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2010/5/17 16:56 夕刊フジ
大型連休も明け、全国の小学校は家庭訪問のシーズンを迎えている。ところが最近は、学校側から「玄関先でお願いします」と事前に念押しされ、家に先生を一切上げない“訪問”が慣例化しているという。家庭内での児童虐待事件が続発するなか、本当に立ち話だけでいいのだろうか。
「新学期になって配られた学級通信を見てびっくり。『家庭訪問は玄関先のみとさせて頂きます』とあった。これが『家庭訪問』と言えるのか?」と話すのは、小学1年生の長男を持つ都内の会社員男性(33)。
一昔前の「家庭訪問」といえば、親は手を付けないとは分かってはいても、普段は食べないようなお菓子を用意。時々、子供部屋をのぞく先生もいたりして、チビっ子にとってもドキドキする一大イベントだった。
そもそも「玄関先の立ち話」は、世の奥様方の専売特許だったはず。そこで、他の地域も調べると、東京都八王子市や埼玉県さいたま市の小学校でも「『玄関先で』と事前連絡があった」(保護者)という。都市部を中心に、玄関先の家庭訪問は広がりをみせているようだ。
前出の会社員男性は先月下旬、実際に家庭訪問を受けた。
「うちはマンションなので玄関にも入らず、通路で立ち話となりました。寒い雨の日で、『お上がりください』と呼びかけると、先生は『ここで大丈夫です。上がらせてもらっても時間がわずかですので…』と丁重に断られた。先生はウチの子と別の子の名前を取り違えるなどバタバタした感じで、4分ほどで終わりました」。とても腰を据えて話すことはできなかったという。
文部科学省は家庭訪問について「法的な定めはなく、指針も出していない」。東京都教育庁も「最終的には学校長の判断。必ず行う必要はなく、教諭の『地域訪問』を行う学校もある」(義務教育特別支援教育指導課)という。
「地域訪問」とは、先生が児童の家を目視で確認するだけという味気ないもの。23区内のある学校長は「『玄関先』や『地域訪問』が定着したのはここ10年。実は保護者の希望からなんです」と打ち明ける。
「『家の中を見られたくない』とか『共働きで忙しく、応じられない』という意見が多かった。家の中を見せていただくことは、学級運営や児童への指導にも役立つのだが…。一方で、教諭の仕事量は年々増えているため、家庭訪問を夏休みに行う学校もあるのです」
教育評論家の尾木直樹氏は「このご時世、玄関先に来るだけでも立派」と皮肉まじりに前置きしたうえで、次のように警鐘を鳴らす。
「一部の地域は学区に関係なく、自由に小学校を選択できる制度に移行しました。そうなると訪問先が車で20−30分もかかる場所にあったりして予定を組むことができない。そこまで自由を推し進めるのはバカげている。良くも悪くも児童の家庭環境を教諭が知るのは大きなメリットです」
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