災害

[ リスト ]

産経新聞 5月14日(土)7時55分配信
 東日本大震災で地盤が沈下し、海辺の住宅街や道路での高潮時の床上浸水や道路冠水が問題となっている石巻市。同市では土嚢(どのう)や排水ポンプ設置など応急対策に奔走するものの、有効策はいまだとれていない。震災から2カ月余り。市民からは「移住したい」との声も聞かれ、梅雨や台風シーズンを前に根本的な対策が求められている。(渡辺陽子)

                   ◇

 ◆危険な登下校

 「子供たちの登下校の安全を守るために、バス通学などの措置を」。9日、同市立万石浦(まんごくうら)小・中学校のPTAや保護者ら約20人が、同市に児童生徒の通学時の安全対策を求める要望書を提出した。海に面する万石浦周辺はもともと低地だった上、震災でさらに地盤が沈み、住宅街には満潮時、大量の海水が流れ込むようになった。浸水被害に加え、登校時間に満潮が重なることも多く、保護者の不安もピークに達していた。

 潮位は、高いときで約65センチまで上昇。満ち始めてから完全に引くまでには約7時間かかるため、1日2回の満ち引きで計14時間、住宅や道路が水浸しになる。

 「もう限界」。小学4年の長女や幼稚園児をもつ同市塩富町の女性(34)はぐったりとした表情でつぶやいた。震災後、毎朝子供たちをおんぶしたり、自転車の後ろに乗せたりして、なんとか“陸地”へと送り出すのが日課になった。自宅前の道路は膝上まで水が上がる。流れの速さと水圧は相当で、大人でも足を取られ、前に進むのがやっとだ。子供だけでは思わぬ事故を起こす危険がある。しかも、買い物や通院で外出できるのは潮の引いた昼間のわずかな時間だけ…。体力の限界だった。「ご近所とは集団移住しよう、なんて冗談をいうけど、それが本音。ここに住み続けるという将来像は、もう描けない」と嘆く。

 床上浸水に悩まされる同町の主婦、植木麗子さん(63)は震災後、外出用の長靴や胴長を買いそろえた。今は室内の家財道具はイスやタンスの上に上げ、2階での生活を強いられている。ピタピタと静かに道路からにじみ出てくる海水が床を湿らせる。2カ月間、同じ光景が繰り返された。「先が見えず、何も考えられない。この気持ちをどこにぶつけたら…」と声を震わせた。

 ◆恒久的対策が必要

 国土地理院の調査では、同市では震災後、水準点で78センチの地盤沈下を確認。浸水、冠水被害は広範囲に及んでいる。仙台管区気象台によると、梅雨や台風の時期には、さらに海の水位が上昇。低地では浸水被害が深刻化する可能性があるとしている。

 同管区気象台によると、降り始めから13日正午までの雨量は仙台49・5ミリ、気仙沼45・0ミリ、塩釜41・5ミリ、南三陸町志津川40・5ミリなど。

 気仙沼市松崎片浜では県道が約70メートルにわたり冠水、乗用車の通行が一時規制された。南三陸町では排水溝から水があふれ、一部の道路が冠水した。

 石巻市によると、人的被害は確認されておらず、降雨によって浸水被害が拡大したという報告もない。ただ同市防災対策課では「今後、梅雨や台風などで降水量が100ミリ単位に達することも考えられ、恒久的な対策を県や国にも訴えている」としている。


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事