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毎日新聞 3月10日(土)20時12分配信
 東日本大震災から11日で1年を迎える。今なお34万3935人が全都道府県に散って避難生活を送り、うち11万6787人が7県の仮設住宅に暮らす。死者は自然災害で戦後最悪の1万5854人に上り、3155人は行方が分からないまま。岩手、宮城、福島3県で推計約2253万トンのがれきが発生したが、最終処理済みは6%にとどまる。被災自治体の復興計画は5〜10年での完了を想定し、道のりは遠い。福島県はこれに加え、放射能汚染にも苦しむ。被災地では「風化」を懸念する声が強く、継続的な支援が求められている。【北村和巳】

毎日新聞 3月10日(土)20時8分配信
 毎日新聞は震災から1年を機に、6回目の被災者追跡アンケートを実施した。1年間の調査を通じ、住んでいた地域に戻りたい人が8割前後だったが、復興の見通しは調査の度に揺れ動き、今回は過半数が「難しい」と答えた。地域の未来が見えない中で苦悩する被災者の姿が浮かんだ。

 調査は同じ被災者100人に震災から1、2、3、6、9カ月時点に実施。今回は岩手29、宮城21、福島22の計72人が答えた。

 「住んでいた地域が復興できると思うか」の質問に、1〜3と9カ月は「できる」が多数だったが、6カ月と今回は逆転した。

 福島は今回、7割超が「難しい」。郡山市に避難する河村勝男さん(50)は「除染完了は30年後。故郷の富岡町の墓に入れれば戻ったことにしたい」と話す。岩手も5割超が悲観的で、宮城は「できる」が7割弱だった。

 余震などに不安を抱える人が4分の3で、震災の心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ人もいる。生計のめどが立った人は初めて半数を超えたが、福島は3割弱で、うち5人の県外避難者ではゼロ。行政に最も望むことは、情報提供が初めて2割になった。最も訴えたいことでは「震災を風化させないで」が目立った。

 京都大防災研究所の林春男教授は「情報提供のニーズが増えているのは将来展望が見えないからだ」と分析した。【まとめ・馬場直子】

河北新報 3月10日(土)6時10分配信
 村井嘉浩宮城県知事は河北新報社のインタビューで、県外への搬出が難航する震災がれきの処理の遅れを懸念し、受け入れ反対の動きに不快感を示した。10年後の県土復興に向け、壊滅的被害が出た水産業の再生に力を注ぐ考えを強調した。

 −震災1年を迎える。

 「全力で走ってきたので、あっという間の1年だった。最初の2カ月はきつかったが、指揮官が青い顔をしていたら県民が動揺する。努めて冷静に、元気に振る舞った。震災対応には反省点もあるが、やれる限りやった自負はある。問題解決を先送りせず、気付いたことはすぐに指示した」

 −国の震災対応はどう評価しているか。

 「被災者からすれば、遅かったことは間違いない。ただ、衆参がねじれる中、増税までして復興財源を確保した。これは高く評価したい。主張がぶつかり、関係が険悪になった時もあったが、全ては被災者のため。目指す所は一緒だった」

 −がれき処理が進んでいない。2013年度に完了できるのか。
反対の声残念

 「がれき1800万トンのうち、350万トンは県外搬出することを前提に『あと2年で処理』と言っている。現在、県外搬出が決まったのはわずか9%、32万トンだ。県内処理を増やす努力はするが、県外搬出が計画通りに進まなければ完了目標は延ばさざるを得ない」

 −受け入れ反対の動きをどう見ているか。

 「県外搬出する宮城のがれきの放射能は問題ない低いレベルだ。同じ日本人が困っているとき、誤った認識に基づき反対を叫ぶことが、正しい姿のようにとらえられる風潮は残念で寂しい。がれきを山積みにしておくと自然発火の恐れがあるし、腐敗もする。何より、災害の象徴であるがれきが減れば、被災者を元気づけることにつながる」

 −福島県に近い県南地域の住民は放射能対策の強化を求めている。

 「丸森町の一部地域は福島県内より放射線量が高い。県境で線を引き、対策や損害賠償に差をつけるのは理屈に合わない。小型線量計の配布や健康調査を求める声もある。県が実施する場合、貴重な税金を投じる明確な理由が必要だが、専門家の意見は『不要』だった。福島との格差解消は必要だが、それを国ではなく、県がやれという要求に応じることは難しい」

 −高台や内陸への集団移転が進んでいない。

 「合意形成に時間がかかっているが、これから徐々に進んでいくと思う。県の方針は復興計画に示した。高台移転、集団移転ありきだ。市町村の自主性に任せる形でなく、県が法的な強制力を持って、移転事業を進められる態勢なら良かった」

 −沿岸漁業の漁業権を法人にも与える「水産業復興特区」導入に向けた準備状況はどうか。

 「いくつかの浜で企業と漁業者のマッチングを進めている。水面下で慎重に。株式会社化できれば、まずは漁協の組合員となり、事業を始めてもらう。漁業権が更新される来年9月に特区を導入する。県漁協とはその間、よく話し合いたい。『知事がそこまで言うなら仕方ない』と思ってもらえる形にしたい」

 −東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の再稼働はどう考える。
一緒に知恵を

 「安全評価(ストレステスト)、福島第1原発事故の検証を国の責任で十分行うことが肝心だ。その結果を待ち、周辺自治体と判断する。県独自の安全基準を設ける必要はないが、安全性が担保されない限り、首を縦に振れない」
 「ヒステリックに『原発は駄目だ』と決めつけることには、慎重であるべきだ。地球温暖化を考えれば火力発電が正しいわけがなく、再生可能エネルギーだけで日本の経済力を支えるのも無理だ。原発か、脱原発か、国の政策が定まらないうちは、再稼働を選択肢から外すことはできない」

 −県地域防災計画をどう見直す方針か。

 「今回、あれだけ大きな揺れにもかかわらず、地震の犠牲者は少なかった。県の地震対策はほぼ万全だったが、津波の備えは不十分だった。今回と同じ最大級の津波を想定し、徹底的に防災計画を見直す。今まで考えたこともなかった燃料不足、市町村の行政機能喪失が起きた場合の支援態勢も確立したい」

 −復興庁に注文は。

 「半歩、被災自治体に寄るべきだと思うが、現状は完全に国の役所だ。被災地がやりたい事をどう国に認めさせるか、一緒に知恵を出す組織であってほしい。復興庁に査定官は必要ない」

 −政治家として今後の復興に向けた決意は。

 「こういうときに知事だったことで、天命を感じる。宮城の復興を成し遂げることは、人生最大の仕事ととらえている。この先、どんな立場になったとしても、終生、復興を応援する」

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