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毎日新聞 6月11日(土)11時52分配信
東日本大震災の発生から11日で3カ月となった。依然として8095人(10日現在)が行方不明のままで、今も捜索が続く異例の事態になっている。警察庁は、捜索を主な任務とする派遣部隊の2000人体制を維持。自衛隊も、被害の大きい岩手県釜石市や宮城県石巻市など6市町で捜索にあたる。警察官や自衛隊員らは「一体でも多く家族の元に返したい」と、いまも汚泥やほこりにまみれながら懸命の活動を続けている。
◇すべきことまだ山ほどある
8日午後、宮城県警岩沼署員や奈良県警から派遣された機動隊が行方不明者の捜索を続ける宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区。住宅近くのがれきの山で、重機の運転手が「手のようなもの」を見つけた。隊員らが駆けつけると、男性の遺体がうつぶせに近い姿勢で泥に埋もれ、左手が不自然な形で伸びていた。震災発生から89日ぶりの発見だった。
鑑識班が着くまでの約15分間、機動隊員らはほぼ無言だった。3カ月も見つけられなかった無念さと、ようやく発見できた安堵(あんど)感が交錯したような表情を浮かべている。合掌後、手で泥を取り除き、真新しい毛布をかけた。
同地区はがれきの撤去が徐々に進んでいるが、「まだ手をつけられていないところもある」と岩沼署員。機動隊の山本英二中隊長も、「すべきことはまだ山ほどある」と話した。
未曽有の災害への対応は「惨事ストレス」と呼ばれる精神的重圧も生み、警察官らの心をむしばんでいる。
沿岸にある警察署の署員は「子供や損傷のひどい遺体を見るとやり切れない。夜中に跳び起きてしまう同僚もいる」と明かした。
10日現在の宮城県内の行方不明者数は4913人。県警の竹内直人本部長は「捜し尽くしたと言えるまで徹底的に捜す」と話す。
一方で、職員のメンタル面について「3カ月を過ぎると限界に近い状況もあるかもしれない」と懸念を示した。【高橋宗男】
◇遺体、一日も早く家族に
いまだに事故が収束しない東京電力福島第1原発の地元、陸上自衛隊福島駐屯地の第44普通科連隊。防護服で全身を覆い、津波を警戒しながら原発周辺で行方不明者の捜索をしてきた。がれきを撤去しながらの捜索は8日で区切りとなったが、漂着する遺体の確認などは今後も続く。
松井貴仁3佐(34)が率いる約130人の第3中隊は5月3日以降、原発から約3〜5キロの双葉町や浪江町で活動を続けている。
駐屯地から現地まで車で2時間半。午前6時過ぎに集合し、解散は午後7時を回る。活動地域の放射線量を30〜60分ごとに測って無線で共有し、専門の小隊が高台でラジオを聞いて津波を警戒。非常時に無線が通じないことを想定、車のクラクションで知らせる合図も決めている。
「何かあったら補償してくれるのか」といった隊員の家族からの問い合わせも今はなくなった。
震災直後の1カ月半は宮城県石巻市で捜索活動にあたり、1日に86体を収容した日も。「遺体の表情が目に焼き付いて離れない」と訴える隊員もいた。
6月2日以降、第3中隊は遺体を発見できていないが、被災地には多くの行方不明者がいる。松井中隊長は言う。「警戒区域で活動できるのは自衛隊や警察だけ。一日でも早く、家族にお帰ししたい」【鈴木泰広】
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