ことのはの部屋

いつも現実逃避してやりすごすけど、辛いことから逃げても幸せにはならないって知ってる・・・

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こんにちは。
あいうえお小説は、あいうえお順にテーマを決めて小説を書いてます。
なるべく、短く。そしえて、小さな恋愛の一歩を楽しんでもらえたらと思います
 
 
あいうえお小説「ほ」〜放課後〜
 
中学生の時に夢見ていた、高校生活は少女漫画のようにドキドキとワクワクの連続だと思っていた。
 
でも、実際入ってみると何一つ特別なことはなくて淡々と進んでいった。
 
「あと4ヶ月で卒業だねー」
 
友達とひと月越すたびに、そんな風に言い合う。
 
「はやいよねー」
 
「あっという間だ」
 
「半年後には大学生?」
 
「私は専門いくけどね」
 
「なんか寂しいなー」
 
そんな他愛もない会話をあちこちできく。
 
中には、高校生活を満喫する子達がいる。
 
思う存分部活に打ち込む子、スカートを折ってメイクをして自分を磨く子、恋愛をしている子
 
留学した子、アルバイトであくせく働く子、生徒会をバリバリやっている子
 
楽しかったけど、これといって誰かに話して聞かせたいトピックないなぁ。
 
私の高校生活はその一言に尽きる。
 
と、思っていた。
 
 
「あのさ」
 
夕焼けにもまけず、真っ赤な顔をしたクラスメイトに呼びかけられた。
 
長谷部ゆうすけ君。
 
バスケ部、元副部長
 
長身。目測で180cm前後。
 
目立たった顔つきではないが、よく見ると目鼻立ちがはっきり。
 
中学の時に入っていた塾が同じだった子
 
その他にデータは特になくて、目が合えばあいさつするかなって程度の人。
 
「なに?」
 
緊張した面持ちの長谷部くんに、警戒して答えると長谷部くんはますます緊張して。
 
「受験終わったらさ」
 
受験終わったら。
 
あ!
 
「もしかして、3月にやるっていうクラス会の話?」
 
確か長谷部くんが幹事だったはず。
 
出欠もう取るのかな?
 
「いや、そうじゃなくて・・・」
 
長谷部くんは困ったように、俯いた。
 
それから、がばっと顔をあげた。
 
「受験終わったら、どっか行こう」
 
言われて意味がつかめると、顔がぼぼぼぼぼっと赤くなっていくのがわかった。
 
え!?なになに、聞いてない。なに、このイベント!
 
「へ」
 
思わずもれたのが、気の抜けた音。
 
「やっぱりダメ?」
 
困ったちいさな男の子みたいな目で私をみる。
 
近所の男の子みたいで、不覚にもかわいいと思った。大きいくせに。
 
「いいよ」
 
そういうと、シュートでも決めたように長谷部くんは、よしっと笑った。
 
それから真面目な顔で
 
「二人で、ね」
 
と付け加えた。
 
私はまた顔が熱くなる。
 
男の子とどっかいくなんて、高校に入って初めて。
 
それから、にやっと笑って。
 
「俺ね、ご褒美ある方が頑張れるタイプなんだ。さんきゅ」
 
そう言うと、さっと軽やかに立ち去った。
 
窓から差し込む夕日がが長谷部君の背中を照らす。
 
ありきたりだと思っていた私の高校生活にも、おもいがけないことがあるもんだ。
 
「私も、ご褒美あると頑張れるんだよねー」
 
にっこりと笑って、かえって参考書でもやろうかなーと思い始めていた。

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