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毎日新聞 3月10日(土)19時58分配信
東日本大震災から1年を迎える被災地では多くの企業が支援活動を続けている。震災直後は使途を特定しない義援金の拠出が相次いだが、最近は漁業の再生など目的を絞った支援が増えてきた。資生堂が仮設住宅で化粧やマッサージを施すなど本業のノウハウを生かした活動も多い。
津波で魚市場がほぼ全壊した宮城県南三陸町の志津川漁港。宅配便大手ヤマトホールディングス(HD)の支援を受けて建設された仮設魚市場で連日、威勢のいい競りの掛け声が響いている。
秋に遡上(そじょう)するサケを取り、翌年度以降の放流を続けるためにも、魚市場の復旧は急務だった。だが、「国の助成が認められるには時間がかかる」などとして地元が頼ったのがヤマトの支援制度。昨年10月にテント幕の「仮設魚市場」(約1200平方メートル)が建てられ、秋サケの漁に間に合った。ベルトコンベヤーや製氷機も備え、5年間使える。
ヤマトは11年度に取り扱う宅配便1個につき10円の寄付を決定。総額約130億円と見込んだ寄付金は、行政の支援が届きにくい分野で有効活用してもらうため、行政を通じた義援金ではなく、ヤマトの財団を通じて被災地に渡すことにした。2月末までに仮設魚市場のほか、養殖業者の資材購入、保育所の高台移転など24件を支援先に選んだ。「冷凍用の宅配便を活用してくれた東北の農水産業者に直接恩返ししたい」という思いもあったという。
資生堂は被災者に化粧水や口紅などのセットを配り、美容部員が化粧やマッサージを施す活動を続けている。
きっかけは震災直後、被災地の女性から届いた「避難所の女性たちは肌も心も傷ついている」というメールだった。昨年4〜7月に美容部員らが避難所を回り、3万人超の被災者が参加した。メークをすると「心が浮き立つ」「日常が戻ってきたよう」と喜ばれたという。現在も月に数回程度、要望があった仮設住宅を美容部員が訪問している。
雇用創出につながった例もある。たこ焼きチェーン「築地銀だこ」を展開するホットランドは昨年12月、長期的に復興を支援しようと本社を群馬県桐生市から宮城県石巻市に移した。現地に「築地銀だこ」やカラオケ店などが入った「ホット横丁」を開業し、地元の約100人を新規採用した。タコの加工場を新設する計画もあり、同社は「さらに雇用を生み出したい」という。【寺田剛、柳原美砂子】
◆主な企業の被災地支援活動
ヤマトHD 宅急便1個につき10円を積み立て、漁港再生などを支援
資生堂 化粧品セットを配布、メークやマッサージも実施
ホットランド 本社を群馬県から宮城県石巻市へ移転
サントリーHD 缶製品1本につき1円を積み立て、総額約40億円のうち20億円で岩手、宮城県の漁業者の漁船取得を支援
トヨタ自動車 宮城県大衡村に企業内訓練校「トヨタ東日本学園」を開校予定
富士フイルムHD 水や泥で汚れた写真を洗浄。今後はイベントなどで写真を持ち主に戻す活動に力を入れる
ファミリーマート 被災者がフランチャイズ店を出す際、加盟金(52万5000円)や開店準備手数料(105万円)を免除
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