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最高裁八幡献金事件の判旨は『取締役は政治資金の寄付をなすにあたってはその会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位及び寄付の相手方など諸般の事情を考慮して、合理的な範囲内において、その金額を決すべきであり、この範囲を超えて、不相応な寄付をした場合には善管注意義務違反となる』とした。
今回の高裁判決は、上記最高裁判例を引用して『熊谷組の売り上げが8000億円から1兆円あり、寄付金額は年々減少してきていること、日建連の要請を受けてなされたものがあるとしても、応じることが相当でないとは言えないこと、国民政治協会は適法な組織団体であり、その寄付を受ける適格性に何ら問題がないことなどの事情に照らすと本件献金は合理的な範囲内にあり、不相当な寄付でないと言えない』と断定した。判決全文はhttp://www1.neweb.ne.jp/wa/kabuombu/index.html参照
株主側が主張していた以下の献金の弊害面から要請される取締役の慎重な注意義務が全く考慮されなかった。長いが引用する。
・巨額の政治献金が政権党の政策を左右し、その政治姿勢、政策を歪める場合、またはその歪めるおそれがあり、多数の国民に疑惑を招く場合等は、企業が民主主義社会(言論、提案によって決定する制度)を歪めていると社会から批判される。これは献金の最大の弊害である。
・政治献金は受ける政党からみればプラスであるが、献金を受けない政党からみればマイナスに作用することは客観的事実である。そうすると、政治献金の場合は他党に対し弊害を生じさせものである以上、その程度がとるに足りないか、あっても極めて小さいものでなければならない。金額が多ければ多いほど必ず他党にマイナス作用を与える。
・上記の事項に明白に該当しない場合でも、その疑いがある場合には、寄付をすることについて、慎重な注意義務が取締役に要求されると。
企業献金は普通のメセナ活動への寄付と根本的に異なる点を考慮すべきと株主側は強調していた。
1審判決は上記の弊害面を考慮して政治献金を慎重に判断すべき抑制原理を導きだした。
高裁は上記弊害を何ら考慮せず、更に、日建連の統一献金の政権政党の政策を誘導し、左右する献金実態の弊害面(政治献金3)については『日建連の要請を受けてなされたものがあるとしても』という一言で片付け、寄付の相手方である政権与党への献金も、国民政治協会の『法的適確問題』にすり変えた。
市民常識からすれば、どちらが政治献金の弊害(実態)を見ているか、そうでないかは一目瞭然である。
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