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毎日新聞 6月8日(金)11時22分配信
政府は8日、政府の計画としては初めて喫煙率低減の数値目標を盛り込んだ「次期がん対策推進基本計画」を閣議決定した。10年の調査で19.5%の成人喫煙率を22年度までに4割近く引き下げ、12%を目指す。
厚生労働省の10年の調査によると、成人の喫煙率は19.5%(男性32.2%、女性8.4%)。「たばこをやめたい」との回答者(37.6%)全員が禁煙すると喫煙率は12.2%になるため、今後10年間の目標値とした。受動喫煙の機会がある割合も、飲食店で現在の50.1%を15%、家庭で同10.7%を3%、行政と医療機関で0%までの低減を目指す。
07年に策定された初の基本計画で喫煙率半減の導入が見送られるなど、厚労省による数値目標の設定は業界やたばこ税を所管する財務省などの壁に阻まれてきた。しかし日本も批准した世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組み条約」が05年に発効。喫煙率が約20%だった米英も20年までの半減を掲げ、条約に沿った取り組みが求められていた。
閣議決定されると、自治体も含め目標達成の具体策が求められるが、日本たばこ産業(JT)は3月段階で「国の介入による特定数値への誘導は問題」と反対を表明していた。年間のたばこ税収約2兆円の半分は地方の税収で、数値目標は税収落ち込みにつながるとみられ「財政状況の厳しい自治体への影響は大きい」とけん制する。
全国たばこ耕作組合中央会によると、農家戸数は以前から右肩下がりだったが、10年のたばこ増税の影響などで、同年の1万1591戸が今年は6313戸とほぼ半減。同会職員は「葉タバコ農家はあきらめ気味。分煙による共存が望ましいが、作りたくても作れない時代」と嘆く。
一方、日本医学会などは「がんの年間死亡者は約35万人で4分の1は喫煙によるものとされる。高く評価する」と全面的に支持。「目標は低すぎるし、遅すぎる」と手厳しいNPO法人「日本禁煙学会」(東京都新宿区)の作田学理事長も「自民党時代は族議員がいてなかなかできなかった。目標はないよりはまし。この点は政権交代した意味がある」と話している。【井崎憲】
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