弁護士阪口徳雄の自由発言

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内閣官房報償費(機密費)情報公開請求第2次訴訟
(河村健夫官房長官分,2・5億円食い逃げ事件)
 
 
 判 決:平成24年11月22日(木)13時15分 806号法廷
 係属部:大阪地方裁判所第7民事部 田中健治裁判長 平成22年(行ウ)第2号
原 告:松山治幸(公認会計士・税理士/政治資金オンブズマン共同代表)
被 告:国
 
 
【内閣官房報償費(機密費)】
・国の事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため,当面の任務と状況に応じ,その都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費であり,具体的な使途が特定されない段階で国の会計からの支出が完了し,その後は基本的な目的を逸脱しない限り,取扱責任者である内閣官房長官の判断で支払が行われるとともに,その使用は内閣官房長官という政治家による優れて政治的な判断の下で決定されるもの。
・年間14億6000万円(月額平均1億円)が国庫から支出されている
 
*これまで明らかになっていること
・平成元年5月作成の引継文書「報償費について」(古川ペーパー)
古川貞二郎内閣官房副長官が作成 筆跡鑑定も一致
・加藤紘一官房長官時代の平成3年11月〜平成4年12月までの金銭出納帳,収支整理表,支出内訳別の明細表 → パーティ券,背広,餞別,香典etc
・野中広務氏,鈴木宗夫氏らの各所での証言
・民主党の動き
平成23年9月 藤村官房長官「公開基準検討する」
平成24年9月 藤村官房長官「公開基準・先送りする」
平成24年11月「民主党政権3年余りで35億2000万円(うち国庫返納額は3885万6818円),野田内閣(藤村官房長官)時代に13億3000万円(うち国庫返納額2172万4654円),今年度は1億円ずつ7回にわけて7億円支出」
 
【目的類型】
①政策推進費 内閣官房長官が政策を円滑かつ効率的に推進するため,内閣官房長官として高度な政策的判断により,機動的に使用するものであり,自ら出納管理を行い,直接相手方に渡す経費  *領収書なしも可
→非公式の交渉や協力依頼に際して関係者の合意や協力を得るための対価
有益な情報を得るために支払われる対価
②調査情報対策費 内閣官房長官が円滑かつ効率的に推進するための必要な情報を得る目的で使用するものであり事務補助者をして出納管理にあたらせる経費
→情報提供の対価(支出先:情報収集・協力依頼の相手方)
情報収集のための会合の経費(支出先:会合事業者)料亭,ホテル等
③活動関係費 政策推進,情報収集等を円滑に行い,所期の目的を達成するため,内閣官房長官が事務補助者をして出納管理にあたらせる経費
→交通費(支出先:交通事業者) タクシー,ハイヤー等
会合費(支出先:会合事業者) 料亭,ホテル等
書籍類(支出先:書店)
活動経費(支出先:情報収集・協力依頼の相手方) 相手の経費をまとめて支払
贈答品(支出先:事業者)
謝礼(支出先:情報収集・協力依頼の相手方)
慶弔費
支払関係費(支出先:銀行等の金融機関) 振込手数料
 
【対象文書】
①政策推進費受払簿 内閣官房長官が政策推進費として使用する額を区分する都度作成
(特徴)・月に1〜2枚
・支払相手方は記載されない
②支払決定書 調査情報対策費,活動関係費の1件または複数の支払にかかる支払決定をする都度作成
(特徴)・支払相手方も記載される(複数の支払をまとめている場合は代表的なもの)
・月に1枚ずつ(調査情報対策費関係,活動関係費関係)の場合がほとんど
・支払目的は3類型だけでなくもう少し具体的なものが記載されている
③出納管理簿 内閣官房報償費の支出を月ごとにまとめた上で当該年度ごとにおける支出全体を一覧できるようにしたもの
(特徴)・①②を一覧できるようにまとめたもの
・支払相手方も記載されるが,相手方の記載がある場合には内閣官房長官の判断で記載を省略することができることとなっている(ただし実際は省略されていない)
・支払目的は3類型だけでなくもう少し具体的なものが記載
④報償費支払明細書 計算証明規則11条に基づき,会計検査院に報告用に使途目的別に分類したもの(会計検査院にはこれを提出すれば領収書等を提出しないでよいとされている)
(特徴)・会計検査院提出用の2次資料 提出した原本は会計検査院にある
・支払相手方の記載なし
・支払目的も3類型しか記載されていない
⑤領収書等  領収書,請求書,受領書
(特徴)政策推進費については領収書がない場合がある
 
【本件訴訟(河村2・5億円食い逃げ分)の特徴】
・総選挙で自民党が敗戦後,退陣が決まってからわずか約10日間で2億5000万円を使用している
 (原告)重要な政策などない
 (被告)重要な政策は新聞掲載等に限られない 前払い,後払いもある
 (原告)そうであれば重要な政策があっても推測不可
 
・河村官房長官を刑事告発をしたが嫌疑不十分で不起訴処分
 
【訴訟の経過】
H21年 8月30日  衆議院総選挙 自民党から民主党に政権交代
H21年 9月 1日  河村官房長官が官房機密費を2億5000万円が国庫に請求
(千代内閣総務官の経験上,1度に1億円以上の請求はない)
H21年 9月 4日  国庫から内閣官房に2億5000万円が支出決定
数日後  実際に国庫から内閣官房に2億5000万円が支払われる(小切手)
H21年 9月16日  麻生内閣が退陣 民主党が引き継いだ金庫はカラ(平野官房長官の国会答弁)
H21年10月 9日  原告(松山治幸さん)が領収書等について情報公開請求
H21年12月14日  不開示決定
H22年 1月 6日  原告が大阪地裁に提訴
H23年12月20日  内閣広報官(当時総務官)千代幹也氏の証人尋問
H24年 4月24日  原告が証人尋問請求をしている河村健夫氏の採否決定(予定)
 
(参考)【1次訴訟(安倍長官分)の経過】 *原告 上脇博之神戸学院大学教授
H19年 5月18日  大阪地方裁判所に取消訴訟を提訴
H22年 8月13日  千代幹也氏を証人尋問   証言拒絶を繰り返す
H23年 7月27日  上脇博之教授を尋問
H23年10月28日  大阪地裁で結審
H24年 3月23日  大阪地裁判決  一部開示を認める
H24年 3月29日  原告が控訴
H24年 4月 5日  国が控訴
H24年 7月10日  大阪高裁第一回弁論
H24年10月 5日  大阪高裁第二回弁論
H25年 1月 8日(予定)13時30分〜15時30分  大阪高裁82号法廷
大阪高裁で証人尋問(原勝則 前内閣官房内閣総務官)
 
【争点】
①本件各文書が情報公開法5条6号,3号の非開示情報に該当するか
5条6号 国が行う事務又は事業に関する情報で,公にすることで当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報
5条3号 公にすることで,国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報
②部分開示義務の存否(部分開示を定める情報公開法6条との関係)
 
【争点①・非開示情報該当性について】
★被告の主張
・非開示とするには,事務や事業の執行の適正な遂行に支障を及ぼす具体的な機序まで立証不要,「おそれ」は「法的保護に値する程度の蓋然性」の立証で十分
・相手方が公表されることで情報収集や協力依頼等の相手方の信頼関係を損なう
→今後の協力が期待できないおそれ,相手方が接触を暴露するおそれ
・額を比較することによる不信感(情報対価,会合費,贈答品,慶弔品,謝礼など)
・相手方がわからなくても,日付と額がわかれば,そのときの事象や官房長官により使途が推認
・外交上,安全保障上不利益を被る(内政といっても外交にかかわる)
・第三者による不正な工作のおそれ(情報提供者,交通業者,会合業者,書店,金融機関など)  第三者が相手方に働きかけて情報漏洩を工作
・これまで使用してきた業者を利用できなくなる(交通業者,会合業者)
・使途に関して事実と関係なく様々な推測と憶測が広まり,情報収集に関係者の協力を得にくくなる
・情報公開審査会でインカメラ審理をし,それでもなお非開示相当という答申が出されている
 
★原告の主張
・非開示とするには,抽象的なおそれではだめ,具体的なおそれが必要
・憶測の流布のおそれを理由にして不開示にすることは国民による行政執行に対する批判と監視の活動自体を封殺することになる
・文書を開示しても使途(とりわけ相手方)がわからない
→支出相手方が記載されていない文書(政策推進費受払簿,報償費支払明細書等)
支出相手方が記載されていても,相手方が直接の情報提供者でなく業者(交通業者,会合業者,書店,贈答品業者,金融機関)の場合
・相手方がわかる文書の場合にも相手方をマスキングすればよい(→一部開示論)
・仮に使途がわかっても,内閣官房の事務の遂行に具体的な支障は生じない
→例えば交通費や会合費の支出がわかって内閣官房の事務に何の支障があるのか
*支出相手方公務員(特に国会議員)の場合は開示すべき(公務員は民間人と違って公開されても支障なし,政治資金規正法の問題もある
*1000万円を超えて支出したものについては全て開示すべき
 

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