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1月20日7時56分配信 産経新聞
日本航空が19日、会社更生法の適用を申請したことで、日本政策投資銀行や3メガバンクなどの取引先銀行はまず約3500億円の債権放棄を求められる。今後の調整で、放棄額が膨らむ可能性があるほか、経営支援で保有した日航の普通株や優先株にも損失が発生。各行の業績に与えるダメージは小さくない。銀行団の間には「きちんとした説明もないまま借金を棒引きにされた」(大手銀行首脳)との不満がくすぶっており、今後の支援体制にヒビが入り、再建に影響が及ぶ可能性もある。
◆くすぶる不満
企業再生支援機構は、債権を保有する銀行や生命保険会社など32社に対し、無担保部分の83%一律カットを求めており、その額は計3585億円に上る。
しかも法的整理となったことで、担保を確保している債権についてもカットが可能になった。計画案は、企業年金基金の解散を前提としており、OBの合意で減額が決まり、存続することになったため、1千億円程度の追加負担が必要で、今後の調整で放棄額が膨らむ可能性もある。
銀行団の間では、本来ならカット対象となる商取引債権が全面保護されるため、「法的整理といっても平等とはいえない」(大手銀行)との不満が強い。
前身の日本興業銀行がメーンバンクだったみずほコーポレート銀行の場合、債権放棄などの金融支援は464億円。これに、約200億円の優先株の大部分が棄損するほか、普通株約3500万株(平成21年3月末時点)は紙くずとなる。一定の引当金を積んでいるが、数百億円規模の損失計上を余儀なくされる恐れがあるという。
支援機構は、3メガバンクに対し、更生計画策定後の融資など追加支援を打診している。しかし、多額の損失に加え、主張していた私的整理がほごになったわだかまりもあり、「政府保証が付かないと、新規融資は難しい」(メガバンク幹部)と、再建中の支援に消極的な姿勢を示している。
◆新たに融資枠
この結果、機構とともに支援を行う日本政策投資銀行は、すでに設定している2千億円に加え、新たに2千億円のつなぎ融資枠を設定するなど、過度の負担を強いられる。
融資枠には今後、政府保証が付く見通しだが、予算措置が遅れると、22年3月期決算で引当金の積み増しを迫られ、2期連続の最終赤字に陥る可能性がある。
航空保険を扱う東京海上日動火災保険も日航株を保有している。社外取締役を派遣するなど日航とは親密な関係にあり、日航を支え続ける考えだ。ただ、保険業界でも「問い合わせても『お答えできない』の一点張りで、いっさい情報がない」(大手生保)と、支援機構への不信が強い。
日航再建に不可欠な金融機関の支援体制の構築は容易ではない。
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