弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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裁判員制度が導入されると裁判員の刑は重くなるという意見が弁護士の中では多い。

このような意見の背景には、最近の世論の重罰化傾向が裁判員の意識にストレートに反映するだろうという認識がある。他方、この意見には、キャリヤーの裁判官は世論の動きにあまり動じないという前提がある。

裁判官は世論の動向に左右されないかというと必ずしもそうではない。裁判官であっても、世間の動向が必ず反映される。その反映のスピードが遅いだけである。

死刑廃止の世論が支配的な場合の20年前や30年前は、死刑判決は少なかった。年間数件程度だった記憶がある。最近のように、残虐犯罪が多い世相で、死刑肯定論が支配的になると死刑判決が増え、年間十数件に増えてきている。

刑事事件の量刑に関する客観的で、万人が納得する基準などはない。
日本では従来の量刑例を参考にしているだけである。

量刑は、動機(被告人に同情すべき事情があるかどうか)被告人の生い立ち、計画性の有無、犯行の態様(残虐さの程度なども含む)反省の程度と内容、前科の有無、その他すべての事情を考量して決めると言われている。

同じ殺人事件だから、同じ量刑になるとは限らない。

キャリヤーの裁判官でも量刑になると相当のバラツキがある。
「地獄部」とか「仏の裁判官」とか弁護士の中で言われるほど、裁判官によって、量刑は異なる。これは裁判官の事件の見方、犯罪観、人生観などの違いであると言われている。

ある有名な大阪高裁の刑事の元裁判長と飲む機会があった。刑事の量刑について聞いた。

「私のA陪席は量刑はいつも厳しい傾向。他方B陪席は寛大傾向だった。事実認定にはお互い一致するが、量刑となると夜の10時、11時まで延々と議論が続く。私はじっと2人の意見を聞く。最後になっても一致しないので、次回に議論しようと何度、量刑の決定を持ち越したか」という話を聞いた。

その裁判長は「刑事の事実認定は理性だが、量刑は感性。人によって違う」ということを言いたかったのかも知れない。

量刑に関する客観的基準などがないとなると、裁判員の6名はその人の犯罪観や人生感や社会体験などによって左右される。その当時の世相にも左右される。これは裁判官も同じ。

キャリヤーの裁判官でも過去の量刑基準があっても、最後は、その裁判官の犯罪観や人生観に左右されるとすれば、今まで3名の人より、プラス6名の裁判員が量刑の決定に参加することになって、量刑が重くなるか軽くなるかは、ともかく、より多くの国民の意識が反映される点では、司法が国民に近くなると言える。

私は裁判員の参加により、必ずしも量刑が重くなるとは思わない。

今までは、キャリヤーの裁判官は過去の実例を持ち出し、重くすべき犯罪を「過去の量刑基準」に左右され、それほど重くせず、他方軽くすべき犯罪を「過去の量刑基準」に左右され、軽くしないなどの量刑があったように思われる。

毎日、毎日、刑事事件の判決をしているキャリヤーの裁判官は死刑判決以外は量刑にマンネリになっているように思える。過去の実例による基準どおりに、計算機に要件を当て嵌め量刑を決める。

他方、裁判員は一生に1回だけ、被告人に面と向かって刑の宣告をする。

自分の1票がその被告人の人生を大きく左右するとなれば、過去の実例にあまり拘らない感覚で量刑を決める。

キャリヤーの裁判官以上に慎重になる。
否、裁判官、検察官、弁護士は、そのように裁判員が判断できるように弁論すべき責任がある。

裁判員が入った判決が重くなっても、軽くなっても、国民は、雲の上の裁判官が決めた量刑ではなく、自分たちと同じ市民が入って決めた以上、その量刑を受けいれる可能性が広がったとも言える。

その為には、捜査機関が有する全ての証拠が開示され、その証拠に基づき分かりやすい弁論がなされることが前提である。この問題は別途

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