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マンガを3冊続けて読んだ。
まとめてレビューを残そうと思ったが、方向性がまるで違うな、この3冊。
なので、まずは1冊。

■「虫と歌」市川春子(講談社)

この人の作品は初めて読むのだが、新刊でジャケ(じゃないねカバーと帯と惹句で)買い。
読み切り4本と描き下ろしの短いのが1本。
なんか、稲垣足穂とかさべあのまとか高野文子とかの流れにあるのかなあ、違うかな。
細い線と黒白のコントラストの強い画面で

硬質な生命

みたいなものを描く。
えーと、まあ、ありていに言えば、付喪神系

と言えなくもないんですが、百鬼夜行絵巻や手塚治虫や諸星大二郎の描くような、豊穣でぐにょぐにょでエロティックな印象の「非たんぱく質系生命」みたいのとは全く違う。
あと、「もやしもん」や「蟲師」みたいな(って一緒に扱っていいのかその2作品)、「胞子・粘菌系」でもない。

ただ、なにがしか、
「命のないものに命(というシステム)が宿って・・・」
とかそういう話ばかりで、
そこに「少年」とか、軽いロリ的なテイストが入る。

えーと、ロリ的、とかいうといまや「児童ポルノ」という(法律上の)カテゴリーにくくられて白眼視されかねないが、(被害児童の人権を踏みにじる形での)性欲の対象として見るというのではなく、鑑賞の対象・芸能の素材としての年少者、という文脈は、世阿弥「風姿花伝」の「時分の花」や戦国期のお小姓を持ち出すまでもなく、現在でも「稚児行列」とか「こども店長」とかの形で普通に生きてるわけで、そうした文脈の中での「ロリ的」というテイストなので、お間違いなく。

そして、少年であれ少女であれ、それこそ「3歳までは神のうち」ではないが、見るからに大人の時間とは異なる時間を生き、そして、大人の生殖行為(やそこから派生する人間関係、コミュニケーション、規範、文化、欲求)とは全く無縁な存在が、突然現実の中に投げ込まれるようにある、というのがおおむね所収各作品の世界観だ。

無性生殖

というべきか、あたかもそこでは、生命は、ただの「遺伝子の乗り物」としてではなく、偶発か思いつきをきっかけにした「コードの乱れ」のようにして現れそして消えていく。

それゆえに何ともいえない「いとしくはかない」存在として。

そしてまた、そんないとしくはかない存在たちと接触する「普通の人間たち」もまた同様に「線」かせいぜい「平面」のような印象で登場し、陰影も質量も感じさせない。
つまりは、世界を極力「人臭くなく」「いとしく」「はかなく」描こうとするのがこの作者なのだなというのが、読み手の受け止め方。

ま、そういう作者自身は案外「人臭い」人だったりもするんでしょうけどね、って人臭くない人なんていないか。
ははは。



残りの2冊は以下の通り。

■「ツレがうつになりまして。」細川貂々(幻冬舎文庫)
■「水鏡綺譚」近藤ようこ(青林工藝社)

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