して計算力だけでなく、集中力も身についたようだ」と話す。
そろばんを題材にしたゲームソフトも人気だ。フォーウインズ(東京都千代田区)が19年と20年に発売した「ニンテンドーDS」用のソフト「そろばんDS」と「いつでもそろばんDS」はこれまでに計4万本が売れた。
いずれもそろばんの基本から検定問題まで学べる内容。そろばんを習っている幼稚園〜中学生だけでなく、お年寄りや海外からも引き合いがあるという。
■検定受験者も増加に転じる
日本珠算連盟と日本商工会議所が実施する珠算能力検定試験の受験者数も近年、増加に転じている。
連盟によると、昭和55年度の204万5636人をピークに減少が続き、平成17年度には18万1899人に。その後、18年度から増加し、20年度は20万1500人が受験した。
増加の理由について、連盟の中山洋専務理事は「ゆとり教育に伴う子供の学力低下を懸念した親たちが、計算力や集中力、持久力が身に付くそろばんの有用性を見直し、子供に習わせている。脳トレブームも追い風になったのではないか」と話している。
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