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産経新聞 4月25日(月)7時56分配信
東京電力福島第1原子力発電所の事故による放射能漏れを受け、約20カ国・地域(EU含む)が日本の食品における放射線量検査などの安全証明書を要求している。しかし、これまでに政府が対応できたのはEUとシンガポールだけ。政府の証明書がないと事実上輸出ができないことから、輸出企業からは早急な対応を求める声が上がっている。(平沢裕子)
日本から輸出される食品の安全証明書を求めているのは、タイや韓国、中国、ベトナム、オマーンなど。福島第1原発に近い東北・関東の12都県で生産・加工される食品だけでなく、日本国内全ての食品に対して証明書を求める国や企業もある。
5年前から鮮魚を中国に輸出している「長崎魚市」(長崎市)では政府の証明書がないため、4月半ばから輸出ができない状態だ。同社総合企画部の呉永平部長は「県を通じて働きかけているが、『政府の証明書でないとだめだ』と言われている。中国への輸出は水揚げの1%とはいえ、5年かけて信頼を築き上げ、ようやく定番商品として中国の消費者に受け入れられてきた。輸出できない状況が続けばお客さんが離れてしまう」と困惑する。
政府がEUとシンガポール向けの証明書しか発行できないのは、他国との交渉がまとまっていないためだ。国によって食品の安全基準は異なり、食品中の放射性物質(放射能)の基準値などを相手国から示してもらう必要がある。
しかし、基準そのものがない国もあり、水産庁漁政部加工流通課では「例えば、海藻の基準は魚と同じでいいのかなど細かい点を詰める必要もある」としている。
呉部長は「このまま日本からの輸出が滞れば、『日本の食品は危ないから輸出できない』という風評が広まる可能性がある。輸出再開は海外に日本の商品の安全性を示すことにもなるから、政府には迅速な対応をお願いしたい」と話している。
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