弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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≪総務大臣が2008年4月1日に拉致問題などの特定のテーマーでNHKに要請するのも憲法違反≫

新聞報道によると、この4月に総務大臣は、拉致問題に留意して放送するよう
NHKに要請するという。

NHK市民の会の原告達が、現在大阪地裁に、拉致問題などをNHKに命令したのは憲法違反だとして、総務大臣の命令の取り消し訴訟をしている。
http://nhk-shiminnokai.com/

ところが、総務大臣のNHKへの命令放送はこの3月末で終了する。
そうなれば、命令を取消する「訴えの利益」がなくなり、訴えは門前払いとなる。

昨年12月に放送法においてNHKへの命令は削除された。
しかし、自民、民主党は≪談合≫してNHKへの要請放送はOKという条文に修正した。NHKはこの要請放送に従うよう努力する義務まで規定された。

NHKへの監督権限を持つ総務大臣の、命令でも、要請でも、NHKが従わざるを得ないのは、当然。

もし、総務大臣が、NHKに≪拉致問題を放送しないように要請≫したとすれば、これは時の政権が吹っ飛ぶほどの大問題になるだろう。

権力を持つ者がNHKに、ある特定の問題を放送するように要請する場合は、OKで、特定のテーマーで放送しないように要請するのはダメとはならない。

「拉致」問題の放送要請が妥当かどうかではない。
権力を持つ者がNHKへ特定のテーマで要請することが憲法21条に違反するという立場。

どういうわけか、NHKへの総務大臣の特定のテーマーの放送要請が放置されている。

このようなことが常態化すると、次々政府は

「道路特定財源問題を特に留意して報道して欲しい」

「年金問題は放送しないよう」

「天下り問題は報道しないよう」

「連立問題は特に留意して報道する」

などの報道要請が許されることになる。

本日(3/17)「NHK市民の会」の弁護団で、要請放送も憲法違反の裁判を大阪地裁に提訴する方向で、検討を開始した。4月1日の総務大臣のNHKへの要請内容を見て、提訴に踏み切る予定。

訴訟の請求の趣旨は、おそらく

『総務大臣の2008年4月1日付きのNHKへの要請は違法(違憲)であることを確認する』となろう。

訴訟の性格は行政事件訴訟法4条の「実質当事者訴訟」

NHKに対しても、過去、及び今回の要請放送に唯々諾々と従った点に関する損害賠償も新しく提訴する予定。

弁護団は30名を上回ることになろう。

監査請求の提出時期に関する注目すべき最高裁判例がでた。

仙台市民オンブズマンの≪宮城県警カラ出張:返還訴訟で市民敗訴の2審破棄差し戻し≫判決である

公務員のカラ出張の場合に

≪どの程度の情報が開示されたら、住民は監査請求ができ、どの程度の情報では監査請求をするのが困難か≫に関する具体的な内容に関する判例である

最高裁判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36076&hanreiKbn=01

全文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080317153445.pdf

地方自治法の第242条  

1 地方公共団体の住民は、・・長・・・職員について、違法若しくは不当な公金の支出・・・・と認めるとき・・・・監査委員に対し・・・地方公共団体のこうむつた損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを監査請求することができる。
2 「 ・・・当該行為のあつた日又は終つた日から1年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」

自治体の公金がが支出されてから1年が経過すると、住民が知る、知らないに関わらず、原則的に監査請求が出来ない。それでは監査請求の立法趣旨が生かされない場合もあるので「ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」とした。

監査請求は早めに(地方自治11)で書いた。
http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/39580463.html

今回の仙台市民オンブズマンの最高裁事件の内容はほぼ次の通り。

宮城県警の幹部がカラ出張していた。
この疑惑について、仙台の住民が2000年5月31日に情報公開請求をした
(第1次公開請求)

その時は、県警は、日時、金額などの情報を公開したが、肝心の、≪誰が、どこに、何のために、どれ位の期間、旅行したか≫が,それぞれ墨塗りされて開示しなかった。

このような程度の情報公開請求では、公務員がカラ出張が行われていたかどうかは判らない。

そこで、仙台市民オンブズマンが、いろいろ調べ、どうらや、職員がカラ出張しているのでないかとして、相当特定して第2次情報公開請求をした。

2002年5月24日に、第2次情報公開がされた
これには、≪どこに、何のために、どれ位の期間、旅行したか≫が開示された

そこで市民オンブズマンは、2002年6月24日これらの4名の職員らに対して、カラ出張だから約380万円の金を返せという住民監査請求をし、それが却下されたので、住民訴訟を提訴した。

一審の裁判官は、これらの職員にカラ出張だとして、約60万円の返還を命じた。

ところが、世間知らずというか、権力に迎合する仙台高裁の3名の裁判官は、当時は、カラ出張出張が問題になっていたのだから、その日時、金額が明らかになった時期(第1次公開請求時)から相当の期間内に監査請求ができるし、すべきであるとして、一審判決を取消、住民の請求を却下した。

仙台高裁判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=05&hanreiNo=33453&hanreiKbn=04
全文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060817171509.pdf

≪地方自治法242条2項ただし書きの「正当な理由」の有無は,監査請求をした者が客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される場合には,そのように解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断されるところ,上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたときとは,監査請求をしようとする者が,住民として求められる相当の注意力をもってすれば認識し得た事実及び自ら認識し得た事実に基づき,監査請求の対象となる当該行為を何らかの指標をもって他の事項から区別し特定して認識し,何らかの事実に基づきその違法事由を特定して疑惑を提示することができる程度に至ったときを指すとした上,前記監査請求をした者が,県知事に対する公文書開示請求により開示された公文書によって,前記出張旅費の支出の存在を他の出張に係る旅費の支出から区別し特定して認識し,かつ,不正経理があると断定することまではできないものの事実に基づく相応の根拠のある疑惑を抱いて監査請求をすることが可能な程度に出張の内容を知っていたということができる時点から約10か月後にした前記監査請求には,監査請求期間を徒過したことに正当な理由がないとして,前記訴えを却下した≫


この仙台高裁の判決の上告事件が、本日の最高裁判決である


最高裁判決は,第1次公開請求時では、本件各出張が

≪架空のものであるかどうか≫

≪業務上必要のないものであるかどうか≫

を判断することは困難であったものというべきである。

この段階において原審が掲げる諸事実を根拠として本件各出張が架空のものであるなどと主張したとしても,その主張は単なる憶測の域を出ないものとならざるを得ない。

として、高裁判決を取り消した。

上記私のブログで
≪最近の最高裁における住民訴訟の判決傾向は、3〜4年前より住民側に厳しい内容になっている≫と指摘したが、今回の最高裁判決は極めて常識的判決。

おかしいのは、仙台高裁の世間常識のない裁判官達。
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≪宮城県警カラ出張:返還訴訟で市民敗訴の2審破棄差し戻し≫
毎日新聞からの引用

 宮城県警総務課がカラ出張を繰り返していたとして、仙台市民オンブズマンが当時の総務課長ら4人に約380万円の返還を求めた住民訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)は17日、オンブズマン側が逆転敗訴した2審・仙台高裁判決(06年2月)を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。
 オンブズマンは出張旅費について情報開示を2度受けた後、住民監査請求を経て提訴。2審は「住民訴訟の前提となる監査請求の期限を過ぎていた」として訴えを却下した。だが小法廷は「2度目の開示で出張先などが明らかにされるまで監査請求は無理だった」と指摘し、「期限後の請求には正当な理由がある」と判断した。
 2審は訴えを門前払いしたためカラ出張の有無などを判断しておらず、差し戻し控訴審で改めて審理される。05年の1審・仙台地裁判決は「94〜95年度の同課の出張47件のうち8件は違法」として約60万円の支払いを命じた。【高倉友彰】
 宮城県警訟務室の話 訴訟は係争中であり、今後の裁判を見守りたい。

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