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毎日新聞 4月19日(火)22時59分配信
東日本大震災では、地域経済に密着する信用金庫や信用組合も大きな被害に遭った。金融庁によると、東北6県と茨城県の信金・信組で18日時点で営業を休止している店舗は計約60店に上る。再開できない店舗が多い中、必死に窓口業務を続けているが、主要な融資先の水産加工業がほぼ壊滅状態に陥るなど経営への打撃は大きい。業界では「地元経済の復興を支えるため、公的資金投入など国の支援が不可欠」との声が強まっている。【田畑悦郎】
◇無傷は3店 石巻信金
津波に直撃された宮城県石巻市。市内を中心に12店舗を展開する石巻信用金庫は、沿岸部の3店が津波にのみ込まれて壊滅。ほかに本店など6店が被災し、無傷だったのは3店のみ。被災店舗のうち3店が窓口業務を再開したが、19日時点で窓口業務ができるのは6店にとどまる。
震災直後は本店1階も津波で水につかった。無傷だった支店に本店機能を何とか移し、震災4日後の3月15日、支店で窓口を開くと通帳や印鑑、キャッシュカードを流された預金者たちが生活資金を引き出すために押し寄せた。電気や水道が止まった店舗で、職員たちは運転免許証などで本人確認して、1人当たり上限10万円の払い戻しを懸命に続けた。同信金の佐々木雄一郎常務理事が「信金は地域経済と運命共同体」と強調する「使命感」が支えだった。
だが、地域の基幹産業である水産加工業は津波に襲われ「復旧には5年、10年かかるかもしれない」(佐々木常務理事)という惨状だ。水産物の運送や保管の業者なども含めると同信金の融資の半分が水産関連。被災が確認できれば、返済猶予の要請に応じているが、融資先が廃業に追い込まれると、貸し倒れは必至だ。住宅も多くが流され、融資全体の約3割を占める住宅ローンの返済が滞る懸念も強まっている。
◇公的資金投入に期待
経営の健全性を示す自己資本比率は10年3月末時点で11.68%。健全とされる基準の4%を大きく上回っていたが、経営体力の低下は避けられそうにない。佐々木常務理事は「被災企業に安心して融資していくには国のバックアップが必要」と公的資金投入を含めた支援に期待する。
石巻商工信用組合も12店舗のうち、本店を含む2店は今も営業できない。だが、丹野清一常務理事は「これから土木建設関連の資金需要が増えるだろう。復興に積極的に取り組みたい」と話す。担保となる不動産や営業基盤が大きく傷ついた地元企業に安心して融資できるよう、石巻信金と石巻商工信組は16日、石巻市を訪問した自見庄三郎金融担当相に対し、民間金融機関による融資について、政府が信用保証協会を通じて保証を付ける緊急保証制度の拡充などを要望した。
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