弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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【法を形式的に解釈するか、柔軟に解釈し運用するか。それが判決の結論を左右している】

最高裁で高裁の判決が破棄されるのが多いことにビックリした。
今年1月から3月10日までに民事・行政事件で合計17件も破棄されていた。
熊谷組の政治献金の最高裁上告事件で、高裁判決が破棄されるケースを調べている途中で発見した。
http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/View1?OpenView

高裁判決が法律や契約書面の形式性から判断しているのに対して、最高裁の方が実態を直視し、法を柔軟に運用、解釈して判断しているケースが、上記破棄判決事例に比較的多いことに気がついた。

1 利息制限法の解釈などについては高裁は法律や書面に書いてあるとおり判断する傾向があるのに対して、最高裁は消費者契約者保護理念から実質判断をしている。
貸金請求事件 (最高裁判所 平成16年(受)第1518号 平成18年01月13日 第二小法廷判決 破棄差戻)などである。

2 平成17年12月16日 第二小法廷判決 平成16年(受)第1573号 敷金返還請求事件ふ 賃借建【物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負う旨の特約が成立していないとされた事例】などはその典型である。

3 公務外認定処分取消請求事件 (最高裁判所 平成14年(行ヒ)第96号 平成18年03月03日 第二小法廷判決 破棄差戻し)原審 福岡高等裁判所宮崎支部 (平成12年(行コ)第8号)
【重い心臓疾患を有する地方公務員の死亡と同人が公務としてバレーボールの試合に出場したこととの間に相当因果関係があるということはできないとした原審の判断に違法があるとされた事例】もそうだ。

4 平成18年01月19日 第一小法廷判決 平成15年(行ヒ)第299号 違法公金支出返還請求事件【県議会議員の職にあった者を会員とする元県議会議員会の内部的な行事等に要する経費を補助するためにされた県の補助金の支出が県の裁量権の範囲を逸脱したものとして違法であるとされた事例】

それだけではない。
通常の民事事件でも高裁判決が形式的であり最高裁で破棄されている。

5 例えば平成18年2月21日第3小法廷判決の占有権に基づく妨害予防請求事件等も同様だ。
占有は実質判断なのに、法律形式だけで棄却している。極めて高裁判決は理論的に精緻なように見えるが
実態を見ない形式判断である。これに対して最高裁は実態から法の適用を検討して破棄している。

6 平成18年02月07日 第三小法廷判決 平成17年(受)第282号 建物明渡請求事件
【 買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産の占有の移転を伴わない契約は,特段の事情のない限り,債権担保の目的で締結されたものと推認され,その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である】も同じだ。

7 3月10日の朝日新聞記事もこの部類だ。
民事訴訟で、裁判所は当事者同士の主張を戦わせる審判役に徹するべきか、それとも不条理な結論が出ないよう当事者を手助けすべきか――そんな問題に最高裁は10日、「ある程度手助けすべきだ」との答えを示し、二審判決を破棄し、東京高裁に審理のやり直しを命じた。

若い裁判官ほど【法律】【書面】などを重視しすぎ、法を形式的に解釈しすぎる。その事件の実態や背後にある事実を見ないことを嘆く年配弁護士も多い。それを立証しようとすると形式【争点】だけに絞りたがる。年配弁護士の感覚と上記高裁判決が破棄されることと結びつく。

(もちろん若い裁判官でも最高裁裁判官以上に、実態を直視し、法の解釈、運用に柔軟な裁判官も多い
下級審の実態を直視した判決が、上に行くほど、硬直的になる場合も多い)

なお、今の最高裁は必ずしも法の運用、解釈に常に柔軟とは言えない。
消費者などの言わば「弱者救済型事件」では柔軟な解釈をするが、行政側には甘い判決となっているからだ。以下の判決がそれだ。

8 1審が市民を救済したのに、高裁が逆転させ、最高裁がこれを肯定した大法廷判決がそうだ。
【平成18年03月01日 大法廷判決 平成12年(行ツ)第62号、平成12年(行ヒ)第66号 国民健康保険料賦課処分取消等請求事件】

9 平成18年03月10日 第二小法廷判決 平成13(行ヒ)289 個人情報非訂正決定処分取消請求事件国民健康保険診療報酬明細書に記録された個人の診療に関する情報に係る京都市個人情報保護条例(平成5年京都市条例第1号)21条1項に基づく同人からの訂正請求につき市長が行った訂正をしない旨の処分が違法とはいえないとされた事例

10 同じ日の第二小法廷判決も行政側を救済した。
高松市が1999年に建設した市食肉センターを巡り、水質汚濁などを理由に地元漁協へ補償金5億5000万円を支払ったのは違法として、矢野輝雄・市民オンブズ香川事務局長(68)が増田昌三市長を相手取り、補償金全額を市に返還するよう求めた住民訴訟の上告審判決が10日、最高裁第2小法廷であった。 滝井繁男裁判長は「違法な公金支出とは言えない」と述べ、全額返還を命じた2審・高松高裁判決を破棄して、原告側の請求を棄却した。市長側の逆転勝訴が確定した。

ゼネコンが自民党に巨額の献金したことを高裁裁判官が肯定した。極めて形式論であった。最高裁の裁判官はゼネコンの献金実態をみてこれこそ、法を弾力的に、柔軟に解釈して高裁判決を破棄して貰いたいも
のだが、はたしてどうか。

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