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毎日新聞 3月30日(水)2時23分配信
東日本大震災の津波の被災地で、不動産業者が紹介できるアパートなどの賃貸物件が底を突いた。被災者をはじめ学生、沿岸への転勤族らから「住む所がない」と悲痛な声が上がっている。
岩手県山田町の漁業の男性(28)は、津波で家族のアパートと両親らの家も流された。「一刻も早く生活にめどをつけたい」と翌日の12日、町内の不動産業者を訪ねたが、紹介できる物件がなくなったと言われ、やむなく近くの寺で避難生活を続けている。
宮古市大通で「陸中土地建物」を経営する生内(しょうない)順一さん(43)によると、アパートや空き家など手持ちの70件の物件が津波から1週間もたたないうちに契約済みになった。連日、被災者ら大勢の人が来店するが、紹介できる物件がないという。同市宮町の「宮古住宅産業」でも看板に物件紹介を張り出せず、店内にしまった。
県立大宮古短期大学部(宮古市河南)の入学者は例年、7割前後が宮古地区以外からだが、学生(女子)寮の募集定員40人のうち、住む場所を失った学生救済のために10人の枠を設けた。新入生に回せるのは30人分だけで、民間の部屋を探してもらうしかない。新入生からは多くの相談が寄せられ、学校側は不動産業者を紹介するのがやっと。4月4日に予定していた入学式は取りやめ、授業開始も5月18日に延期した。このほか、沿岸地区に転勤が決まった人たちの間でも住宅の不安が高まっているという。生内さんは「何とかしたいが、物件がない。初めての経験だ」と頭を痛めている。【鬼山親芳】
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