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≪小沢秘書逮捕は国策捜査か・小渕総理のダミー団体との違い≫
(1)【小渕総理のときは不起訴。野党の党首は強制捜査】
小沢秘書の強制捜査で、10年前に時の総理であった小渕の政治団体をダミーであるとして告発したことを思いだした。小渕総理の時はロクに捜査もせず不起訴。今回は強制捜査.
この違いをどう理解すればよいのか。
(2)【ダミー、実態がない政治団体に関する従前の東京地検の解釈】
小沢秘書は、真実は西松建設の寄付であるのに、陸山会の収支報告書に「新政治問題研究会」「未来産業研究会」からの寄付と記載した事実が、政治資金規正法の虚偽記載という被疑事実で逮捕されたと報道されている。
本件の場合は、西松建設から⇒陸山会にストレートに寄付されたのに「新政治問題研究会」「未来産業研究会」として収支報告書に記載したケースではない(この場合は完全な虚偽記載であることは明白)
本件の場合のカネの流れは、
西松建設⇒「新政治問題研究会」又は「未来産業研究会」⇒陸山会となっている。
この場合に「新政治問題研究会」又は「未来産業研究会」の一応の独立の政治団体を通じる寄付が、どうして全て西松建設の企業献金となるのか。
「新政治問題研究会」⇒陸山会が、西松建設の企業献金と認定をするためには、「新政治問題研究会」又は「未来産業研究会」の団体性を100%否定できないと、新政治問題研究会等の寄付=西松建設の寄付と認定できない。
何故ならカネがいったん「新政治問題研究会」又は「未来産業研究会」という政治団体に入っているからである。この場合に小沢の秘書は「新政治問題研究会」又は「未来産業研究会」からの寄付として処理しても特別の問題がでない。カネの流れに合致するからである。
「ダミー」とか「実態がない」ということで政治団体の団体性を簡単に否定できるなら、今から約10年前に、小渕総理が支配する政治団体を告発した事件も関係者が逮捕されねばならなかったはずである。
今回の事件と事案が違うが、政治団体のダミー性を主張して、小渕総理の「未来産業研究会」を告発した。(今回の西松建設の政治団体と同じ名前だが偶然の一致)
http://kabuombu.sakura.ne.jp/archives/120601.htm
告発内容は、小渕総理側が、200万円をある役員達数名から寄付を受けた。同一の政治団体が同一の者から150万以上受け取ると政治資金規正法違反である。そこで小渕側の会計責任者らは、寄付者らと謀議の上、一方では100万円を未来産業研究会に、他方では、100万円を「惠 友 会」に割り振って、下記のように処理した。
1 A (会社役員)
寄附年月日 政治団体名 寄附金額
1 平成10年8月4日 未来産業研究会 100万
2 同年 8月4日 惠 友 会 100万
合計 200万
2 B (会社役員)
寄附年月日 政治団体名 寄附金額
1 平成10年8月21日 未来産業研究会 100万
2 同年 8月21日 惠 友 会 100万
合計 200万
3 C (会社役員)
寄附年月日 政治団体名 寄附金額
1 平成10年8月25日 未来産業研究会 100万
2 同年 8月25日 惠 友 会 100万
合計 200万
4 D(会社役員)
寄附年月日 政治団体名 寄附金額
1 平成10年9月21日 未来産業研究会 100万
2 同年 9月21日 惠 友 会 100万
合計 200万
5 E( 会社役員)
寄附年月日 政治団体名 寄附金額
1 平成10年12月25日 未来産業研究会 100万
2 同年 12月25日 惠 友 会 100万
合計 200万
そこで我々のメンバーが「惠 友 会」などの小渕の政治団体は「ダミー」であるして、この団体性を否定して、東京地検の特捜部に告発をしたのである。
ダミーの理由は以下の通りだった。
【自治省は政治団体については、それらの活動が非組織的であったり、一時的である団体は「政治団体」に該当しない(『政治活動の手引』自治省選挙部編三頁)としているのは、組織性、継続性がない「政治団体」を同法上の政治団体として保護するに価しない。・・・実際にも何らの活動をしないで、政治家のために資金上の援助をすることのみを目的とし、かつ、これのみをする団体は政治団体に該当しない」(右同二六四頁)としている。これは政治家の資金援助のみを目的として何らの活動をしない団体を政治資金上保護に価しない し、また保護すべきでないと考えているからに他ならない。その点で、自治省に届出はしているが、政治上の活動を何ら行われず、実体上は別の政治団体の
役員や構成員によって「運営」されているペーパー「政治団体」は政治資金規正法上の独立の政治団体として保護すべきではない】
【小渕の団体はいずれも、何の支出もしていない。この団体は、たまたまこの年度だけ支出がなかったのではなく、この四年間、全く何の支出もしていない。通信費、電話代、人件費、家賃等を一円も負担しないことは独自の団体としての基本要件である「組織性」や「継続性」が不存在であることを示している。すなわち、自治省には届出しているが、社会的には政治団体として不存在であり、このような社会的に存在しない政治団体は政治資金規正法上、独立の政治団体とみることはできない】
という理由であった。
東京地検特捜部は、まともに捜査もせず「惠 友 会」が、実質小渕の「未来産業研究会」などのダミー政治団体かどうかも調べず、自治省に届けがあり、規約があり、代表、会計責任者などが選ばれ、一応の外形があれば独立の政治団体であるという解釈で、それらの政治団体の団体性を肯定して、この告発を全部不起訴にした。
検察は「政治団体の実質の内容まで介入しないというスタンスであろう」と当時は善解した。
今回の小沢の秘書の事件は、寄付する側の団体がダミーであるが、小渕のときは、貰う側の政治団体のダミーという違いだけであり、団体のダミー性では同じである。
実体のない政治団体でも「独立の政治団体である」と小渕総理のときはその団体性を認め、外形は一応存在していても、西松が支配し、そのカネを西松が実質調達したからという理由で、この政治団体性を否定できるものではない。
時の総理のときは政治団体の団体性を肯定し、野党の党首のときは政治団体の団体性を否定するという、ご都合主義が許されるとすれば、法の支配はない。
以上の問題は、政治団体の団体性に関する問題であり、小沢の秘書の認識問題ではない。(この点、マスコミがごっちゃにしている)
(3)【小沢の秘書の認識問題について】
西松の関連する政治団体の団体性を否定できないとなると、次は小沢の秘書の認識がどうであったかが争点となる。この場合は石原などの迂回献金の構造と同じになる。
医師政治連盟⇒国民政治協会⇒自民党本部⇒石原の政党支部の場合におそらく医師政治連盟の関係者、自民党本部の関係者、石原の会計責任者らが謀議して上記の通りカネを流している。
当時の東京地検の特捜部は、この事実をほぼつかみながら、迂回献金を立件しなかった。
小沢の秘書が、今回の「新政治問題研究会」又は「未来産業研究会」⇒陸山会のカネが、西松建設から≪ストレート≫にでていると認識して初めて西松の企業献金の認識となる。
その点では、「新政治問題研究会」又は「未来産業研究会」⇒陸山会のカネが、西松建設が≪直接調達した≫というところまで、小沢の秘書が認識していたということを立証しなければならない。
「新政治問題研究会」のカネが、西松建設の社員の給料に上乗せしたり裏金で「新政治問題研究会」などに支払われていることなど、≪ストレート≫に西松建設が≪直接調達した≫ことまで、秘書の認識として要求される。
そこまでの立証は一般的には極めて困難。
何故なら、西松建設の役員らは、そのような違法なカネの作り方まで小沢の秘書らにまで話をすることは普通考えられないからである。
読売新聞が捜査側のリーク情報を一面で「請求書を西松建設に送った」と報道した。この程度位の認識では足りない。
西松が窓口になり「新政治問題研究会」などを動かし、カネを何とか調達している程度の認識であると反論されればそれだけの証明力しかないからである。
(西松の役員が小沢の秘書に、政治団体の金の調達の仕方まで話しているような「ズブズブ」の関係であるなら、完全にアウト)
どちらにしても迂回献金を立件せず、今回の場合はもっと迂回献金より難しいのに、強制捜査に及んだ検察の在り方に批判がでるのはその為である。
なお、ダミー政治団体を全て否定し、今後は実質で判断するというなら、それはそれで私は賛成である。
それなら、小渕総理の告発のときに、殆ど調べもせず、安易に不起訴にした理由、石原の迂回献金のときに何故立件すらしなかったかについて、地検は国民に説明する必要がある。
従前の小渕総理のダミー団体なら許し、与党の迂回献金を放置しながら、その説明もなく突然、政権交代が行われる選挙が近く、受け皿となる野党の党首の秘書を、強制捜査するやり方を肯定できない。
仮に小沢に、収賄事件などがあったとして、まず政治資金規正法で、別件逮捕し、その証拠探しの為の強制捜査なら、なおさら許されない。
(4)【小沢党首のカネの集め方は賛成できない】
西松建設などのような「ダーティな」企業から、小沢党首の金の集め方が、社会的にも、法律的にも許されるとは思わない。
戦後長い間、政治資金規正法違反は「形式犯」とかで放置されてきた。政治とカネに関する不信が助長されてきた。政権政党だから、捜査機関にも、それに「遠慮」「配慮」「自粛」してきたことに責任の一部がある。
小沢はそれを承知して、昔ながらのカネの集め方をしてきた。今回はその弱点を「国策捜査」に付け込まれた。
微罪、形式犯だから強制捜査をすべきでないという論理は、国会議員などの業界には通用しても国民には通用しない。
(5)【小沢は民主党の党首を辞任すべき】
小沢党首が個人として検察と戦うのは勝手だが、野党を巻き込んで、みにくい戦いは止めてもらいたい。
カネに対する「汚い」政治姿勢が、政権交代を期待する多くの国民に不信感を与えた以上、小沢は政権交代の受け皿になろうとする民主党の党首を辞任すべき。
否、民主党はこの事件を契機に、古い、古い自民党の体質を引きずる小沢体質と絶縁するべきである。そうすれば、国民の多くは、民主党に政権交代を託すことになろう。
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はじめまして。
記事を引用させていただきました。
トラックバックが通らないようですので、以下に報告します。
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1026.html
ありがとうございました。
2009/3/9(月) 午後 10:30 [ kan**tomos*n ]
[ 風流庵 ]さん
トラックバックありがとう。私のブログは引用自由です。
[ 風流庵 ]さんの引用の仕方がうまいですね。今度書くときは参考にさせてもらいます。
2009/3/9(月) 午後 11:03 [ abc*de*6 ]
[ kan**tomos*n ] さん
引用ありがとう。たいした意見ではないですが、引用して頂ければ、少しは今回の事件について、マスコミ情報だけに左右されない真相を見て頂きたいものです。同時に民主党の小沢及び幹部の反論にも同意できません。
[ kan**tomos*n ] さんのブログも読ませていただきました。慎重な意見表明には私も同感です。
2009/3/9(月) 午後 11:09 [ abc*de*6 ]
はじめまして
ご説明よくわかりました。専門家の御意見ブログで読めることはとても幸いです。いずれにしても東京地検特捜部は相当無理をしているということですね。
先生の『カネに対する「汚い」政治姿勢』批判もわかります、しかしそれでも私は小沢一郎という政治家が日本に必要だと考えます。なぜなら日本はこれから厳しい国際社会の中で生きていかなければならないからです。国際社会は未だ無法地帯と言ってもいいのではないでしょうか?軍事力と経済力の危うい均衡によって何とか共存している国際社会、今回の金融危機でさらに厳しい状況に陥っています。果たしてクリーンな民主党の若い議員たちに舵取りができるのでしょうか?できれば先生にも小沢一郎氏の政治思想に踏み込んでいただきたいものだと思いました。勝手な書き込みですみません、ありがとうございました。
2009/3/10(火) 午前 1:42 [ moko666 ]
[ gen*o*jp ]さん。
特捜部は以前のスタンスと違って強制捜査に及んでいます。だからと言って小澤さんの行為が正当化できるとは思いません。小澤さんの行為が正当というなら、小渕の行為、石原などの迂回献金も正当となります。これは市民の常識とは違います
なお、小澤さんが民主党を、政権交代寸前まで持ち込んだ力量は評価すべきです。他の民主党の議員では無理だったと思います。なお小澤さんの政策は素人の私が論評すべき問題ではありません。
私は弁護士として、政治とカネ問題を10年以上前から「ダミー団体」を追及してきました。この立場からすると小澤さんの行為は必要悪として是認はできません。
小澤の力もありますが、政権交代寸前まできたのは、彼の力量だけではないと思います。
2009/3/10(火) 午後 9:29 [ abc*de*6 ]
国策捜査じゃないかと、結構な国民が疑問を持ってると思う。
疑問を持つ理由は、ここのブログで書かれているような細かなことじゃなくて、
単純な感情論だと思う。
ただ単純に「今までなぜ捜査のメスが入らなかったのか?」
「なぜ、野党の党首が狙われたのか?」って点だと思う。
今回が仮に、二階さんの秘書逮捕で始まり、小沢さんに広がったなら、
ここまで疑問を感じられることはなかっただろうし、
これまで、自民党の人間が疑惑をもたれても、逮捕とか行われなかったり、
捜査をちゃんとしてるように見えなかったりと言った、
警察の信頼のなさも今回疑問をもたれる原因だと思う。
また、今回のマスコミの対応も結構疑問があります。
「小沢さんの説明に納得できたか?」とか、
「次の総理はだれ?」とか聞くなら、
「国策調査だと思いますか?」と言うのをずばり
世論調査でやるべきだと思う。
なんか、微妙にマスコミが世論捜査を行ってるような感じを受けました。
2009/3/11(水) 午前 4:13
あと、一つすごく根本的な疑問が・・・・。
今回の件のお金が賄賂かどうかはともかくとして
企業側として、与党の人間に賄賂を贈るってのはすごく良くわかる話なのですが・・・。
賄賂じゃなければ、背任罪なり、横領罪なり、になるだろうし・・・。
野党の人間にお金を渡してどうするのでしょうか???
どんな見返りがあるのでしょうか?
ないなら、背任・・・以下同文。
あと、もっと根本的な問題、
企業側は賄賂以外で、企業献金はどんな企業利益をえるのでしょうか???
2009/3/11(水) 午前 4:47
あゆさん。
小沢さんは国会では野党だが、地元では与党。
西松がなぜ小沢さんに献金が多いのかは解りませんが、一般的にゼネコンが地元で、公共工事を期待する場合は国会では野党でも「献金」もありえるように思う。
積極的に公共工事を期待して献金をする場合もあるが、消極的に受注にイチャモン受けないために、献金もあり得る。
企業の贈賄事件の多数の記録を読んでいると消極的な献金も結構あるのです。
与党、野党だけの区別では簡単に決めることはできない。
2009/3/11(水) 午後 10:10 [ abc*de*6 ]
的確な説明ありがとうございます。
野党に献金しても利益があるのですね・・・。
ところで、どのあたりの献金まで、贈収賄に問われる献金なのだろう?
2009/3/12(木) 午前 1:24
簡単に辞めればいいという問題ではないと思います。
今回のやり方は議会制民主主義の根幹を踏みにじる暴挙であり絶対に許してはならない。
敵の目的が小沢氏の追い落としにある以上、安易に辞めるのはそれに屈服するのと同じ事です。
それに首を挿げ替えたってまた同じ事をやられるかもしれない。あんなやり方が許されるなら恣意的にどんな政治家だって罪に落とせるんだから。
辞めるのはいつだって出来ることなんですから、可能な限り小沢党首で引っ張って国策捜査批判を盛り上げていくべきでしょう。
2009/3/14(土) 午後 9:55 [ しらく ]
[ c_hirac ] さん。貴方の見解も一理があります。しかし今回の検察の捜査について、与党の場合は放置し、野党の場合は強制捜査という点は「国策捜査的」です。だからと言って、小沢さんの金の集め方は、自民党のダーテイな連中と同じ。自民党の長崎県連に大手、地元ゼネコンが献金をしていた。この刑事記録を読んだら、小沢さんと本当に似たやり方。私たちの準備書面を見て下さい。http://homepage2.nifty.com/~matsuyama/0051.html
及び長崎県連へのゼネコンの献金実態も調べました。
http://homepage2.nifty.com/~matsuyama/nagasaki.html
2009/3/14(土) 午後 10:20 [ abc*de*6 ]