|
阪神タイガースファンの弁護士、株主、市民から、村上ファンドへの批判意見を多く聞く。「村上・タイガース」だけは止めてくれという熱烈な阪神ファンも多い。阪急の阪神との統合問題も降って沸いた話で唐突だ。阪急が村上ファンドの高い株を買うことにも阪急の株主には抵抗が強い。
日ごろ弁護士、株主間で議論している点を整理してみる。
但し阪神ファン同士の弁護士・株主間の対談であるので、割引して聞く必要がある(笑)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
株主 『村上ファンドが金の力で阪神の株を買い占め、株主提案をして、村上ファンドの言い値で買
えば株主提案を取り下げるが、買わないと株主権を行使するなどと要求することは総会屋のやり方と
同じではないか?』
弁護士 『村上ファンドがいくらで株を買い、それをどのように高く売るかは株式の売買である以
上、株主権の行使でないから取引の自由だ。しかし株の売買の形式をとっても株主権の行使だと認定した判決もある。まして本件の場合は株主提案という株主の権利を行使した以上、その株を高く買えと要求する場合は新会社法の970条の『株主の権利行使に関する利益供与の要求罪』に抵触する危険性が出てきた。』
株主 『総会屋への利益供与は無償の場合が殆どと聞いている。このような株の売買のような相当な対
価での取引にも利益供与罪の適用はあるのか』
弁護士 『村上ファンドの買った株式を証券市場で 売れば値崩れを起こすことは明白だ。市場で阪急は株式公開買い付け(TOB)の方法で買い付け、相当な値段で買えば、利益を与えたことになる場合もあろう』
株主 『もしある株主が同じことをすれば、どうか。例えば上場廃止になったA社にその株主が、株主提案をした。市場では売買出来ない。俺は1株あたり100円で買った。それに50円、上乗せして150円で買えば、株主提案を取り下げる。もし、このような要求を、A会社やそれに関係する第3者に要求したら、どうだろうか?』
弁護士 『その場合は会社や第3者への要求は利益供与の要求罪に該当する危険性がある』
株主 『村上ファンドが阪神の株を、阪急に高く買えと要求していることと、どこが違うのか』
弁護士 『会社法970条の利益供与要求罪の相手方は、株主提案を受けた会社の取締役らに要求する
ことである。阪神の役員らに対して株を高く買えなどと要求すると、『要求罪』に該当する。阪急の
会社の役員に村上ファンドの所有する株を、言い値通りの株式公開買い付け(TOB)価格を設定するなら株主提案を取り下げるが、その価格でないと株主権を行使するなどと要求することは、直ちにこの条文に抵触しない。要求の相手方が違うからだ。しかしヤヤコシイ話である。私なら、恐ろしくてアドバイスできないね』
株主 『それが許されるなら、例えば、阪神が第3者の会社に頼みその第3者から総会屋に利益供与すれば、脱法できるのか』
弁護士 『会社の金で第3者に敵対的株主の株の購入を依頼した場合に同じような判例もある(注1)最終的には、第3者の金が、株主提案を受けた阪神やその子会社の計算で払われて、いるかどうかが争点だ。形式的には別法人が支出したが、実質で判断する判例もある(注2)』
(注1)平成7年12月17日東京地裁判決
敵対的株主から株式を買い取る工作を第3者に依頼し、その資金を供与した場合は、供与の意図、目的が総会において、その株主の議決権の行使をさせないことにあったと認めれる場合は利益供与に該当
(注2)平成10年10月19日東京地裁判決
第1勧銀事件の総会屋への迂回融資も、第1勧銀の保証で第3者が利益供与した事件だったが利益供与罪で有罪になった。平成11年9月9日判決も同じ。
株主 『それなら阪神の役員が阪急の役員に、村上ファンドから株式公開買い付け(TOB)で高く買った株を最終的には、阪神の計算で全額か一部の金額を払う合意が出来ておればどうか。その点を明らかにして、村上ファンドに要求させてはどうか?』
弁護士 『この場合は阪神側の「計算」で阪急に一部でも金を払うと合意し、それを要求する側が承知しておれば、要求罪が成立する可能性があるだろう。ただ株式公開買い付け(TOB)の結果、村上ファンドの要求との因果関係が中断したかどうかが議論になる。しかし、それは形式でなく、実質判断ではないか。
もし実質判断だとすれば、要求罪の都合の良いのはそれを受けた阪神、阪急の役員は共犯にならないからだ。しかし、払うと約束すれば、利益供与の約束罪になるがね。』
株主 『そうすると阪神と阪急の統合の内容がはっきりしないが、統合後には、阪急が高く買った株の金額の一部を阪神が払うと合意して、それを明らかにして、村上ファンドをやっつける道はあるのではないか。』
弁護士 『この問題の根本は阪神の計算においてに尽きる。阪急が独自の計算で、村上ファンドの要求を受け入れる場合は現行法の利益供与要求罪で、逮捕するのは法律を素直に読む限り難しい。
無関係な第3者が、株式公開買い付け(TOB)購入した形になるからだ。
株の過半数を買い占め、その企業を乗っ取るのは、株式市場では許される。だからと言って、会
社を経営する目的も有さず、能力もないのに、過半数近く購入して、株主提案をして、サア、俺の言
う価格で買い取れ、さもないと株主提案をするぞとか、俺の言い値で購入したら、株主提案を取り下げると阪急に株式公開買い付け(TOB)を要求する行為は、社会的に見て、その手段において、相当な行為とは言えないだろう。
どっちにしても、阪神と阪急が統合するとすれば、阪神、阪急の双方の財産が、ファンドにいたずら
に流出されたと見れば、「広い意味での利益供与罪」だといえる。株主提案を利用して、株を高く買えと要求することは、新会社法970条の趣旨にも反し、その手段において、相当でないからだ。』
株主 『このようなファンドの株を高く買う経営者があれこれ理由をつけて買うから、このようなビジ
ネスが堂々とまかり通る。総会屋に利益供与するから、総会屋が一時はびこったことと同じだ。その
点で阪急が自己の責任で株式公開買い付け(TOB)という形式はとるものの、高く買うのは、阪急の経営判断として妥当かどうかは株主代表訴訟の対象にならないのか』
弁護士 『阪急が1000億も2000億も投資してこの段階で阪神と統合する価値があるかどうか、
それ程の投資をするなら、もっと阪急の会社になる別の投資があるのでないのかなどの経営判断の問
題である。取締役の注意義務違反が問われる場面もあるだろう。
その場合の審査対象は
○何故阪急が吊り上げれた阪神の株を高く購入するのか
○最初ファンドに購入を希望した金額がどうして、最終的に高い金額となったのか。その経過とやり
取り。
○もしそのような金額で購入しなかたった場合の阪急のマイナス
○高く購入しても、阪急にそれに見合う利益が見込める合理的な可能性。
ファンドとの具体的な経過等が代表訴訟において問われるだろう。
金額が余りにも巨額であること、降って沸いたような話に阪急が乗る必要性など株主に対して説明責
任が要求される。
この場合の代表訴訟は、阪急の役員には高く買いすぎた金額の部分に対して、その返還を求め、その説明責任を求める株主代表訴訟になるだろう。いくらの金額が適正か、高いか安いかの難しい問題があるが。』
株主 『私のような一生働き、その中で貯めた金で、少し株を運用している市民株主からみると、村上
ファンドなどのような、半年も経たずに数百億円も儲かる商売がどうして許されるのか、理解不能だ。
昔から仕手株があった。しかしこれは証券市場での売買だった。ところが、村上ファンドは市場
で株を買いながら、今度は株主提案をして、市場外で、株式公開買い付け(TOB)という形式はとるものの実質、相対取引を要求して高く売るやり方は疑問だ』
弁護士 『株を安く買い、株主権を行使するか(又はその行使を背景にして)市場外でその提案を受けた会社の役員だけでなく、その会社の利害関係者にその株を、株式公開買い付け(TOB)の形式をとっても高く売りつけるファンドのあり方は、何らかの形で規制が要求される。同時にそのファンドに金を出す者(例えばオリックスなど)について、その情報開示をさせることも早急に要検討課題だ。』
|
阪急の小株主として、村上ファンドのやり方はケシカランと思っていたところです。新商法を踏まえての問題解明で良くわかりました。阪急が村上ファンドの要求を呑むような経営判断をしたら株主代表訴訟ものでしょう。
2006/5/17(水) 午前 10:06 [ yok*chi*8*20*0 ]