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毎日新聞 9月29日(木)22時26分配信
専業主婦の妻ら第3号被保険者制度の見直し案で、厚生労働省が29日に示した「保険料の半分を妻が払ったとみなす」二分二乗案は、専業主婦らの受給権を高めるとともに、働く女性たちの批判に応えようとしたものだ。しかし夫婦で合算した負担に変化はなく、「不公平感の解消」につながる保証はない。
3号制度について、小宮山洋子厚労相は「本当におかしな仕組みだ」と批判しており、厚労省は同日、年金分割案以外に(1)妻に保険料負担を求める(2)夫に追加負担を求める(3)妻の基礎年金を減額する−−との3案も示した。ただ、いずれも不公平感解消には有力でも負担増を伴うため、同省は年金分割案を本命視している。
04年改革時も同じ議論を経て、厚労省は分割案を選んだ。これは社会保障制度の設計単位を「夫を主とした世帯」から「夫と妻の個人」へと変える試みでもあるが、原案段階で自民党保守派から「家族の絆を壊す」と反対論が噴き出し、分割は離婚時のみに限定された。今回も働く女性から「まやかしだ」との批判を受けると同時に保守派の反発も買いそうだ。
一方、同時に示した年金額を本来水準まで下げる案は、給付総額を抑制するために04年改革で導入した「マクロ経済スライド」を発動させる狙いがある。
同省は物価が下がったときは発動しない同スライドの仕組みを改め、デフレ下でも機能させることを視野に入れる。だが、この制度は年金が本来水準に戻らないと発動できず、まずは特例水準の解消が大前提となる。
給付に本来水準との差が生じたのは00年度。物価下落局面なのに3年間支給額を据え置き、年金は本来より1.7%高くなった。04年改革ではかさ上げ分が相殺されるまで、物価が上昇しても年金額を据え置くなどとしたが機能せず、11年度はかさ上げ分が2.5%まで拡大した。
年金を2.5%削って本来水準に戻せば、3年で約3000億円削減できるという。しかし、満額の基礎年金(11年度、月額6万5741円)で月に約1600円、年間なら2万円近い減額となる。高齢者が反発し、与野党内に異論が出るのは確実だ。厚労省はこのままだと「12〜21年度の10年間で支給総額は5.1兆円増」と試算するが、民主党政権が減額に踏み切れるかどうかは不透明だ。【山田夢留、鈴木直】
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