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消費者行動を規定する要素の一つとして、準拠集団がある。例えば、個人が実際に所属している集団に友人、隣人、会社の同僚などがある。また、実際に所属はしていないが、所属することを望んでいる集団、例えば、芸能人、スポーツ選手などがある。逆に所属しないことを望む集団などが挙げられる。例えば、購買において、ある集団を模倣にしたくないと思ってしまうときがそうである。日常的に、あこがれの芸能人が持っているモノと同じモノを、自分も所有したいと思うことがある。また、ある催し物の販売において、自分だけ買わないとバツが悪く感じて、つい買ってしまうのも社会的特性による準拠集団と言える。
他にも個人的特性に年齢、ライフサイクルの段階、職業、経済的状況などがある。また、心理的特性に、購買動機、状況確認の仕方、経験の積み重ねによる行動の変化、学習を通じて形成される信念や態度などもある。この心理に、普段ならお昼ご飯を立ち食いそばで済ませてしまうが、彼女といっしょのときなら洒落たレストランに行く心理はまさしく心理的特性である。ビジネスにおいても服装やマナーなど基本的な価値観を形成するうえで大きな影響を与える。それは一定範囲の社会に共通の基本的な価値観、信念、規範であり、代々受け継がれていく文化的特性なのかもしれない。さらにいうなら、人たちはそれらに影響される意思決定基準は副文化にある、国籍、宗教、人種などや社会階層の基準、例えば、職業、所得、富、教育などに序列化された集団に当てはめている。
そうした特性は決して悪いことではない。ただ、環境が不連続な変化を起こしているとき、例えば、集団、団体を会社や国の政治とするなら、業績が悪化して危機的な状況を迎えていても、組織は革新的(戦略的)組織変革に至らないことがある。なぜなら、組織が過去の戦略や行動様式にしがみつき、組織的な変革を結果的に回避してしまうことがしばしあるからである。それが組織慣性である。その要因として、過去の意思決定が誤っていることを認めると、これまでの投資が埋没コストとなってしまうからである。
繰り返しになるが、変革を結果的に回避するということを平たくいうなら、過去、会社に成功をもたらした戦略を繰り返したほうが、まったく新しい戦略をとるよりも無難であると考える傾向があるためである。要するに、今度こそは成功するだろうと、思い込んでしまい、例え、適切なデータを入手できたとしても、そのデータを解釈する認知枠組は既存の組織文化に依拠しているために、それらの重要性を過小評価してしまったり、不適切な解釈をしてしまう可能性が高い。
変革にあたっては、変革(ダブルループ)を創始する必要性が認識されなければならない。そのためには、いままでにないような多様な解釈(意味・教訓)を導き出せる程度が高い、すなわち潜在的多義性が高い情報(経験)を組織にスラック資源として保有し、多様な解釈が成立しうる生のデータをリッチに(多様に)解釈する必要がある。言い換えれば、経営陣に有りがちな過程において従来どおりに解釈されてしまうことで経営陣がリッチに解釈する余地がないまま見過ごされてしまうことにある。
トップに求められるのは、組織に学習する価値観を埋め込むことができるリーダーシップにある。そのためには、専門に担当する管理者およびチームを結成し、トップマネジメントがそれを支援することにある。また、現場サイドのなかにも情報の多義性を増幅し、リッチな解釈をするために、関連する多様な領域、バックグラウンドをもつ人々からなる自律的組織を編成する。革新的なアイデアは暗黙知の形態をとるが、フェイス・トゥ・フェイスの暗黙知を組織的に共有したり、新たな形式知を創造する。それぞれのメンバーは、自己の専門領域をもちつつも、組織全体に関する知識、情報を共有していなければならない。
政権が交代して、ようやく首相の所信演説の運びとなった。その内容はともかく熱意ある52分間だったと思う。しかし、マニフェストを掲げたときと今の状況のなかでは、すでに環境の変化が生じているように感じてしまうのは私だけだろうか?
状況が不確実性の高いなかでは柔軟性の確保と組織の活性化を図っていかなければならない。少なくとも、国家戦略局の骨格組織として、内閣府に設置され行政刷新会議は現場的な観点から、国の予算、制度その他、国の行政全般の在り方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行うことを目的としているはずである。そのはずが、政権交代から今日までは、マニフェストオンリーとなっている感がある。
八ツ場ダム問題では代替案の模索となった。また、JAL再建問題では企業再生支援機構の傘下で国が再建することとなった。さらに郵政問題では元官僚出身者が再建することになった。結局のところ、ふりだしにもどった感があり、肝心な予算の穴埋めに国債発行が必要になるのなら子供手当てやその他の手当ての意味を成さない。さらにいうならJAL再建問題の資金繰り対策として金融機関のつなぎ融資に対する政府保証の有無が焦点となっているが、中小企業向け融資の返済猶予も政府保証、政府が肩代わりする緊急保証制度の承諾額は14兆円とすでに政府が用意した半分に達している。歳末にかけてまだまだ必要とされる中小企業は少なくない。雇用情勢の悪化や消費低迷、円高など悪条件のなかで金融機関に返済猶予の対象を元本だけならともかく利息も対象とするなら、さらなる政府の支援が必要になってくる。
すべては、国家戦略局が生のデータをリッチ情報に解釈し、まわりの大臣たちが保有している各種の暗黙知を形式知化して結びつけることで、新しい価値を創造し、組織的に共有していく取り組みができているかである。これらすべてイノベーションを頻繁に行う必要のときであり、ダウンサイジングなど重要な意思決定のときでもある。いうなら、革新を行ってきた組織の危機的直面である。
そもそもマニフェストは総花的で指針を欠く公約と、ならないようトップとしての決断を願いたい。決して「過去の失敗、、」に記載した新産業都市やテクノポリスの実態のように新産業都市は「公害の地方への拡散」、テクノポリスは「ばらまき財政」など比喩されない政策にして頂きたい。
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