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爺ちゃんも

先週末
夜遅くに
実家の父から、電話があった。

母が、また
突然
支離滅裂な悪口造語
暴れたらしい。
手に負えず
耐えられなくなり
仕事場へ逃げた、と。

息子の発達障害を学ぶうちに
母の傾向が分かった。
息子の主治医に話すと
「可能性が高い」と。
母は失敗、失態だらけで
家庭内でも
ご近所でも
父の商売の得意先やお客様にも
数えきれないくらい
やらかした。
だから、母は父に
その度に、叱られた。
「失敗を指摘される、叱られる、は
地獄を味わうつらさ」
と、成人当事者の人が言っていたが
母は地獄から逃れるために
父の悪行をでっち上げ
父を攻めまくった。
父は何度も母を捨てたいと思ったが
子供たちのために耐えた。
今も
「娘の所に転がり込むのを防ぐ」ために
耐えている。


散々
妻の報告と悪口を
娘である私に話した後
「あんな人だけどな
掃除、洗濯だけは
どこの家庭の奥さんよりも
きっちりこなすんだ。
ワシがきちんと整えられた環境で暮らせるのは
あの人が、いてくれるからなんだ。
あんな酷い面もあるけどな
あの人も自分の障害を知らずに生きてきたんだから
認めてやらなきゃ可哀想なんじゃないかと
思うようになったんだ。
だが
今回みたいなことがあると
気持ちが折れるんだよ」

「気持ちが折れるまで
耐える必要はないよ。
全部を受け入れなくても良い。
全部を受け入れていたら
全身全霊で捌け口にされるよ。
そこまで受け入れる必要なんてない。
ネガティブはある程度
自己処理してもらうべきだよ。
よそ様に迷惑かけるなんて
気に病まなくて良い。
世の中、一定の割合で
変わり者がいるんだから
うちにも、たまたま、いるたけなんだよ。
出来ることだけして
自分からは、よそ様にも誠実であれば
それだけで充分なんだよ」

「そうか、そうなんだろうか」

「そうなんだよ。
それで良いんだよ」

「何だかお前の方が
ワシの親みたいだな」

「そりゃ、私の方が
この道の勉強、長いからね」

「そうだな」

「そう言えばさ
娘、退部したよ」

「そうか…穏便に辞めれたのか?
本人は納得したのか?」

「うん、きちんと皆の前で
辞める経緯を話して
感謝の気持ちを伝えて
辞めたよ。
気持ちが決まるまで
娘は気持ちのアップダウンを繰り返して
本当に大変だったし
皆の前で挨拶も嫌がってたんだけどさ
気持ちを固めて
顧問に場を設けてもらって
済ませてきたよ。
きちんとキレイな辞め方を出来て
凄く気持ちが楽になったみたい。
娘には
いろんな面で
本当に良い勉強になったと思う」

「そうか、良かったな。
自分でしっかり悩んで
きちんと向き合えたんだな。
良かったな」

「孫も孫なりに
頑張ってるからさ
爺ちゃんも、1人で考え込まず
前に話した専門家に足を運ぶなりして
爺ちゃんなりに
無理せずに頑張ってみたら?
きっと、自分のために良かったって
思えるから」

「そうだな。
まだ動けるうちに
動いておくことも
考えとかないとな」


娘の頑張りが
娘の知らないところで
爺ちゃんを元気づけた。

退部後

娘が部活を辞めてからは
嘘のように
生活が穏やかになっている。
子供たちの明るい笑い声が
毎日聞こえる。
いかに娘が厳しい生活をしていたか
改めて思い知らされた。

中学生になってから
ゆったり過ごすことのなかった娘は
それを取り戻すかのように
友達と遊びに出かけていた。
しかし
あの地獄の日々の教訓から
今月末の期末テストに備えて
テスト範囲になりそうな課題を
自主的に進めている。
あの日々が無かったら
そんなこと
やろうともしないだろう。

昨日の夕飯時
「部活でみんなと過ごした時間は楽しかったんだけどね。
これからは、無理なく中学生生活しながら
将来に備えたいな」

今朝
登校前の余った時間
英単語をノートに書く娘。
「それ、宿題?」
「うぅん、期末テストの課題になりそうなとこ
先にやってるの」
「あら、お姉ちゃん!偉いじゃない」
娘は嬉しそな笑顔を見せた。

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