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昨年12月29日の朝日新聞の朝刊に『ゼネコン大手、談合と決別」4社が申し合わせ』という記事があった。弁護士数人の間でメールのやり取りをした。その中での意見だ。
(A) まずこれをどう見るか?
(B)談合をしないというなら、記者会見をして社会に対して宣言をすべきではないか?記者会見ができないところを見ると、見せかけの可能性がある。
(C)記者会見が出来ないのは、今までは談合をしていたことを認めることになりかえって記者会見がマイナスになるからではないか?だから1社にリークした。
(A)記者会見はともかく、どう評価するべきなのか?戸惑いを感じるね。
(B)今までも、談合で摘発されると、社長は公正取引委員会に『今後一切談合をしません』という念書を入れている。しかし社長の念書をいれても他部門では談合を続けているし、その部門も2、3年すれば同じように談合を繰り返していた実情をいやというほど知っている。ゼネコンの親玉の言うことを信用することは出来ないね。
(A)ところでこのような『談合絶滅宣言』はどうして今なのか?やはり課徴金が10%になったのが打撃なのか?それとも何か理由があるのか?
(B)2006年1月4日の改正独占禁止法の施行による課徴金の10%、10年以内の再犯の場合が15%という金額が企業にとって3年分を1度に払う点で痛いが、死活を制するほどの金額でない。これが主要な動機ではないだろう
ゼネコンの企業なら土木なら予定価格の70%前後、建設でも7十数%前後でも採算があうと言われている。だから課徴金の10%や15%ではなお利益が残る。バレテモ特別の損にはならないだろう。その上、公正取引委員会はローテーション的談合摘発だからね
C)課徴金問題だけに目が行くとその通りだ。しかし2005年9月28日付けの国土交通省は契約上の違約金を15%としたことや、とりわけ指名停止期間を重大な独占禁止法違反の場合は特別に延長するなどの措置の方が痛いだろう。私は今回のスーパーゼネコンの動きは従来の見せかけと少し違うのでないかと期待をもっている。
モトモト、スーパーゼネコンは談合するより、競争した方が良いとも言われてきた。より安価により質のよい仕事の受注に自信があるからだ。しかし、談合に加担していたのは1社や2社で談合破りをすると業界で仕事が出来ない長い、古いしがらみ=政治家、官僚、時には暴力団などのしがらみがあったからだと言われている。
そこで、この法律の改正を契機にして、一挙に談合を止めると宣言したと判断できないか
B)甘い、甘い。彼等は摘発された時の新しい口実を探しただけの話だ。
(A)談合を申告した一番の企業が課徴金を免除される点は今回の動きに関係しているか
(B)公取委などが動き始めたと察知するやどうせバレルなら、1番か2番か課徴金が少ない方を選ぶことになるが、煙も立たないところで、自ら談合を自白するとはあり得ないと思う。このような行動は中小ならともかく、大手ゼネコンは殆どしないだろう。いつなん時にどこかの企業に告発されるという不安があるがしかし今回の動きと連動はしていないのではないか?
(A) ところでローテーション談合摘発とはどういう意味か?
(B) 今回の橋梁談合のように関東、東北などの談合の摘発はするが、東海、関西などの各地の橋梁談合を一挙にしない。その結果、国土交通省の指名停止期間が関東地方整備局などの当該整備局では1年とか2年になっているが、近畿地方整備局などでは指名停止はわずか5ヶ月になっている。これではそれ程の経済的打撃にならない。公正取引委員会のマンパーワーがない面もあったが、まー市民から見ると甘いのだ。一挙に談合を摘発して談合がなくなると公正取引委員会の仕事がなくなるからではないかと疑いたくなるね
(C)最近の談合摘発が橋梁談合で終わるかと思ったが、成田空港談合、防衛施設庁談合と次々と本気で調査、捜査を開始し始めた。名古屋地検も動いている。ローテーション的談合摘発でもなさうになったことが影響をしているのでないかと思う。このこともあり、スーパーゼネコンが潮時と判断したのでないか?
(B)その面も否定できないが、大手4社が決めても簡単には国の発注の工事でJVの場合や、地方では簡単に談合がなくならない面もあるよ。今年の1月からの大手4社の入札状況を監視する必要がある
(A)日建連は2004年9月に『公共工事調達のあり方に関する提言』し予定価格などの廃止をはじめ、国の入札制度を根本的に見直しを迫っている。これを受け昨年4月に議員立法で『公共工事の品質確保の促進に関する法律』が制定された。これの動きも要注意だ。談合がなくなっても公共工事が高値では意味がない
(C)そうだ。この法律の運用も要監視だね。ところで談合廃止の方向でもし、スーパーゼネコンが動くと60万社とか70万社とか言われる建設企業や約650万人が従事している建設産業界の護送船団方式やあり方が大きく崩れ、建設業界も大きく統合、再編されるだろう。メガバンクが現実に出来た。今度はメガゼネコン数社が残るだけの業界になる可能性があるね。
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(A)(B)(C)は特定の弁護士の意見ではないことをお断りする。
私はどちらかというと、上記(C)の意見に近い感想を持っている。談合問題を長年追求してきている弁護士はどちらかというと(B)の意見に近いが、私も彼等もお互いにBとCの意見が混在していることが判った。
私の意見はどちらかというと、談合がなくなる方向でスーパーゼネコンが動くことを期待しての願望も含まれている。もしこの4社が本当に談合を止め、そのことを社会に対して談合決別宣言をし、そのための透明性・実効性のあるコンプライアンプログラムを作るなら、過去の談合について、もし発覚しても株主代表訴訟をしないことも視野に入れて活動する必要がある。
談合を止める以上それへの懲罰を求めることが妥当かどうか問題になるからだ。これに対してはイロイロな意見がでる。しかし要検討課題であることは間違いがない。
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