災害

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産経新聞 9月7日(水)3時33分配信

台風12号による土砂崩れや橋の倒壊で道路網が寸断され、孤立状態になっている奈良県十津川村に6日、陸上自衛隊のヘリコプターに同乗して入った。面積の96%が山林の村内には、むき出しの山肌がそびえ、茶色く濁った川がすさまじい勢いで流れていた。(徳原麗奈)

 自衛隊のヘリは、同村北部の観光名所「谷瀬の吊り橋」の近くに着陸した。住民の好意で車を借り、南に約15キロ離れた野尻地区に向かった。蛇行する道の途中、土砂崩れによるがれきや倒木などが片側の車線をふさぐ。川のように水浸しになった道路を約30分かけて慎重に抜けると、ひときわ激しく土砂が崩れた現場が目に飛び込んだ。

 そこが野尻地区だった。ともに行方不明の村職員の岡修作さん(33)宅とバス運転手の浦上圭三さん(33)宅だった村営住宅2棟が3日夕に流され、岡さんの妻、美佳さん(36)が死亡、7人が行方不明になった現場だ。

 2棟は土台だけを残し、すべてが流されていた。対岸の山肌は中間付近から100メートルほどえぐり取られるようにして土砂が川に流出していた。

 岡さんの家の土台付近を歩くと、泥をかぶった黄色の手提げ袋が落ちていた。岡さんの長男、青希(しょうき)ちゃん(4)と長女、いちるちゃん(1)も行方不明。中からおもちゃのピアノがのぞいていた。近くにはアニメのキャラクターが描かれたタンバリンも。さらに行くと、絵本が泥をかぶった状態で置かれていた。タイトルは「あいしてくれてありがとう」。美佳さんが読み聞かせていたのだろうか。

 一方、浦上さん宅の土台部分には大破した車が乗り上げていた。後部の窓ガラスはすべて割れ、チャイルドシートなどが車内で散乱している。妻(34)と9歳の長女は救出されたが、長男の和哉さん(11)が行方不明のままだ。

 「さっきまでいた家。そんなはずはない」。同村滝川の主婦、舛谷美奈子さん(33)は2棟が流される数時間前まで浦上さん宅を訪れ、家族ぐるみでだんらんしていた。

 帰宅後、知人から「(浦上さんの)家が流された」と聞き、夫と急いで車で向かったが、「何もなかった。水で全部持っていかれた」と話した。

 自衛隊や警察の捜索活動は、現場から何キロも下流で行われていた。


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