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住友電気工業の光ファイバーケーブルカルテル事件に関して8月26日に、株主代表訴訟の提訴通知が同社の監査役に対してなされた。
その提訴通知こよると、カルテルが認定された2005年(平成17年)2月9日から立入調査を受けた2009年(平成21年)6月までの間,一時期でも取締役の地位にあったことがある役員24名に対して会社に対して課徴金相当額である67億6272万円の損害を弁償させるべきという内容である。
その責任原因に、カルテルを黙認してきたとか、有効な内部統制システム構築義務違反などを主張している点は従来と同じであるが、今回の特徴は
(1)課徴金減免制度(リーニエンシー)に関する内部統制システム構築義務違反
2006年(平成18年)1月以降,独占禁止法改正によるリーニエンシーが施行されたのであるから,カルテルが行われていたとしても,この減免ルールに従って公取委に違反事実を申告すれば課徴金の減免を受けることができた。本件取締役らは,他事業者の申告に先駆けて違反事実を申告して課徴金を免れるコンプライアンスシステムを構築する義務があったにもかかわらず,これを怠り,有効なリーニエンシーに関するコンプライアンスシステムを構築しなかった過失がある。
(2) 実際にリーニエンシーを利用しなかった過失
昨年来,電線業界では4件ものカルテル事件が発生させており,この分野でカルテルが横していることは容易に認識し得た。また,実際に本件カルテルにおいては,他事業者はリーニエンシーにより課徴金を免れており,本件取締役らは立入調査前には他事業者に先駆けて違反事実を申告するべきであったし(1番目なら全額免除,2番目なら50%減額。独占禁止法7条の2第10項,11項),また立入調査がなされた平成21年6月2日以降でも公取委にその時点で何社が減免申請しているか確認し,まだ3社に満たない場合であれば,直ちに様式第3号による報告を行えば30%の減額をすることができたにもかかわらず(独占禁止法7条の2第12項),この減免申請を怠り,減免の機会を失した過失がある。
を主張している点である。
リーニエンシーを巡っての株主代表訴訟は初めてである。本件カルテルでは他の業者がリーニエンシーを活用して課徴金を免れている。住友電工のリーニエンシー制度はあったのかどうか、形だけのものを作って魂を入れなかったか、そのあり方を問う初めての代表訴訟。今後の推移が注目される。
この提訴通知の弁護団は株主権利弁護団の由良事務局長他7名。
連絡先は、弁護士 由良尚文
大阪市中央区北浜2丁目1番3号 北浜清友会館8階 Phone 06-6201-5111 Fax 06-6201-5122
≪ 光ファイバーケーブルカルテル事件とは≫
住友電気工業は,2009年(平成21年)6月2日,公正取引委員会からNTT東日本やNTTドコモが発注する光ファイバーケーブル製品等の販売に関してカルテルを結んでいた疑いで立入調査を受けました。そして,公取委は,2010年(平成22年)5月21日,このカルテルについて独占禁止法3条に違反する行為があったとして排除措置命令及び課徴金67億6272万円もの課徴金納付命令を発令した。
住友電工は,この課徴金納付命令について審判請求をしなかったので,2010年(平成22年)8月23日までに課徴金67億6272万円を納付した模様。
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