弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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≪NHKはいつ、総務大臣の4/1要請放送を応諾したのか?≫
≪奇妙な事実が判明した≫

総務大臣はNHKに2008年4月1日に拉致などの報道の要請をした。それをNHKは同日応諾したと報道されている。

ところが、NHKはとっくに総務大臣の要請放送の内容が判明する相当以前から、この要請放送を応諾することにNHK内部では決めていた事実が判明した。

総務大臣の要請内容は、3/12の電波監理審議会にあらかじめ、諮問されている。諮問20号、21号。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/denpa_kanri/pdf/080312_2.pdf
おそらく対外的には、この前に、総務大臣の要請内容が確定したと思われる。

ところが、NHKは上記電波監理審議会の約2か月も前に、しかも総務大臣の要請の内容も不明の段階から応諾をすることにしていた。

1/16NHKは「平成20年度収支予算・事業計画・資金計画」をHPに公表した。この計画の中にNHKは、総務大臣の要請を受ける前提で
   33億4642万5千円
の国からの交付金を計上している。
http://www3.nhk.or.jp/pr/keiei/yosan/yosan20/pdf/syushi.pdf
(8P参照)

このうち
   33億2943万1千円
が「放送法35条による国からの交付金」となっている
http://www3.nhk.or.jp/pr/keiei/yosan/yosan20/pdf/siryou2.pdf
(8P参照)

何のことはない。

NHKは総務大臣の要請の内容がどのような内容であろうが、最初からこれを応諾する計画であったことが上記予算・資金計画から証明される。

NHKはこの奇妙な事実について、NHKの受信料を払う契約者に説明責任を果たす必要がある

名古屋高裁自衛隊違憲判決を「蛇足判決」とか「傍論判決」などと誤った批判をする人がいる。
これらの人達は本来の判決書のあり方を知らない人達である。

本来の判決書の形式、スタイルに関して論評する。

この判決について、原告側が勝訴、画期的判決と評価している
自衛隊の行為が憲法違反と認定されたからである。
http://www.news-pj.net/siryou/pdf/iraku-nagoyabengodan_20080417.pdf

他方、政府も勝訴したという。
原告達の請求は、
1 自衛隊をイラク、イラク周辺に派遣する行為を差し止める。
2 自衛隊をイラク、イラク周辺に派遣したことは憲法違反であることの確認する
3 国は原告達に金1万円を払え

であったが、その原告達の請求はすべて却下又は棄却されたからである。

今、はやりの「ねじれ現象」判決になっている。

日本において、裁判で訴えることができるのは、国の違法・違憲行為により、原告が何らかの救済されるべき被害を受けている場合にしか訴訟ができないという伝統的な解釈がある。

≪本件の違憲確認請求はある事実行為が抽象的に違法であることの確認を求めるもので、現在の権利や法律関係に関するといえず請求は確認の利益を欠き不適法で却下≫

 ≪本件の差し止め請求は防衛大臣による行政権の行使の取り消し変更またはその発動を求める請求を含む。このような行政権の行使に対し、私人が民事上の請求権を有すると解することはできず、訴えは不適法却下≫。

 ≪控訴人らの切実な思いには平和憲法下の国民として共感すべき部分が多く含まれるが、本件派遣によって具体的権利としての平和的生存権が侵害されたとまでは認められない。損害賠償請求で認められる程度の被侵害利益がいまだ生じているとはいえず、本件損害賠償請求は認められない≫

国の行為が憲法に違反するというのに、国が勝訴する判決は国民の常識に合致しない。

この根本は、我が国には、国の違法・違憲行為を、直接被害を受けた国民以外の国民が直接、「差し止め」「違法確認」を求める訴訟類型がなく、国家賠償という損害賠償という訴訟形式を取らざるを得ないからである。

その結果、国家の行為を差し止めする訴訟や違法行為確認の利益はなく、却下になる。他方国家賠償請求は、原告に損害がないから棄却となる。

直接被害を受けていなくても、訴訟ができる制度がある。

地方自治法の住民訴訟がその典型である。しかし国の違法行為を差し止めや違法確認を求める訴訟類型は、認められていない。

もし、地方自治法のような、訴訟類型が、国にもあれば、上記原告の請求の1、2は認められ、政府は完全敗訴になったことは明白。

国の違憲行為や中央官僚の無駄使いの是正を求める「国民代表訴訟制度」を立法化すべき時期にきた。

なお、一部政治家や、知ったかぶりの評論家などが、名古屋高裁判決に関して「蛇足判決」とか「判決の傍論で述べただけ」という批判をしているが、これは間違い。

名古屋高裁判決における自衛隊違憲の理由は「蛇足」どころでなく「本来判決すべき事項」であり「判決の傍論」でなく「判決の本論」である

金1万円の国家賠償の請求は適法な訴訟類型。

適法な訴訟が出された以上、裁判官はその原告の請求に応じて判決をしなければならない。このような事件の判決の普通の論理展開は次の通りとなる

1 自衛隊の行為が違法・違憲かどうかまず判断する。自衛隊の行為が違法・違憲でなければ、次の損害の有無の判断するまでもなく、「その余の論点を判断するまでもなく」原告の請求を棄却する

2 違法・違憲であれば、その自衛隊の行為によって原告達が損害を受けたかどうか判断する。損害がなければ、請求を棄却する

3 従って損害の有無を判断する以上、普通は自衛隊の行為が違憲と認定されたから、損害の有無の判断になったはず。自衛隊の行為が違法・違憲かどうかはともかく、損害の有無だけを判断するやり方は、普通はあり得ないはず。

名古屋高裁の判決は、国民の裁判を受ける権利を正しく受け止めた結果である。

今までのイラク訴訟の判決は上記1を判断しないで、2の損害がないから「その余の論点を判断するまもなく」棄却するという上記3の論理構成をとった。

これは国民が求めた請求をまともに判断するのでなく、「逃げた・ごまかし判決」である。

昭和20年代から40年代ごろまでの判決の多くは、名古屋高裁判決のスタイルをとっていた。国民が納得する判決を裁判官も心がけてきたからである

いつ頃か忘れたが、最高裁事務総局の官僚裁判官達から、判決の構成は、「原告の請求原因」「被告の認否」「被告の抗弁」「被告の抗弁に対する原告の認否」「被告の抗弁に対する原告の再抗弁」「再抗弁に対する認否」という事実整理の順序で判決理由を書く必要がないという論法が展開された。

表向きは「重要争点整理判決」とか「無駄な理由は書く必要がない」とか「結論に左右されない理由は不要」などという「省力判決」のすすめであった。

その結果、本当は国民が一番求めている内容について判断を放棄し、国民を負かす争点だけ拾いあげ、切り捨てる判決が出回った。

他方で、国民の要請する内容で判決する判決を「蛇足判決」とか「傍論判決」とか批判、揶揄する論調が増えた。

名古屋高裁の判決こそ、結論が良いから誉めるのではなく、判決理由スタイル面においても、正当な判決であることを評価したい。

(転載・転送・引用全て自由)

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