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5月6日16時33分配信 ロイター

[パリ 5日 ロイター] 欧州では数カ月、ことによると数週間以内に債務危機がギリシャから他国へと飛び火し、さらに多くの国が市場へのアクセスを閉ざされて、裕福な国や欧州中央銀行(ECB)による新たな緊急措置に頼らざるを得なくなる可能性がある。

 危機拡大を招きかねない引き金には、債券入札の失敗、1100億ユーロ(1410億ドル)の対ギリシャ支援策からギリシャ政府または支援国が逃げ腰になる兆候、欧州の銀行間市場の機能停止などが挙げられる。

 現在のところ、ギリシャに続く「ドミノ倒し」候補国とみられているポルトガル、アイルランド、スペインは、ギリシャよりはるかに良好な状態を保っている。銀行間市場は2008年後半に米リーマン・ブラザーズが破たんした後のようなマヒ状態とは程遠い。

 しかし過去24時間に一気に広がった投資家の懸念は、東京市場の円スワップ取引まで巻き込むほどに影響力が強く、07年から09年の世界的金融危機と同様、市況が急速に悪化しかねないことを示唆している。

 伊ウニクレディト銀行の主任エコノミスト、マルコ・アナンツィアータ氏は「私見では、さらに最低もう1カ国が市場から締め出され、救済を必要とする確率が10─20%あるとみている」と語った。「起きるとすれば今後6カ月以内の可能性が高い」と言う。

 短資会社タレット・プレボンのG7市場責任者、レナ・コミレバ氏は、ギリシャの債務返済能力をめぐる危機が資本市場危機に質が変化しており、市場は自らのモメンタムを餌にし始めていると指摘。「ギリシャと同じような信用イベントが数週間以内に発生する可能性がある」と述べた。

 ドイツのメルケル首相やユーロ圏の経済政策担当者は5日、危機拡大のリスクについて警告し、こうしたリスクを認識していることを明らかにした。

 レーン欧州委員(経済・通貨問題担当)は「ギリシャの火事を鎮火させるとともに、それが大規模な森林火災となって欧州連合(EU)の安定や経済全体を脅かさないようにすることが重要だ」と語った。 

 <引き金> 

 ギリシャは4月、可能な水準で債務を賄い続けることが不可能になった。10年物国債利回りが10%近くに急上昇したためだ。経済的に弱い他のユーロ圏諸国はまだその段階には達していない。ポルトガルの5日の利回りは6%以下だった。

 ポルトガルが5日に実施した5億ユーロの6カ月物短期証券(TB)入札は、平均落札利回りが2.955%と、3月3日に実施された前回入札と比べて4倍近くになった。しかし流通市場の水準を大幅に下回っており、アナリストはまずまず良いサインだと指摘している。

 スペインも6日に20億─30億ユーロの政府債を発行する予定だが、アナリストは前回入札に比べて利回りが大幅に上昇すると見込んでいる。

 今後数カ月は、経済的に弱いユーロ圏諸国が債券を発行するたびに危機拡大の火種とみなされる公算が大きい。ポルトガルは5月19日にもTビルの発行を計画しており、スペインも5月20日に債券発行を予定している。

 ウニクレディトのアナンツィアータ氏はスペインについて、財政を深刻に損なうことなく最低1年以上は現在の金利で借り入れられるくらい債券スプレッドが低水準にあるとみている。ポルトガルも最低1年は現在の水準で借り入れを続けることが可能という。

 ただ同氏は「為替相場のように動きのスピードも問題だ。もしスプレッドがワイド化し続ければ、市場ではあっという間に信頼感が喪失し、コストではなく、調達可能な資金の量が問題となるだろう」とも述べた。

 一方、今週発表された対ギリシャ支援策は、同国に非常に厳しい緊縮財政措置を求めているため、市場はギリシャの政治的意思と約束を順守する経済的能力への疑いを持ち続けるだろう。

 パパンドレウ首相率いる現政権が国民の反発に負けて主要な財政改革で後退する兆候が明らかとなれば、ギリシャの債務再編やデフォルト(債務不履行)の見通しが強まり、危機拡大のきっかけとなる恐れがある。

 欧州委員会と国際通貨基金(IMF)はギリシャの進ちょく状況を四半期ごとに監視し、レビューと支援の実行とをリンクさせることになっている。世論がギリシャ支援に強く反対しているドイツが、もしギリシャは支援条件を満たしていないと判断し、融資実行を邪魔すれば、レビューが危機拡大の引き金となりかねない。

 ギリシャの銀行への資金供給を断っている欧州の商業銀行が、ポルトガルやアイルランド、スペインの銀行に同じことをしても市場がパニックになる可能性がある。

 これまでのところ、短期金融市場への圧力は金融危機のピーク時ほどではない。2年物のユーロ圏スワップスプレッドは09年3月半ば以来の水準である65ベーシスポイント(bp)に開いたものの、08年10月につけた過去最大の130bpを大きく下回っている。

 ただスペインとポルトガルの大手銀行は、銀行間市場で高いプレミアムの支払いを強いられている。ソブリン債市場がさらに悪化すれば、上乗せ幅が拡大する可能性がある。

 <緊急措置> 

 ギリシャの支援策がまとまるまで、数カ月に及ぶすったもんだがあったように、1国に対する国際支援策をまとめる政治的困難さを考えると、危機拡大に対応する最初の機関はECBになるだろう。

 ECBは金融危機の際に導入した緊急措置を再び実施し、期間6カ月と12カ月のドル・スイスフラン資金貸し出しプログラムを再開する、あるいは、10月半ば以降も週次オペで民間銀行に必要な資金を固定金利で全額供給する方針を継続するかもしれない。

 また、今週ギリシャにしたように、オペでの担保に使用されるソブリン債の最低格付け基準をほかの国についても放棄するかもしれない。

 最も大胆な措置として考えられるのは、ソブリン債を流通市場から買い上げ、債務を肩代わりする措置だ。もっともこれは多くの議論を呼び、ECBの保守的金融政策に対する評判を傷つける可能性も否めない。アナリストはそうした買い入れに約2000億ユーロを費やす可能性もあるとみている。

 UBSの欧州担当主任エコノミスト、ステファーヌ・デオ氏は「自由になる莫大な弾薬がECBの武器庫にある。ECBには多くのことが可能であり、一定の時点で市場を安定化することができると思う」と語った。

 危機が拡大すれば、通貨の信認維持と銀行のデフォルト回避に必死になったユーロ圏の裕福な国が新たな支援策のとりまとめに前向きに取り組む可能性もある。アナリストはポルトガル、アイルランド、スペインの救済費用について、4000億ユーロ前後に上る可能性があると推定している。

 (Brian Love記者;翻訳 関佐喜子 ;編集 吉瀬邦彦)

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