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熊谷組株主代表訴訟の福井地裁の判決が元松本社長に2861.5万円の政治献金の返還を命じ、原告株主に一部勝訴させた。1/11の高裁判決がこれを維持するか、それともこれを変更するかも大きな争点だ。
『熊谷組は,平成9年3月期までは株主配当を実施しながら,平成10年3月期に2400億円余の損失を一括処理して488億円の欠損を生じている・・・・・・そうすると,熊谷組においては,少なくとも平成10年3月期以後は,政治資金の寄附にあたり,会社の経営状況と寄附の必要性ないし有用性とを厳格に対比して検討し,その可否・数額・時期等を慎重に判断すべき注意義務があったというべきである。
寄附の額や時期についても要請があった額や時期を、そのまま応諾して拠出を決定しており,本件政治資金の寄附の使途や政治情勢に照らしてその必要性ないし有用性を検討した形跡も伺うことができない(本件政治資金の寄附の目的として被告らが主張する自由主義経済の維持ないし発展は,それ自体本件政治資金の寄附の合理的理由とはなり得ないことは前述のとおりである。)。
従って,平成10年4月1日以後の本件政治資金の寄附については,会社においてその可否・範囲・数額・時期等につき厳格な審査を行い,欠損の解消にどの程度の影響があるか,株主への配当に優先して寄附を行う必要性があるかを慎重に判断することなく実施したもので,その判断過程はずさんであって取締役の裁量を逸脱したものといわざるを得ず,善管注意義務違反の行為というべきである』
1審判決の詳細はhttp://www1.neweb.ne.jp/wa/kabuombu/030227-1.htm参照
平成10年3月期の2400億の損失などはその前年に突然生じたものでない。バブル崩壊後から徐々に生じ始め、遅くとも1996年(平成8年3月)に社長は会社の財務体質が極めて悪化していたことを知っていたか少なくともそれを知るべきであるのに、1996年から何ら上記の点を考慮せず、漫然と献金をしていた。杜撰な献金であり、役員の責任は免れないという点も高裁で強調した。
1/11の高裁判決が、この1審判決が示した赤字企業の政治献金に関する善菅注意義務の内容、言わばガイドラインを維持するかどうかも大きな争点となっている。
法人税も払わず、株主への配当もしないのに、せっせと政治献金だけをしている役員がいかに多いことか。法律以前のモラルの問題を痛感した。
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