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河北新報 5月11日(水)6時13分配信
村井嘉浩宮城県知事が10日の政府の復興構想会議で提案した「水産業復興特区」をめぐり、賛否両論が起きている。養殖業の漁業権を企業も得られる内容で、県内の水産業関係者の間には「唐突だ」「生産意欲が減退する」と困惑が広がっている。専門家からは「企業の参入で水産業の衰退に歯止めがかかる」と評価する声が上がった。
「漁師は努力するほど稼げる仕事。国の資金支援があれば個人経営でも十分に養殖漁業を再生させられる」
宮城県南三陸町歌津でワカメやホタテ、カキを養殖する高橋兼次さん(56)は個人での養殖業復活にこだわりを見せる。県が意図する安定した漁業経営への期待より、個人事業主として収入が減ることへの懸念が大きい。高橋さんは「企業が漁業権を得るのは反対だ。漁業者がサラリーマン化して給料が一定額になれば、生産の意欲が減退する」と言い切った。
養殖業の特定区画漁業権はこれまで宮城県漁協がほぼ独占してきた。阿部力太郎理事長は「村井知事から直接説明を受けていないので真意が分からない。あまりに唐突だ」と戸惑いを隠さない。
水産業の復旧に向けた国の2011年度第1次補正予算が2日に成立したばかり。阿部理事長は「これから頑張ろうとした矢先の発言。理解に苦しむ」と県の狙いを図りかねている。
政策大学院大の小松正之教授(海洋政策論)は知事の提案に理解を示した。「提案は時代の流れ。漁港や漁船を物理的に復興させても若い人が後継者にならなければ、漁業は衰退するだけだ」と話す。
その上で「漁協による技術指導、販売戦略は限界にきている。水産業復活のためには近代的な資源管理、販売手法を取り入れ、水産物を効率的に高く売る必要がある」と述べ、新規参入を阻む障壁を取り除く必要性を強調。「試みを宮城、東北で成功させ、全国に広めてほしい」と語った。
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