弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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日経新聞朝刊の月曜日に『法務』欄がある。取材もしっかりし、弁護士でも大いに参考になるので、良く読む記事だ。

先週(1/9)の16面の『傍聴席』に元特捜部の検事だった公正取引委員の三谷紘氏が『談合と決別する覚悟示す時』と題して次の談話を掲載していた。当日は見過ごしていたが、先ほど検索していたら発見。参考になるので引用する。

 ◎…「新制度により談合やカルテルの隠ぺいはますます困難になる」。元特捜検事で公正取引委員会委員の三谷紘氏は指摘する。4日から改正独占禁止法が施行され、談合など不正を自ら申し出れば刑事告発や課徴金を免除する日本初の“司法取引”の課徴金減免制度がスタートした。
 
 ◎…「談合をやめろと指示するだけでは企業トップの責任を果たしたとはいえない」と手厳しい。談合組織は長年にわたり築き上げられてきた共犯者の集まりで、決別は容易ではない。「利益を一時的に減らしてでも不正と決別する覚悟を示すべき」と訴える。

『談合をやめろと指示するだけでは企業トップの責任を果たしたとはいえない』という意見は時期にピッタリのコメントであり、全くそのとおりだ。こんなことは、特捜部の元検事に指摘して貰うまでもなく、とっくに企業には判っていることだ。

財団法人公正取引協会が定める『独占禁止法コンプライアンス・プログラム』がある。ほぼ次のような内容。
1会社の独占禁止法遵守の宣言
2従業員のための独占禁止法の遵守マニュアルの作成
3従業員への独占禁止法教育
4独占禁止法の遵守状況のチェック及び独占禁止法に関する疑問への回答の体制作り
5将来にコンプライアンス・プログラムの見直し
6法務部やコンプライアンス室を作り従業員に事前相談させるシステムを作る。

五洋建設(マリコン大手)が長崎県の公共工事について談合をしていた。課徴金1億6342万が会社に生じた損害として株主代表訴訟が今東京地裁民事8部に係属している。(平成15年ワ26706号事件)

被告役員は上記のような独占禁止法コンプライアンス・プログラムを作っていたので、責任がないという。しかし五洋建設は、この間に、次のような公取委から談合に関する排除命令や課徴金が命じられている

1 昭和63年12月8日 横須賀米軍工事談合で課徴金命令
2 平成4年6月3日   埼玉談合事件で排除命令
3 平成10年6月17日 関西地区の国、自治体の入札に関して談合をしないように警告(いわゆる
             平島栄西松相談役の告発に端を発した事件)
4 平成14年6月10日 長崎談合事件で排除勧告及び課徴金納付命令
5 平成15年6月13日 仙台市岩切駅土地区画整理組合談合で警告
6 平成16年7月13日 新潟市の公共工事の談合で排除命令

これを見ると、財団法人公正取引協会が定める『独占禁止法コンプライアンス・プログラム』に根本的欠陥があるのと見るのが常識。少なくとも、これを履行したから責任がないという主張は、何回も談合を繰り返す企業においては、全く『役立つ』独占禁止法コンプライアンス・プログラムでないことは明らかだ。

今後企業が『談合と決別する覚悟示す時』に相応しい独占禁止法コンプライアンス・プログラムをどう作るかが問われている。

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