弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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八幡政治献金最高裁大法廷判決(1970年6月24日)を『お助け判決』と呼んだ人がいる
当時の大多数の国会議員や財界を助けた判決だというのである。最高裁大法廷判決を最高に侮辱する表現である。しかしこの衝撃的発言が、その後の最高裁長官が言ったのだから「侮辱」にもならない。
 
1993年(平成5年)11月2日、鹿島建設・大林組など大手ゼネコン汚職が相次いで発覚するもとで、政治腐敗に対する国民の怒りが広がり、国会で企業の政治献金が大きな政治問題となった。衆議院の「政治改革に関する調査特別委員会」において、最高裁判所長官を務めた岡原昌男が参考人として、この委員会に出席した。

国会議員の質問=「企業団体献金を全面禁止する以外に政治腐敗は結局防ぐことができないわけで、参考人の方も先ほど八幡製鉄の判決に関連して、政治献金は本来個人から個人へというお話でありますが、この企業・団体献金の禁止ということについてはどういうふうなお考えでしょうか。」

岡原参考人答弁=「できればそういう方向に行きたいと思います。ただ、あの判決をよく読んでいただきますとわかると思いますが、これだけ企業献金がその当時、あれは昭和35年の事件でございます、行き渡っておったのでは、最高裁がやれるわけがないです。違憲であるとか違反であるというふうなことに。全部の候補者がひっかかるような、そういうことは実際上としてやれない。したがって、あれは助けた判決、俗に我々、助けた判決というものでございます。」

 元最高裁長官が、国権の最高機関である国会においてこのように、政治的配慮による現実追随の「お助け判決」であると表明したことの深刻な重大さは計り知れない。これでは最高栽大法廷判決としての規範性などあるはずがないお助け判決だが、しかしその後の最高裁裁判官や下級審の裁判官を重く拘束している。

経団連が40億の献金を再開した。それを貰う自民党の国会議員も300人にも達した。
今回の判決が現代の財界や巨大与党を「お助けする判決」にしてはならない。

アメリカでは約100年前のパーキンソン対モス事件の判決が
 「企業の政治献金は、たとえ制定法になんらこれを禁止する規定がない場合でも、それは全く是認し難い違法な行為であるという、この事件の基本原則について全員の意見が一致する」
として企業献金を禁止した。この結果テイルマン法「いかなる会社も、下院議員選挙、大統領及び副大統領選出選挙に関して献金を行うことは、違法である」と規定し、世界に先駆けて企業献金禁止法を実現
した。

財界や巨大与党を助けるか、それともアメリカの判決のように企業献金を批判する多くの国民を助けるか、3名の高裁の裁判官の見識が問われている。

 

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