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≪談合は個人の良識でなくなるか、五洋建設株主代表訴訟の争点≫
五洋建設が自民党長崎県連に継続的に献金をしていた。しかも、長崎県で、談合もしていた。
この企業の違法、不正行為を株主が2003年8月に東京地裁に役員の責任追及のために株主代表訴訟を提訴した。
http://kabuombu.sakura.ne.jp/archives/030814-2.htm
政治献金の違法性や談合の違法性を準備書面で、株主側は主張していた
http://kabuombu.sakura.ne.jp/archives/danngou.htm
談合事件については、公取委が、その記録の提出に抵抗し、時間がかかった
裁判所は、公取委の記録の提出命令を出した。
その詳細は、以下のブログに書いた
http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/41282574.html
公取委の供述調書をもとに、昨年12月、今年の1月に関係者の尋問が行われた。http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/52473378.html
最終準備書面の提出期限は本日(3/7)であった。
そして、3/13(木)午後4時に終結することになる。
判決は、6月末頃になろう。
談合に関する取締役の責任はどこまで及ぶか、初めての判決となる。
談合に関する最終準備書面の最初の一部である。
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はじめに
五洋建設株式会社(以下「五洋建設」という)が、長崎県の公共工事の発注に対し、平成10年4月1日から平成13年11月22日までの間、入札談合を行った。本件入札談合は、独禁法2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し、いずれも同法3条の規定に違反する。
この結果、平成15年2月20日、公正取引委員会より五洋建設に対し課徴金合計1億6342万円が命ぜられ、会社がその損害を蒙った。
このような入札談合という違法行為を行い、それによって会社が損害を受けた場合に、取締役は、
(1) 社長、土木担当取締役、直接の担当取締役らは、入札談合行為を行った従業員をどこまで監督する注意義務を負うか。
(2) 直接、部下を監視、監督できないその他の役員たちは、どのような内容、程度の内部統制システムを設置して、入札談合を防止するべき注意義務があるか。
が、本件事件の重要争点である。
入札談合は、一人か二人の従業員が単独で会社に秘密裏に行う個人的な犯罪ではない。
会社の利益のために、従業員が多数関与し、しかも長年にわたって行われている行為である。それらの従業員は会社の利益のために行うのであり、通常の個人的犯罪とは根本的に異なる。
被告役員らは、「長崎県の営業所において長年入札談合が行われていたことを全く知らず、しかも、公正取引委員会からの立入検査等もなかったのであるから部下を監視、監督する義務はないし、また、独占禁止法遵守マニュアルを作成しその義務を尽くした」と主張している。
しかし、五洋建設の取締役らは、表向きでは談合をするなというマニュアルを作って研修等を行っているが、実態は談合を容認または黙認しているに他ならない。
とりわけ昔から談合が継続している場合には、
「現場としては、やはり地元企業とか下請け企業を大切にしなけりゃならないということと、私が着任したときには談合が行われておりましたので、私だけ、当社だけやめるというわけにはいきませんでした。」
「いろいろ当社とつきあいのある下請けさんとか、全体的なことを考えると、うちだけ1社やめても、ほかはやっているわけですから、抜けるというか、私の目標を達成するためにも、それはやらざるを得なかったというのが現状です。」
と証言(●●調書15頁、44頁)しているとおり、従業員個人の「良識」では談合からの脱退は不可能である。
五洋建設の「独占禁止法遵守マニュアル」(乙ロ4号証)に基づく一般的研修だけでは、その従業員らに対し「不可能」を強いているのであり、そのマニュアルには根本的欠陥があった。
従業員に対し「談合は違法です」という一般研修だけで談合がなくなると会社の役員たちがもし信じていたというなら、それは入札談合についての「重大な事実の認識について過誤があった」のであり、その誤った事実認識をもとに談合を防止する内部統制システムをいくら作ってみても、その内部統制システムは、その前提において機能しないことは明白である。
今、入札談合は、社会全体から厳しく批判されている。
このようなときに、裁判所が入札談合における取締役の責任に甘い判断を示すことは、司法に対する社会の期待にも反する。
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