だべり場

プリキュアおじさんの住処

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 タイトルの通り、今日は休日だ。つまり昼間まで寝ていられるのだ。
「zzz」
 布団にしがみつき、安らかな寝息を立てる僕。それはもう眠り姫の如く。誰かの口づけでのみ目を覚ますかのような、死んだような眠りについていた。のだが。
 ガガガーー!!と大きな物音が聞こえてきた。煩わしい。多分掃除機の音だ。休日は勘弁してくれって言ってるじゃないかカーチャンよ。仕方ないので僕は目を開けて状態を起こし、辺りを観察してみる。すると、僕の部屋で掃除機をかけているココロの姿があった。カーチャンが日頃使っている小汚いエプロンを装備して頭にはバンダナを巻いて、せっせこ働いている。うわあ…。カーチャン早速使いたい放題だな…。
「清さんおはようです」
「あ、ああ。おはよう…カーチャンにやれって言われたのか?」
「如何にもです」
 掃除機を掛けながら淡泊に応答するココロ。僕は頭を掻き毟った。
「カーチャンさんはお出かけになりましたです」
「へ?どこ行ったの?」
「デパートだそうです。「今日は特売の日だから、ココロさんに家事頼んじゃうわね!」です」
「ふうん。それでやらされてんのか」
 それにしても几帳面な。パッと見ただけで分かる…普段のカーチャンのやる気のない掃除とは全然違って、同じ掃除機を使っているのに僕の部屋が凄く綺麗になっている。主に部屋の角の埃があるかないかの違いだ。まあ、ロボットだからな。手を抜かないのだろう。
『完了』
 ココロのモノアイ画面に『完了』という文字が現れて、ココロは掃除機を片づけだした。昨日から薄々思っていたが、このゴーグル風のモノアイ画面はどうやら眼としての機能以外にも色々できるようだ。今のように文字を写しだしたりな。
「なぎさは?」
「なぎささんはご友人の家へ行かれましたです。帰宅は6時ほどになるそうです」
「ふむ。じゃあ今家には僕とお前だけってことか…」
 ロボットとはいえ女の子と家で二人ぼっちってことだよな……。興奮してきた。
 といっても僕は変態だが同時に紳士でもあるので手を出したりはしない。とりあえずいつも通り着替えて、飯を適当に食って、ゲームでもするかな。それとも僕も出かけてみようかな。僕はジーパンにジャケットを合わせて着るのが普通だ。ダサいと言われても、これくらいしかレパートリーが無いのだから仕方がない。そもそも服なんてそんなに種類持ってないのだ。偏怠学園が制服登校で実はすごく助かっている。私服ダサいから。
 
 自室がある二階から降りて、適当に食パンでも食べて、また自室に戻る。ゲームするって言ってもな…。実際最近は新しいソフト買ったりしてないし、ドラウォも既に全クリ済みだ。やり込み要素も大概やり込み終わっている。今更一人でするっていうのもな…。ア・ヴェでも呼ぼうかな。そう思って携帯電話のアドレス帳からア・ヴェに電話してみたが、なんだよ留守かよ。
「あー、暇だな」
 一人呟く。虚しい。
 ココロが何やってるのか見てこよう。
 
 トーチャンの部屋に入るのはいつ振りだろうか。部屋の扉を開けて中の様子を確認する。人の気配はない。一歩踏み込んでみるが、やはり人の気配はない。
「おーい、ココロー」
 …返事はない。いないのかな。僕はトーチャンの部屋から出た。
 一階に降りてみると、果たしてココロはいた。一階の窓から見える我が家のそんなに大きくない庭にココロはいた。洗濯物を外で干しているようだ。なにもそこまでしなくてもいいのに。ちなみに今更だが僕の家は一軒家である。トーチャンの転勤先にたまたま安い物件があったので買ってみたのだ。しかし、あそこまで安いとなにかワケアリじゃないのかと疑ってしまう。今のところは何もないが。
 僕は窓を開けてココロを呼んだ。
「なにか用です?」
「いや、特に……いや、洗濯物干し終ったら一緒に出掛けない?本屋とか」
「申し訳ありませんが、洗濯物を干した後に食器洗いも残っておりますです」
「そ、そうか……じゃ、その後は?」
「その後は何もありませんです。自由時間です」
「じゃ、ちょっと付き合ってくれよ」
「了解です」
 ココロは頷いた。
 
 僕はココロと近所の古本屋に来ていた。特に何か目当ての漫画やら小説やらがあるわけではない。暇つぶしだ。店員がココロの事を見て少し不思議そうにしていたが(主にゴーグル風のモノアイ部分を見て)客に対して失礼なことは窺えないので見て見ぬふりをしていた。
「あー、懐かしいなこれ」
 僕は小学生のころ読んでいた漫画を手に取って適当に読んでいた。あんまり面白く無かった。まあ、当時からあんまり面白いとは思ってなかったけど。その間、ココロは僕の隣で立ち読みするでもなくじっと棒立ちしていた。ちなみにココロは白いブラウスに赤と黒のチェック柄のスカートを穿いている。まあ、無難な感じだ。
「な、なあ。何か読んだりしないのか?」
「読んだ方が良いのです?」
「いや、そうじゃないけどさ……僕の横に突っ立ってるだけじゃ楽しくないだろ?」
「楽しくないです」
「だろ?だからさ、気になった本とかあったら立ち読みしてみろよ」
「了解です」
 ココロは頷き、おもむろに目の前にあった〝ごっつぁんです!〟という少年漫画を手に取った。しかも五巻。普通は一巻から読むんだけどな…。ああ、更に悪いことに本の真ん中辺りから開いてる。一頁目から読むもんなんだけどな……。
「………」
 僕はじーっとココロの様子を観察する。何故か分からないけれど冷や汗がだらり。生唾をごくり。見ればココロのモノアイ画面には『?』と表示されていた。うん、そりゃそうだろうね。五巻目の、しかも途中から読んだからそうなるんだよ。
 僕はため息をついて、ココロに漫画の読み方を懇切丁寧教えてあげた。
「面白いです」
「そ、そうか…」
 どうやらココロは〝ごっつぁんです!〟ではなく、その後手に取った〝すすり泣き〟という少女マンガなのかホラーマンガなのか良く分からん漫画を面白く感じているらしい。
「幸いその〝すすり泣き〟ってやつ、一巻から最終巻まで揃ってるみたいだし、そんなに嵌ったなら買ってやるよ」
 僕は〝すすり泣き〟を全巻分(全四巻)手に取って、レジに持って行った。合計で500円くらいだ。安い。あんまり人気なかったんだろうな…。
「清さん、ありがとうです」
「いいよ、お礼なんて。カーチャンの代わりに家事やった報酬だから」
「いえ、このようにされた場合にはお礼をすること、とあらかじめインプットされていますです」
「……そうか………」
 なんだかなあ……。

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