弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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内部告発は道義的に批難される行為か

公益通報者保護法の制定過程においてこの公益通報を制限しようとして動いたのは財界、役人、与党等の言わば権力を持つ人達だった。自分達が内部告発される心配のある人であった。他方で公益通報者の
保護を拡大する方向で意見を述べていたのは消費者団体をはじめ権力を持たない議員、市民であっ
た。自分達が告発される心配がないからだ。

これをみれば、公益通報(内部告発)をすることに道義的にあれこれ非難する人達は、権力を持つ者達
であり、自分が権力を持たなくともそれらに同調しているか又は騙されている人達があれこれ内部告
発に対して非難していることがわかる。

我国の社会の中では内部告発についてマイナスイメージが形成されてきたことも事実である。
江戸時代に権力を持つ者が、人民を支配する道具としてお互いを「監視」させ、それを「密告」「タレコ
ミ」をさせて人民を支配する道具として利用してきた。従って支配される側が密告する者を非難する倫
理観が形成された面もある。
これは主に権力を持つ者に迎合して、仲間、同僚を告発することへの非難、倫理観である。

しかし本法律における内部告発は「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護」を目的として立法化
された法律である。(第1条)。権力を持つ者に加担して同僚、仲間の行為を告発するのでなく、多く
の消費者や多数の市民の利益を守るために、それを侵害している者を告発するのだ。本質的に密告と
かタレコミなどと非難する者が間違えている。

むしろ権力を持つ者に不利な事実を告発し、もって多くの市民の生命、身体、健康、財産、環境等を
守ろうとするものであって、それは多くの被害を受ける者からは歓迎され、奨励されこそすれ、非難
される行為ではない。「公益」通報といわれるのはその為である。
三菱自動車、雪印、日本ハムその他の内部告発がどれだけ多くの被害をうける国民の利益を守ること
になったかはかりしれない。

内部告発をする過程で、同僚、仲間がそれに関与させられている場合は通報者として悩ましい問題であ
る。同僚、仲間を「裏切る」ことになるからだ。

多くの同僚、仲間も黙ってはいるが、心の中ではそのような違法、不正行為を心から喜んでしている
わけではない。嘘、隠蔽作業をする職場は働きがいのある職場ではない。
同種の違反行為が報道されるたびにビクビクしているのも現実である。

社内の不正行為が社会に明らかになってかえって社内の風通しがよくなったということで同僚から内
心歓迎されているのも事実だ。

その点では公益通報者は公益通報に該当すると判断した時は公益通報することが社会から期待、要請
されているといえる。誤った、時代遅れの「倫理観」にとらわれることはない。

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