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読売新聞 3月17日(木)14時38分配信
「少しでも遠くへ、遠くへ」──。東京電力福島第一原子力発電所(福島県双葉町、大熊町)で高い放射線の漏出が止まらないなどの事故を受けて、住民の県外避難が17日、本格化した。
避難域の相次ぐ拡大で、避難所を転々とすることを強いられる住民に不安は隠せない。福島からの県外避難は6000人に上る。県は正確な情報に基づく冷静な行動を県民に求めている。
さいたま市の「さいたまスーパーアリーナ」に福島からの避難者が次々と入った。地震時に福島第二原発で仕事をしていた福島県郡山市の男性会社員(32)は「何かあってからではもう遅い。小さな子を少しでも安全な場所へ」と妻と子を連れて来た。「埼玉でアパートを借りたい」と話した。避難の受け入れは31日までの予定。埼玉県は各市町村に、避難所確保を要請した。
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山形県米沢市は3か所の避難所で600人以上を受け入れた。市営体育館に入った福島県浪江町の薬剤師山形千恵子さん(57)は「何十年も帰れないことも考えないと……」と肩を落とした。避難所を転々とし、福島県内で旅館に泊まろうとしたが、「放射線を浴びていない証明ができないと、入れない」と断られた。
山形市の施設「山形まなび館」。福島県相馬市で旅館を営む管野正三さん(50)は3号機の爆発で県外避難を決意し、親類と車でたどり着いた。「旅館はもう営業が難しい。帰る家もなく、次はどこへ行ったらいいのか」。山形市総合スポーツセンターに逃れた福島県南相馬市の新川洋子さん(75)は相馬市、福島市を転々として山形に。60年近く暮らした家を津波にさらわれた。「結婚式の写真も、亡くなった息子の写真も思い出が流された。それでも、生きているんだから」と気丈に話した。
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茨城県つくば市の洞峰公園体育館は17日午前、200人以上を受け入れる。おにぎりなどが配られた。福島県いわき市の会社員市川英明さん(44)は16日夜、家族で避難。「ガソリンがなくなる前に避難を決断した。東電が言っていることに不信感がある。気持ちをぶつけるところがない」と目を伏せた。
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新潟県新発田市カルチャーセンター。相馬市の漁師佐藤行雄さん(61)は、自宅が津波にのまれた。「あてもなく逃げ、ここについた。復興なんてできそうにない……」と声を震わせた。
同県上越市の体育館に避難した福島県南相馬市の会社員志賀秀幸さん(30)は「消防団員として活動中に原発から爆発音とともに煙が立ち上るのを見た。被曝(ひばく)が心配になり、検査を受けて異常がなかったので安心した。自宅が避難指示の地域にあり、友人のいる上越に避難した。早く沈静化してほしい」と話した。
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福島県の佐藤雄平知事は県民に「落ち着いて正確な情報を基に行動していただくよう心からお願いします」と呼びかけた。
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