■【参考報道】宇宙空間での人工衛星衝突、新たな政治的リスクに 2009年2月14日 http://www.asahi.com/international/reuters/RTR200902140030.html 米国とロシアの通信衛星がシベリア上空の宇宙空間で衝突したのを受け、専門家の間では、今後はこうした事故がさらに増加し、地政学的問題を招く可能性があると指摘する声が出ている。 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのフランシスコ・ディエゴ上席研究員(物理・天文学)は「今回のことは、考えていたより物事が単純でないことをわれわれに気付かせた」と指摘。「再び起こる可能性を数値化することはできないが、今やそれは実際に起きてしまい、物事を大きく変え、懸念にもなっている」と述べた。 米衛星携帯電話会社イリジウム・サテライトが打ち上げた通信衛星は10日、現在は機能が停止しているロシアの通信衛星と衝突。当局者によると、衝突によって宇宙空間には少なくとも600個の破片が散らばり、国際宇宙ステーション(ISS)やほかの人工衛星にとっても「宇宙ごみ」との衝突の危険が増している。 ディエゴ氏は今回のような衝突について、衛星が壊れることよりも、大きな損害をもたらす可能性がある「高速の散弾銃」ともいえる破片の散乱が問題だと語る。 また、英国際戦略研究所(IISS)の航空宇宙専門家、アンドリュー・ブルックス氏は、今回衝突が起きた地球低軌道(LEO)は、宇宙空間で最も混み合った場所であると同時に、通信衛星や気象衛星にとって最も重要な場所だと説明。その上で「地球低軌道上にはますます多くの物体、衛星、宇宙ごみが増えており、同様の事態は今後さらに多く起こるだろう」としている。 また、ブルックス氏は「何らかの規制を強く求めているが、微妙な問題が多いため各国は(情報を)共有しない。大国は交渉の席につき大人らしく事態を扱うことをしたがらない」と述べた。 中国は2年前、自国の衛星を破壊する実験を実施し、大量の宇宙ごみを発生させた。それらの小さな破片は宇宙空間を時速数千キロで飛んでおり、人工衛星に衝突すれば深刻な結果を引き起こす恐れがある。中国の宇宙ごみが米国の衛星を破壊するリスクのほか、米国が発生させた宇宙ごみがインドの衛星に衝突する可能性もある。 ブルックス氏は「長期的には、この問題は地政学的な意味合いを持つ。各国が『衝突は故意的だったのか』といぶかるようになるからだ」と指摘。「国際社会は宇宙を理解し、何が行われているかについて今以上の透明性を持つ必要がある。さもなければ、われわれは結果的に深刻な外交問題が生まれる事態に陥ることになる」と警告している。 また別の専門家は、1回衝突が起きるとさらに宇宙ごみが増えるため、長期的には衝突によってできた宇宙ごみが連鎖的に次の衝突を起こす「ケスラーシンドローム」と呼ばれるリスクも増すとしている。 |
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