弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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【NHK受信料の時効は何年か】

NHKは法的督促手続を5年以内の滞納者の48人に絞った。この5年以内としたのは受信料の消滅時効と関係する。NHKは受信料の消滅時効を5年と見ているのだろう。

この根拠は以下の民法169条に求めているのでないかと思う
同条は『1年又はこれより短い時期によって定めた金銭・・・・の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する』と定めている

NHKの受信料の支払は2ヶ月、6ヶ月、1年単位で支払うことになっているからだ。
普通に読む限り受信料は5年で消滅時効になるという解釈も成り立つ。

ところで、水道料金は最高裁判例によると2年で時効になる。
民法173条『次に掲げる債権は、2年間行使しないときは、消滅する。
一  生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
二  自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権

水道を供給するのは、地方自治体であるが、それを『生産者』と見て、水を『商品』と解釈し、私法上の水道供給契約に基づく債権であるから、短期消滅時効の2年と解した。
この判決は平成15年10月10日のの判決である。これより以前は地方自治体では水道料金は公法上の債権だから5年と解されていた。

この判例が自治体の料金回収実務を大きく変えた。

NHKが供給する放送サービスも173条の条文の通りでないが、NHKを『生産者』と見て放送というサービスを広い意味の『商品』と見れば消滅時効は2年になる。

NHKが放送という自己の技能を用いて、放送というサービスを提供するとすれば、2号に該当する可能性もあろう。

NHKにとってもっと不利な解釈は次の条文である。
民法174条『次に掲げる債権は、1年間行使しないときは、消滅する』という条文だ。
一(略)
二 自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権
三(略)
四 旅館、料理店、飲食店、・・・宿泊料、飲食料、・・の代価又は立替金に係る債権

NHKの受信料はこの二号の『自己の・・・・供給した物の代価に係る債権』に該当する解釈もありうる。言わば、四号の飲み屋の請求と同じだ。

インタネットで有料の動画の配信をうけていた場合の、その代金の消滅時効は上記民法の5年でなく、1年か2年と解するのが時代の感覚に合致する。
NHKの放送もインタネットの動画と変わる点がない。

ただ水道料金や、インタネットの動画などは、支払がない場合はその供給を停止できる。
しかし、NHKの場合は電波をそのテレビだけに停止できない点に違いがある
この点は消滅時効を1年とか2年にすると、NHKには気の毒な感じがする

他方、NHKへの受信料の支払などは、言わば、勝手に、電波が送信され、その電波受信装置をつければ、NHKを見る、見ないに関わらず、受信料を払えというのも、コレマタ、契約者に気の毒な感じがする。

どちらを重視するかによって、受信料の消滅時効の解釈は、裁判官によって分かれるだろう。
5年説、2年説、1年説と。

いづれにしても、契約者が訴訟をされたら、上記民法174条をあげ、消滅時効は1年である。もしその解釈が無理なら民法173条で2年と主張する価値がありそうだ。

なお、時効は払う側が時効の権利を『援用』すると言って初めて、受信料債権は消滅する。
黙って異議なく承認すれば、時効は中断し、全額払う義務があるので要注意。

もし、NHKが6年分とか7年分とかの請求をしてきた場合も『承認』すれば、その分も払う義務がある。『一部だけまず払って下さい。あとは分割でも良い』などという「温情」ある話にのると、時効によって消滅している分をも払う義務が生じる。

なお、NHKが半年に1回とか、1年に1回、継続的に請求書を送付しているからと言って
時効は進行していく。

NHK受信料の消滅時効などの判例はない。MHKが訴訟に踏み切る以上、今までアイマイにしてきた受信料の時効の問題まで、全てが法的に処理される。

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こんにちは、始めまして。 ここのブログを興味深くみせてもらっています。 ところで、NHKの会長などが国会などの公式の場で、受信料は強制的なものではないといった趣旨の発言を色々としてますが、こういった公の場での発言は裁判などの場においてはどの様な意味合いをもってくるのでしょか? 今度、そういった視点で記事を書いてもらえたら嬉しいです。 実際問題として、国会での証言などには責任を持たなくて良いものなのか弁護士と言う法律を熟知した人の目で見た考えを教えて欲しいです。

2006/10/17(火) 午後 8:03 アユアユ

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はじめまして、私はH.8年に契約したことになっているようで10年分の未納分の支払いのお願いが届きました。この場合時効になる部分があるということなのでしょうか? コールセンター・営業所に電話をして解約の用紙を送ってほしいと言っても未払い分を支払わないと解約できないと言われどうしたものか悩んでいます。 内容証明・配達記録で送ればいいのかな、とも思うのですが、他の方の書いたものを参考にしようかと思っても最後に「法的手段に訴えます」と書いていいものかどうなのか・・・

2006/10/17(火) 午後 9:54 [ m95*22*m ]

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NHKに対して、NHKに受信料を払わずに民放の無料放送を視聴する方法を質問した事があります。 見事に、無視されました。 ところで、民放を見る権利と言うのは存在してないのでしょうか? 見たいと思う私達の方に費用負担が無い形で、民放を視聴する方法を教えろと言う主張は法律的には、主張できないでしょうか?

2006/10/19(木) 午後 7:13 アユアユ

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あと、 NHKの職員によっては、TV所持で、契約義務があるとか言う人が居ますが、実際の所同なのでしょうか? NHKの視聴を目的としないTVってのもいまいち解らないのですが、法律的には、NHKを見るために、TVを設置し見ようとした場合に「NHKの視聴を目的としたVT」となるのでしょうか? DVDや、TVゲーム、民放の視聴のために設置したTVでも、NHKが写るTVなら、「NHKの視聴をもくてきとしたTV」となるのでしょうか? 法律的に、そういった場合の解釈はどうなっているのでしょうか? ※文字制限で2つに分けました。

2006/10/19(木) 午後 7:14 アユアユ

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10年分の請求などが現実にあるのですね。週刊朝日に9年分の話があったので、それを想定して、NHK12を書きました。なお請求があっても、時効は進行します。訴訟までするのかどうか? ゆっくり構えることですね 今は48人に必死で、あなたのような人に督促手続きをするかどうか? すればNHKは訴訟でパンク

2006/10/19(木) 午後 10:20 [ abc*de*6 ]

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asdfghjkl35720002000 さん。 国会の話と、訴訟という強制手段と矛盾するのはあなたの指摘するとおり。この国会答弁は契約していて、一時停止している場面では殆ど訴訟的意味はない。しかし未契約者への訴訟では大きな意味を持つでしょうね。 国会答弁がどのような人を対象としたかがです

2006/10/19(木) 午後 10:31 [ abc*de*6 ]

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お返事ありがとうございます。 ※(以下、文字制限から幾つかに分けて投稿します。) 私としては、国会の発言をもとに、NHKと契約した人でもいろいろと主張できるのでは?と考えたのですが。 例えば、「TVを視聴できる場合、NHKと契約しなければならない」と言うのも各所、公共の場所で主張しています。 それとともに、上記の「強制ではない」と言う発言から、

2006/10/20(金) 午前 0:06 アユアユ

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「契約の義務があるが、この契約は、料金の徴収を強制するものではなく、契約者のNHKに対する賛同(信頼)のより、 契約者の自由意思でNHKに寄付を行うものである。」と契約内容の錯誤がありました。等と主張するのは難しいでしょうか? 又は、国会答弁の「強制ではない」というのを契約内容の変更の同意があったとするのは無理があるでしょうか?

2006/10/20(金) 午前 0:06 アユアユ

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私が、この件にこだわるのは、矛盾した発言を行う、NHKが許せないからです。 また、国会などの重要な場で責任をもった発言をしてないのも許せません。 しかしながら、NHKが一般的な会社なら、それは、それでしょうがない、それ相応に評価が落ちますしね。 ただ、NHKは報道機関、情報を商品として扱っています。

2006/10/20(金) 午前 0:08 アユアユ

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その人間が自分の発言に責任を持たない、矛盾した発言をする(片方は虚偽でしょう)そんな組織が発信する情報をどうして信用できるでしょうか? 信頼できない情報の価値は0です。 それなのに、強制的にお金を取ろうとする。 それが一番許せない事なのです。

2006/10/20(金) 午前 0:08 アユアユ

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asdfghjkl35720002000 さん。 あなたの言い分はその通り。国会で答弁した内容に責任を負わなければならない点もその通り。ただ裁判となると、貴方の主張だけではしんどい。なぜなら貴方の指摘する虚偽性は受信料の取立て手段の虚偽性です。受信料の対価である「放送の内容」の虚偽性でない。主張するとすれば放送内容に切り込みをしないと、裁判では相手にされない。「NHK3」を呼んでください。

2006/10/20(金) 午前 11:47 [ abc*de*6 ]

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今、このブログを拝見させて頂きました。やはり、商事債権時効、民法上の債権消滅、時効が争点になるんですね!

2007/5/19(土) 午前 11:19 [ play2 ]

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[ mim*07*1*imi031* ] さん
普通はNHKからの請求は一度契約した人であとで払わなくなった人に請求をしている。一度も契約したことのない人や、何も契約した人には請求が極めて難しい。
なお、本日の記事で、未契約の人にも請求をしたとう報道あり。しかし貴方のケースは契約していたのに、そのあと未払いとなっていると言うなら上記記事とも違うようです。NHKにもし自分が契約したと言うなら、契約書を見せろと要求すれば、最後は頑固なNHKでも見せるでしょう。

2010/11/16(火) 午後 10:59 [ abc*de*6 ]

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[ mim*07*1*imi031* ] さん
NHKのHPに、未契約の人にも請求したとあります。参考まで。
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/101116-002.html

2010/11/16(火) 午後 11:04 [ abc*de*6 ]

ご返答ありがとうございます。
過去に一度でも契約した=一度でも支払ったになるのですかね?
結婚当初 NHK集金人が尋ねて来た時,旦那不在の為わかりません。と言ったものの「義務ですよ。」と返され一度支払いました。
その際 「領収書にサインと ご主人様に便利な口座振替のお知らせしたいので 連絡先も記入お願いします」と…。

これが契約書だったとしたら 詐欺じゃないですか?
結婚4年目、未払い請求は3年半ほど…。

全く不要な電波の押し売り、スポンサーは貴方様など不要な手紙

こんな所に 集めたお金が使われて うちの月額収入 半分近く持ってかれるんですね

2010/11/17(水) 午前 2:48 [ - ]

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最近のNHK放送受信料請求訴訟の判決で、つぎのようなものがあるそうです。

民法169条にいう債権は,民法168条の定期金債権(基本権)から発生する支分権であり, その支払の定期が1年以内のものである。原告が本訴において請求する放送受信料の債権は基本権に起因して発生するものではなく, 支分権とは認められない。そのほか, 民法169条の趣旨および放送受信料の性質を併せ考えても, 放送受信料債権に同条を適用する余地はなく,他に放送受信料債権が同条の債権に該当することを認める理由もない。
従って, 放送受信債権が5年の短期消滅時効にかかるとは解されず,被告の消滅時効の抗弁を採用することができない。

NHK受信料の消滅時効を5年と想定した場合、どの様な抗弁が可能なのでしょうか?先生のご意見をお聞かせいただければ幸いです。

2011/8/30(火) 午前 11:27 [ thi*ks*s*cia*_doubt*jp ]


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