弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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≪特定秘密保護法案に「知る権利が明記されても、この法案の危険性は何ら変わらない。むしろ法案の危険性をごまかす役割しか果たさない≫
 
恐らく知る権利の明記と言っても第20条に「知る権利」を追加する程度であろう。
 
(この法律の解釈適用)
第20条 この法律の適用に当たっては、報道の自由や知る権利に十分に配慮するとともに、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない。
この法律の解釈適用に≪知る権利に十分に配慮する≫と記載が追加されても、意味がない。この条文は警察、検察、裁判所を何ら拘束する条文ではなく『訓示規定』という一種の『努力規定』であって、これに違反しても何の制裁もない。
 
罰則を規定した第7章の第21条以下の条文に『知る権利を行使した者及びそれに協力した特定秘密の取扱いの業務に従事する者又は当該特定秘密を知得した者には本罰則規定を適用しないと明記しない限り、空文でしかない。
 
知る権利を一番侵害する条文は23条である
 
 
第23条 第21条第1項又は前条第1項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は扇動した者は、5年以下の懲役に処する。
第21条1項とは≪特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、10年以下の懲役に処する・・・・・・・・≫
第22条1項とは≪ 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び1000万円以下の罰金に処する≫
 
この独立の教唆罪や共謀罪の条文は、国民の知る権利を行使しようと準備する段階でそれらの者を逮捕、起訴し懲役5年以下の刑罰に処すことが可能になる条文だからである。
 
『教唆犯』とは、第21条1項、22条1項の行為を秘密をもつ公務員等に「教唆する」者は5年以下の懲役になることだ。
「教唆」とは秘密に関与する公務員等に働きかける行為であるから、マスコミの記者でも良いし、知る権利を行使しようとした一般私人でも誰でも成立する。
例えば「特定秘密の取扱いの業務に従事する者」に秘密書類をコピーしてくれないかと持ちかけることなどが「教唆」になり、教唆された公務員などが≪バカなことを言うな、そんなことをすれば俺は10年以下の懲役になるから嫌だ≫と拒否した場合=未遂でも教唆した記者や私人は第23条の罪に問われるのである。
教唆行為を独立に罰する法律の危険性だ。
もっと恐ろしいのは「共謀罪」である。
秘密を持つ公務員などから情報の入手行為の相談行為=共謀自体が共謀罪で逮捕、起訴される危険性がある点である。
例えば新聞社の中である数名の記者が≪外務省に××の秘密の書類がありそうだ。A公務員にその秘密の文書のコピーを外務省のコピー機でコピーして貰うようにしてはどうか。その為に△△の行為をしようと≫と相談し決めただけでも23条の共謀罪が成立する危険性がある。
何故なら、この秘密の書類のコピーについて外務省のコピー紙を用いると法22条1項の『財物の窃取』になるからだ。
 
共謀とは複数人で協議、相談することを言い、時には判例によれば「黙示の共謀=例えば目配せなど」も認められるという。
例えば、前記の記者達が、秘密書類入手しようと相談した時に、ある記者は現場でいたが、積極的に賛成はしなかったが、特に反対もしなかった。入手出来たらよいとおもったとなれば、黙示の共謀罪が成立するともいう。
共謀した者の中に,犯罪の実行の着手やその準備行為を行った者が存在していなくても共謀罪は成立するという点において,従来の共謀共同正犯とは異なっており,思想ではなく行為を処罰するという刑事法体系の基本原則に矛盾するものである。
 
しかも,その処罰範囲が,限りなく曖昧で拡大してしまうおそれがあるという点で,国民から行為の予測可能性を奪うものであるから,基本的人権の保障と深刻な対立を引き起こすおそれが高い。
 
現在の我が国の刑事法体系が,犯罪の処罰を「既遂」を原則とし,必要な場合に限って「未遂」を処罰し,ごく例外的に極めて重大な犯罪に限って,着手以前の「予備」を処罰するのは,このためである。「予備」にも至らない『共謀』を罰するとなれば、その罪の遂行しようとする合意、相談しただけでまだ未だ準備にも取りかかっていない段階まで「共謀」で罰せられることになる。
 
教唆犯や共謀罪の適用されるのは、新聞記者はもちろん国会議員、弁護士、情報公開請求運動をしているNPO法人などにも誰でも当然適用される。
 
恐ろしい法律ができるものだ。 
「知る権利」という文言が入る位で、騙されてはいけない。

政府が「知る権利」明記の修正案 秘密保護法成立の可能性

2013年10月11日 23時38分
 政府は11日、機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案をめぐり国民の「知る権利」や「取材の自由」への配慮を規定した修正案を公明党に提示した。同党の要求に歩み寄った内容で、法案を了承する方向で調整する。関係者が明らかにした。自民党は来週中に総務会で了承する予定で、特定秘密保護法案は月内に臨時国会に提出され、成立する可能性が出てきた。
 安倍晋三首相は11日、公明党の山口那津男代表と官邸で会談し、公明党が求める「知る権利」の明文化などについて「あらためて検討する」と述べた。山口氏が記者団に明らかにした。
(共同)

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