弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

政治とカネ

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小沢幹事長に関する検察審査会が『起訴相当』決議をした。
非常に驚いた。
 
私はブログに起訴相当議決はないだろうと書いたからだ。
小沢幹事長の事件で検察審査会は起訴相当を議決するか(政治とカネ198)
 
本件では『虚偽記載を具体的に指示、了承するなどの共謀の事実』がない限り、有罪は難しい事件と思ったからである。
 
検察審査会は起訴相当の議決書を読むと、共謀の事実についての直接的証拠≫として


(1)Bの平成16年分の収支報告書を提出する前に,被疑者に報告・相談等した旨の供述
2)Cの平成17年分の収支報告書を提出する前に,被疑者に説明し,被疑者の了承を得ている旨の供述


をあげている。
 
私はブログに次のように述べた。
 
小沢議員の秘書が不記載、虚偽記載に関して、どの程度関与したかについて秘書が「供述」しているかどうかが、有罪に持ち込める最大のポイント。

ある新聞などでは、秘書が小沢議員に収支報告書を提出することを報告し、「虚偽記載」の承諾があったとかの「供述証拠」があると報道していた。(真実そのような供述があったかどうは不明)

ところが、この供述調書があることが判明し、その調書を読んだ、検察審査委員が『直接共謀を認定する事実』があると判断した。
 
この調書に、どのような内容が記載されているのか具体的に指摘されていない。検察審査会の委員11人のうち8人以上(今回は11人全員と報道されている)がこの調書で有罪にできると認定した以上、それはその通りであろう。
 
検察審査会の議決は、上記直接証拠以外に次のような間接事実を述べている


(1)被疑者からの4億円を原資として本件土地を購入した事実を隠蔽するため,銀行への融資申込書や約束手形に被疑者自らが署名,F「をし,陸山会の定対預金を担保に金利(年額約450万円)を支払つてまで銀行融資を受けている等の執拗な偽装工作をしている。
 
(2)土地代金を金額支払つているのに,本件土地の売主との間で不動産引渡し完了確認書(平成161029日完了)や平成17年度分の固定資産税を買主陸山会で負担するとの合意書を取り交わしてまで本基記を翌年にずらしている。
 
(3)上記の諸工作は,被疑者が多額の資金を有しておると周囲に疑われ,マスコミ等に騒がれないための手段と推測される。
 
(4)絶対権力者である被疑者に無断で,AB,Cらが本件のような資金の流れの隠蔽工作等をする必要も理由もない。
これらを総合すれば,被疑者とABCらとの共謀を認定することは可能である。 .
 
4 更に,共謀に関する諸判例に照らしても,絶大な指揮命令榛限を有する被疑者の地位とAB,Cらの立場や上記の情況証拠を総合考慮すれば,被疑者に共謀共同正犯が成立するとの認定が可能である。
 
6 上記1ないし5のような直接的証拠と情況証拠があつて,被疑者の共謀共同正犯の成立が強く推認され,上記5の政治資金規I法の趣旨・目的・世情等に照らして,本件事案については被疑者を起訴して公開の場(裁判所)で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべきである。


上記の間接事実が秘書の調書の補強になるのかどうは全体の記録を読まない限り、しかもその直接証拠と指摘されている供述調書の内容が明らかにならない以上、これで起訴して有罪になるかどうは極めて不透明である。
 
秘書2人の供述内容に信用性があると裁判官は判断すれば有罪にするかも知れないし、証拠を厳しく評価する裁判官では無罪にする可能性のある事件。
 
この議決書を見る限り、感情的な表現が目立つ。
小沢議員が一切の説明責任を果たさないことが、この表現になった可能性も高い。
 
しかし、検察審査会が起訴相当議決をした以上、この判断が専門家の目線と違うところであったとしても、この議決を尊重すべきであろう。
 
市民が入った検察審査会に強制起訴権限を付与した以上、このスキームは長い目でみれば、検察の起訴独占主義への国民の批判・監督となるからだ。
 
(注)検察審査会の議決全文

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閉じる コメント(12)

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[ warugaki758 ] さん
議決書を引用しておきました。本当は検察は困っているでしょうね。不起訴と一旦決めた以上、この議決だけで検察が起訴することは矛盾。まして起訴し、無罪でもなれば検察の面子はまる潰れ。有罪になってもそれならなぜ最初に起訴しなかったかを問われる。それとも再度不起訴にして、裁判所が選ぶ弁護士に起訴させるか?自信家の東京地検が、下手な弁護士に起訴され公判をされて無罪になっても困るし、有罪になっても検察は困る。難しい選択です。

2010/4/27(火) 午後 8:18 [ abc*de*6 ]

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西松事件では裁判で「天の声」という抽象的な言葉が登場して、作文のような印象を持ちました。今回は検察審査会ですが、法を飛び越えた「絶対権力者」という抽象的な表現が出ました。そもそも裁判は現実を裁くものであるのに、抽象的な表現を使用することに違和感を覚えます。恐らく実際の裁判では被告達は供述調書を否定するだろうし、そもそも、供述調書も裁判所が証拠として採用するかどうかも分からない段階で、素人が絶対視してもよいのだろうかという疑問を持ちました。

2010/4/27(火) 午後 8:25 [ オレンジトマト ]

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[ 香港フリーク マンマ ] さん
貴方のご指摘の通り、絶対権力者とかの表現をがこの議決書の『感情的』と書いた理由です。

2010/4/27(火) 午後 8:34 [ abc*de*6 ]

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勉強になります。ありがとうございます。

>検察審査会の委員11人のうち8人以上がこの調書で有罪にできると認定した以上、それはその通りであろう。

検察審査会で説明した弁護士さんの影響が大きいのではないでしょうか?
私もそうですが、一般人は有罪に出来ると判断するだけの経験がありませんので。

2010/4/27(火) 午後 8:56 [ war*ga*i75* ]

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warugaki758]さん
検察審査会に弁護士が参加してアドバイスします。どの程度アドバイスしているのか、担当弁護士によって相当違うような印象。鳩山総理の時の第4検察審査会の議決内容は結論とは別に議決記載内容が極めて冷静です。立法の問題と証拠を区別して指摘しています。他方、第5検察審査会議決の記載内容は結論は別にして立法内容の問題と証拠が区別できているのか不安を持つほど「冷静さを欠いた内容」と判断しました。これは弁護士の資質なのか、それとも、この議決書を書いた事務局の方の感情かは判らない。ただ、このような「感情的な表現」になるのは委員の11名のうち8名以上が相当厳しい起訴相当意見を述べたと思います。委員の意見、感情を無視して弁護士も事務局も勝手にはこのような議決内容は書けないと思います。小澤議員の、もともと4億円の原資がタンス預金からスタートしている。鳩山の場合は親のカネだった。この違いも関係しているか!?

2010/4/27(火) 午後 10:09 [ abc*de*6 ]

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こんにちは 個人発明家です。
確かに、「けしからん」という感情が立法論の問題と法の適用解釈の問題とで混同して噴出している感じですね。素人の感覚を入れるという検察審査会の趣旨が悪い方に出てしまった例になるんでしょうか。こちらにも少し書きました。
http://hatumeika.cocolog-nifty.com/blog/

2010/4/27(火) 午後 11:25 [ rada ]

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そもそも西松事件で、検察が「裏金1億円」から「表の金」2000万?に政治資金規正法の解釈を勝手に変更して、その司法判断も出ていないうちに、今回の土地取引では、一時的な立替金の不記載で、元秘書ですら罪に問えるかどうかも分からないと元検事・弁護士・公認会計士といった人たちが指摘していて、肝心な水谷建設の裏金はどこへいったのやらという状態です。西松事件に至っては、検察側の証人自体が事件の構図を否定する証言をしたそうで、それを誤魔化すための土地取引への強制捜査とも言われています。これらから素人目には、大阪の郵便不正事件の二の舞といった構図に見えて、特捜部の検事は、事件を捏造する愚か者に思えます。

2010/4/27(火) 午後 11:25 [ オレンジトマト ]

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あれだけの「公判前」の有罪的報道には大いに問題があるでしょう。また、阪口先生も訴えている官房機密費や、他の弁護士の森田健作氏の件は進行していないのに、今回のスピード、検察審査会・・・

告発した右翼よりの市民団体の存在といい、有罪云々より、2回目の検察審査会は参院選前なので、イメージダウンによる選挙を有利に戦いたという「政治的陰謀」があるのでは!?

2010/4/28(水) 午前 3:10 かいざぁー

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「想定内」「証拠評価の問題」=起訴可能性に否定的−法務・検察
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010042701054

>『小沢氏はけしからん』という気持ちがあるのかもしれない」と話した。
感情>法です検察審査会(笑)

2010/4/28(水) 午前 5:25 [ hii8765 ]

ラジオニュースで聞きまして、洗っていたcoffeeカップ一つ割りました。「絶対権力者」って、何よ!
突っ込みいれながら〜非常な戦慄を覚えました。
翳! 裁判員制度にもリンクしました。渇!国民こそが主人公です☆
ありがとうございます。世の中、よくなってほしいです☆(礼)

2010/4/28(水) 午前 8:07 [ じゃじゃまる ]

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今回初めて検察審査会の議決書というものを読みました。
起訴相当の議決自体はありえると思っていたのですが、
先立って検察が下した不起訴処分についての評価が書かれて
いないことが意外でした。
検察が行った処分を審査する会だと思っていたのですが、証拠の
評価に終始していたのはなぜなんでしょうね。

「○×の証拠にも関わらず不起訴とした検察の処分は著しく
不当と言わざるを得ず、当審査会はここに起訴相当を
議決するものである」といったような文章を期待したのですが。

2010/4/29(木) 午前 1:07 [ 常識 ]

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今回の起訴相当の議決には驚きました。しかし、起訴相当とする根拠が曖昧でとても公判を維持できる代物ではありません。「絶対権力者」というのはあくまでも委員の主観です。検察審査委員会にはもっと公私を分けた判断をしてほしいと思います。

2010/8/6(金) 午後 2:11 [ 干からびた羊羹 ]

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