弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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【NHK受信契約は取消しできないか】

1 NHKの受信料の支払義務は放送法32条に根拠があるのでなく、視聴者の『契約』という自由な行為から生じることは、「未契約者への裁判はどうなるか」(NHK13)http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/43100249.htmlでのべた。

契約である以上、その契約はテレビ設置者の自由な意思に基づいて締結されなければならないことは、契約自由の原則から当然。しかも、この契約には消費者契約法の適用がある。

電波監理審議会(第842回)議事要旨(平成12年12月27日公表)がそれを肯定。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/japanese/radio/01227j01.html

『(5) 日本放送協会の受信規約の変更の認可について     (諮問第57号)
   日本放送協会の受信規約の変更の認可について、次のとおり郵政省の説明及
  び質疑応答があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
  ア 郵政省の説明
    本件は、消費者契約法(平成12年法律第61号)が新たに制定され、平成13
   年4月1日からは、支払い遅延に対する損害賠償の率が年14.6%を超え
   る契約は無効となることに伴い、NHKの受信規約をこれに整合させるもの
   である。具体的には、現在、延滞している受信料の2倍の割増金を徴収する
   こととしている規定を1期(2か月)当たり2%(年12%)に改めるもの
   である。
  イ 主な質疑応答
    放送受信契約は消費者契約法の対象となるのかとの確認の質問があり、郵
   政省から、そうである旨の回答があった。』

2 消費者契約法は次のような場合は取消しを認めている。
http://www.consumer.go.jp/kankeihourei/keiyaku/gaiyou/point.html

『消費者は、事業者の不適切な行為(1 不実告知、断定的判断、故意の不告知、2 不退去、監禁)により自由な意思決定が妨げられたこと(1 誤認、2 困惑)によって結んだ契約を取消すことができます』

NHKとの受信契約締結過程において、販売拡張員が、テレビを設置した以上、法律で、受信料を払うべき義務がある。税金と同じようだと説明し、その説明を信じて契約したとすれば、これは消費者契約法の不実告知に該当する可能性がある。

夜遅くに、NHKの販売拡張員が、執拗に訪問し、遅いから帰ってと要請しても帰らず、「困惑」して
契約した場合なども同じである

この場合は契約を取消すことが出来る。

3 NHKの販売拡張員が、自宅に訪問してセールスする場合は特定商取引法(旧訪問販売法)の適用があるのでないかと思う。(私はこのような消費者事件をしないので、詳細は消費者事件に詳しい弁護士の意見を聞きたいが)

(*この点、知人の消費者事件に詳しい弁護士から、メールを頂いた
特定商取引法の指定役務とは、別表第3に掲げる役務とする。そして別表3の中には『ヘ ラジオ受信機、テレビジョン受信機の取付,設置の役務』がある。しかし、放送法の『放送』が入らないのでないかという意見を頂いた。コメント欄の 『water_oil_surfactant』さんからも同じ意見を頂いた。

このような特定商取引法の現行の指定制度が問題である点を指摘して、しかし指定はされていないが、特定商取引法に規定する書面の交付などがない・・・・という主張をする。実態は特定商取引法違反の事実を主張し、但し、法的には消費者契約法の解約、取消し理論を持ち出すのが消費者弁護士のノーハウという意見だった。

よって、放送法の放送に特定商取引法の適用が直ちにあるという意見は誤解を与えるので、削除する
なお、意見、コメントを頂いた方ありがとう。以上1/8訂正)

4 民法による契約の取消し1(未成年者の法律行為)

第4条  年齢20歳をもって、成年とする。
第5条  未成年者(=20歳未満)が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。
2  前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3  第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

高校生や大学生が下宿している場合に問題となるがどうかという質問があった

親が子供に1ヶ月10万の範囲で、生活費などを渡していると、その範囲内での支出となり、NHKとの契約は3項に該当して取消しが出来ないだろう。

しかし、契約名義人が子供でも、親が直接NHKに支払う場合は1項原則に戻り、これは親の同意が必要となる。もし親の同意がないと契約の取消しが可能。
NHKは子供と契約する場合は後日に親の同意を取るのは、事業者として常識だろう。

5 民法による契約の取消し2(無権代理)=契約の取消しというより無効。

第113条  代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2  追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

妻が夫を代理する場合(この逆の場合も含む)は本来は無権代理だが、いわゆる日常家事債務でこれはNHKに対抗できないと思われる。

第761条  夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

但し、一度夫に交渉し、ダメだと言っているのを承知で、後日、妻と交渉し、契約させた場合は、上記条文の『ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない』という条文に抵触する可能性が大。

(なお、実際には、妻が夫を代理している場合でも、返金に応じているというサイトがあった。具体的事案が不明だが、参考になる。http://simohakase.hp.infoseek.co.jp/yorokobi.htm)

それ以外の同居人であるからといって代理権があるとは限らない。
母が同居していた場合などが問題となる。母に代理権を与えておれば別だが、母が成人の子供の代理権があるとは限らない。

この場合は表見代理の問題となるが、NHKとしては、本人に後日、意思確認をしないと過失がありNHKは敗訴する可能性がある

6 上記のように契約が取消された場合に、放送法32条の契約締結義務の問題との関係

いったん契約しても取消された以上、未契約の人の問題と同じ扱いになる。
このケースでは簡易裁判所に督促手続で請求することは、無理となる。
ソモソモ契約がないからである。

他方、督促手続は契約があり、それが有効で、受信料を払っていない人のケースである点で違う

7 民法による契約の解除がどのような場合に認められるか?

この点はNHK受信契約は途中解約ができないのか(NHK2)で述べた
http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/42187823.html

なお、上記の契約の取消しと契約の解除(=解約)の違いは
*契約の取消しとは取消しの意思表示により、過去に遡って、契約がなかったことになる。
*契約の解除{=解約)は解除{=解約)の意思表示により、今までの契約は有効だったが、将来に向かって契約がない状態になる。

普通、契約をした以上、途中解約にはそれなりに、正当な理由が要求される。
不祥事を理由とする契約の解除=解約は出来るのかどうか?
おそらく、裁判所は認めないだろう。
NHKから提供されるサービスと不祥事とは因果関係が直ちにあるとは思われないからだ。

しかし、NHKの不祥事が契機となって、NHKをみるのが嫌になり、NHKを見なくなったという
抗弁を主張したらどうだろう。

テレビを設置した以上、本当にNHKを見ない場合(=本当に見ていないと、裁判官を説得できる証拠が必要だが)NHKと契約を継続しなかればならないのかは多いに疑問だし、裁判官も悩むだろう。
スクランブルなどで受信料を支払わない人には番組を見せないようにするなどの方法があるのに。

NHKの論理だと、テレビを廃棄しない以上、受信料を払って下さいとなる。
そうすると、他チャンネルなどを見る権利、自由までNHKの受信料制度が奪うことになる。

そこまでして、NHKを支える義務があるのかどうか?
それ程、NHKは国民にとって価値ある内容かが問われることになる。

放送法が出来た戦後まもなくの時代と、今の時代の多チャンネル時代、インタネット時代にNHKに恩恵を受けない者まで、サービスを受けない者まで、支払う必要性があるのかどうか。

イギリスのBBCと違って、安倍、中川議員の番組介入を認め、その上、命令放送に何の異議も述べず従う「公共放送」であるNHKをどこまで、無関係の市民が支えるべきか。

これは難しい問題だ。

どっちにしても、今までアイマイにされてきたNHK受信料の問題が、法的手続に入ったために、逆にNHKの在り方が、戦後初めて、市民の前で、法的に問われ、法的に処理されるという皮肉な結果になる。

閉じる コメント(16)

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コメント欄から失礼します。 興味深くブログを読まさせて頂きました。 質問なのですが、TVが無いにもかかわらず支払い督促が来た場合はどのように対処すれば良いのでしょうか? 裁判でも構いませんが家宅捜索をされたり家族(小学校低学年の子供を含む)の証人喚問もあるのでしょうか? このあたりを解説した記事をお願い出来ませんでしょうか?

2007/1/5(金) 午後 6:10 [ ivi*i*_jp ]

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ivisit_jp さん。テレビがない場合は支払請求はきません。まして法的支払督促が来ることは絶対にありません。万一きたとすれば、テレビが無いとNHKに文書でだせばNHKは謝りにきます。又NHKとの争いは民事訴訟ですから家宅捜索などはありません。これは刑事事件の場合。NHKの民事訴訟でも、自ら証人尋問も請求しない限り、普通はありません。まして子供はありえない。ご安心下さい

2007/1/5(金) 午後 7:48 [ abc*de*6 ]

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ご回答ありがとうございます。 直接のお返事を頂けるとは思っていませんでしたのでありがたいです。 テレビが無い旨を内容証明で送れば良いわけですね。 過去に地域スタッフが来てしつこく契約を迫って来ましたので次は支払い督促が来るのではと憂鬱になっています。

2007/1/6(土) 午前 9:01 [ ivi*i*_jp ]

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色々と参考になっています。ところで 特定商取引法のクーリングオフに関しては「指定商品若しくは指定権利につき売買契約の申込みを受け、若しくは指定役務につき役務提供契約の申込みを受けたとき」に適用なので受信料は該当しないかと思います。

2007/1/6(土) 午後 7:53 [ 石ケン ]

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water_oil_surfactant さん。ご指摘ありがとう。消費者事件に詳しい弁護士からも同じ意見でした。よって本文を上記のとおり訂正しました

2007/1/7(日) 午後 4:58 [ abc*de*6 ]

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そもそも、NHKの受信契約のように、半永久的に一方的にお金払う契約って物自体なんか問題あるような気がするのですが・・・。 NHKの契約には、更新とかと言った事もないし、解約手続きも存在してない。廃止届が解約手続きだと言う人も要るかもしれませんが・・・。あれって、契約資格の喪失の届出で、本当の意味で、解約って出来ないような契約を法律的に問題ないのでしょうか?

2007/1/9(火) 午後 5:04 アユアユ

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asdfghjkl35720002000 さんの指摘は正しい。テレビがある間、解約が出来ないという契約がおかしいですね。普通は正当な理由がなく、解約したとしても、マー1年分か2年分の相手に相手が失ったうべかりし利益を払うことによって、将来永久に腐れ縁を切れるのが、契約自由の原則なのです。NHK契約はテレビがある以上解約できない???? 不思議な契約ですね。

2007/1/9(火) 午後 11:37 [ abc*de*6 ]

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初めて記入させて頂きます。また総務大臣が義務化コメントしたニュースを聞きました。NHKが公平な放送をするよう外部機関導入も含め改善することや、定期的に視聴者の審判を仰ぐなどしっかりとした歯止めがかかっていれば納得できます。 しかしこのところの政治家の不祥事などを考えてそういうことが盛り込まれない案で可決の方向にいくとすればどういう対抗措置があるのでしょうか?納得のいかない法案が通れば政府に圧力を掛けられているとしか考えられなくなります。まだ状況のわからないまま質問する失礼をお許しください。

2007/1/11(木) 午前 8:29 [ ohi*a*akir* ]

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未成年契約について言及して頂きありがとうございました。「1ヶ月10万の範囲で」というのがいまいちよく分からないのですが、例えば『家賃・最低限の光熱費・最低限の食費(飲み代など除く)・月々かかる教材費等・通信費(基本料のみ)』だけでも、住む場所や、学部学科によっては10万を超えます。『』内については「目的を定めて処分を許した財産」になると思うのですがいかがでしょうか。これらを除外した「目的を定めないで処分を許した財産」がある程度の金額以上の場合に3項に該当するという解釈でよろしいでしょうか?

2007/1/11(木) 午前 10:03 [ k2v** ]

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[ ohisamakira]さん。受信料義務化は、もっと議論しないとNHKにとってもよくない場合があり。義務化する以上、世帯税になる。最低の経費で必要最低限の放送に限るべきなどの義務がNHKにも生じる。そうすると紅白歌合戦が必要か?大リーグの放送が必要か?NHKの民放にない良さ、価値がなくなる場合もあり。この総務大臣は命令放送をしたり、「ピント」が外れているので何を言うか判らない。総理も総理だから大臣も「ピント」はずれ大臣ばかりです(笑い)義務化問題の法律的な争点は詳細に追ってブログにかく予定。

2007/1/11(木) 午後 9:07 [ abc*de*6 ]

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[ k2vsn ]さん。10万円は例え。貴方が指摘するように、目的を定めない場合です。このような目的を決めないで交付する場合は、「小遣い」と同じと理解して下さい。それにしても[ k2vsn ]さんは民法に詳しいですね。弁護士より、詳しいです。私はこの条文を使って取消など、今までしたことがありません。それにしても、NHKの契約などは子供の場合があることは、貴方の指摘で初めて知りました。

2007/1/11(木) 午後 9:17 [ abc*de*6 ]

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ご回答本当に有難うございます。とても心強いです。さらに昨日某会長の値下げできない発言も有り、政治家はろくに議論もせずどんどんいろいろなことを法令化するのではないかと不安になります。しっかり選挙やその他の手段で主張しなければいけないとつくづく感じています。

2007/1/12(金) 午前 8:38 [ ohi*a*akir* ]

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古いレスで恐縮ですが、『特定商取引法のクーリングオフに関しては「指定商品若しくは指定権利につき売買契約の申込みを受け、若しくは指定役務につき役務提供契約の申込みを受けたとき」に適用なので受信料は該当しない』というwater_oil_surfactantさんのご指摘に対し阪口先生も同意されておりますが、昨年12/1に施行された同法では、指定商品等の区別が無くなりました。
つまり訪問販売なら全ての商品や役務が対象になりますので、阪口先生の本文が生き返ってきたように感じますがいかがでしょうか。

2010/2/24(水) 午後 5:45 [ jin*s*igena*i ]

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昨年、つまり2009年12月1日に施行された特定商取引法では、これまで対象とされる商品や役務を別表で指定していたのを止め、原則的に全ての訪問販売等を規制することになりました。
しかし、原則から外れる商品や役務を別表で指定するようになっており、放送受信契約が載っているかどうかを調べてみましたら、案の定載っていました。
さすがに法律を作る人たちはアタマがよいですね。(笑)

特定商取引に関する法律第二十六条第一項八のニ、特定商取引に関する法律施行令第5条の別表2

10.放送法(昭和25年法律第132号)第2条第3号の2に規定する電波法(昭和25年法律第131号)の規定により放送局(受信障害対策中継放送(同法第5条第5項に規定する受信障害対策中継放送をいう。以下この号において同じ。)を行うものを除く。)の免許を受けた者が行う放送法第2条第1号に規定する役務の提供、同法第53条の9の3に規定する電波法の規定により受信障害対策中継放送をする無線局の免許を受けた者が行う放送法第2条第1号に規定する役務の提供及び同条第3号の5に規定する委託放送事業者が行う同号に規定する役務の提供

2010/3/2(火) 午後 8:08 [ jin*s*igena*i ]

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敷地にNHKは今後立ち入るなと要求し、今後勧誘に来ないようした。特定商取引法で勧誘を拒否できないがこれなら実質できる。

2012/1/8(日) 午前 11:23 [ yano0takashi ]

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昨年2月4日、「改革フォーラム21」の迂回献金問題で『告発状』が告発代理人・阪口先生の名で東京地検宛に提出されていますね。特に、9ページ(4)「陸山会の捜査後の利息の計上の異常性」に強い疑問を持ちました。りそな銀行は何故、突然「預金金利」を払ったのでしょうか?。「改革フォーラム21」の政治資金収支報告書に計上された08.07年のりそな銀行からの預金金利は、架空の繰越金7億円の存在を疑わせます。架空の預金金利計上は、明らかに政治資金規正法違反(虚偽記載)ではないでしょうか?。りそな銀行は「預金取引の内容にかかるものであり、お答えいたしかねます」と回答してきました。若し、架空金利であれば、りそな銀行は犯罪を黙認し、協力したことにはなりませんか?。是非、ご教授頂きたいと思います。

2012/1/8(日) 午後 7:47 [ 熱海の爺 ]


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