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最近、国や地方自治体の発注工事の落札率が著しく低下してきている。
これに危機感を持つ、業界や、政治家があれこれ発言するのは判る。
国の機関が、この低下を嘆くことは、本末転倒だ。
「公共工事の品質確保の促進に関する国の関係省庁会議」が、平成20年3月28日に
【国土交通省直轄工事の平均落札率が平成17年度以降急激に低下する等、過度の低価格入札、いわゆるダンピング受注が近年増加してしているところであり・・・・公共工事の品質確保に懸念が生じ、ひいては瑕疵の発生や維持保守費用の増嵩などライフサイクルコストの増大にもつながる・・・・政府は品確保にのっとり、総合評価方式の拡充に取り組くんできたが・・・地方公共団体では、遅れていること・・・から、政府は、必要な対策を迅速に進める】
とし地方自治体の入札においては
【国庫補助事業については、平成20年度以降、交付決定時に、品確保遵守について条件を付すこと(=総合評価方式の採用)を原則とする】
というビックリする内容が通知されていた。
国の補助事業(=例えば道路、橋梁、学校の耐震工事、下水道事業など)には自治体の仕事ではあっても、国から補助金が出る。
これらの事業には、地方自治体が総合評価方式を採用することを条件とし、それを採用しない場合は国からの補助金を支給しないという「通達」である。
地方自治体の入札をどのような形式で実施するかは、地方自治体の自治に属する問題である。
それへの介入は、地方自治を侵害する。
何故、国の省庁はこれほど、総合評価方式を導入するように熱心なのか。
総合評価方式を推進しているのは自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・古賀誠衆院議員)である。
岸田文雄自民党議員のHPにはこの経過が述べている。
【自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟制度検討部会(部会長・金子一義衆院議員)は2月14日、昨年12月の提言に対する関係省庁の施策を再度ヒアリングした。金子部会長は「地方自治体で総合評価方式が進んでいない。・・・・・・・・」との見解を示した】
http://www.waki-m.jp/column/column080218-03.html
【▽補助金の交付条件化を検討−なども自民党との会議で、省庁は提案している】
http://www.waki-m.jp/column/column080218-02.html
この自民党の議員連盟の介入があって、「公共工事の品質確保の促進に関する国の関係省庁会議」が上記3月28日通知を出したようだ。
国、自治体の入札は、一般競争入札の結果、談合ができず、落札率は低下した。せっかく落札率が低下し、税金の支出がすくなくなったと思ったら、価格以外の要素の取り入れとか言う総合評価方式という導入を強制しようとする。これは落札率を隠蔽する役割をもつ一面もある。
このような補助金の支出に関して、別の理由で制限するやり方は補助金適正化法違反ではないか。
第24条(不当干渉等の防止)
補助金等の交付に関する事務その他補助金等に係る予算の執行に関する事務に従事する国又は都道府県の職員は、当該事務を不当に遅延させ、又は補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等若しくは間接補助事業者等に対して干渉してはならない。
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/hojyokinntekiseikahou.htm
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建設新聞から引用。
国土交通、財務、総務の3省は31日、公共工事入札契約適正化促進法に基づき、各省庁や都道府県、政令市に対して要請文を通知した。自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟や公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議などの議論を踏まえ、全発注者に総合評価方式の導入拡大を求め、地方自治体には、予定価格、最低制限価格、低入札調査基準価格の事前公表を取りやめ、事前公表する場合、その理由を公表するよう要請した。市区町村には、都道府県を通じて要請内容を徹底する。
総合評価方式の導入拡大に当たっては、対象工事の考え方や年度ごとの実施目標を設定するよう明記し、自治体には「特別管理型総合評価実施マニュアル」を参考に総合評価方式の拡大に努めるよう要請した。
発注体制が不十分な自治体には、発注者相互の協力や発注者支援機関の積極的な活用により、必要な体制を整備することを求め、小規模な自治体には、県単位か自治体共同で学識経験者から意見を聴取できるよう都道府県からの支援を検討することを提案した。
ダンピング(過度な安値受注)の防止では、総合評価方式の対象工事で低入札価格調査制度や価格による失格基準を積極的に活用することを要請し、工事の品質確保や建設業の健全な発展に支障が出ないように最低制限価格や調査基準価格などを適切に見直すことも求めた。
また、予定価格は市場の実勢などを踏まえた適切な水準とし、「歩切りを厳に慎む」ことも明記した。
予定価格、最低制限価格、調査基準価格の事前公表については、見積もりもせず、公表した価格を目安とした不適切な競争が見受けられることから、それを取りやめるよう要請した。事前公表する場合には、その理由を公表することと追記した。
一般競争入札の拡大、総合評価方式の拡充の条件整備では、適切な競争参加条件の設定とともに、市場機能を活用した入札ボンドの導入を進めるよう求めた。
指名停止措置などの適正な運用を徹底するため、違約金特約条項の設定により賠償請求に努めることも明記し、請求金額については、合理的な根拠に基づく適切な金額の設定を求めている。
自治体には、国庫補助事業で損害賠償請求した場合、その取り扱いについて、補助部局と協議し、その指示に従うよう要請した。
適正な施工を確保するため、「ワンデーレスポンス」など現場の問題発生に対する迅速な対応を求め、関係者間の協議を実施して、発注者、設計者、施工者の連携の促進も求めた。
国交省は、この要請に合わせ、地方自治体向け総合評価実施マニュアルを改訂した。
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関東地方整備局と日本土木工業協会(葉山莞児会長)は9日、東京都港区の明治記念館で同局管内1都6県4政令市の担当者を交えて、「公共工事の諸課題に関する意見交換会」を開き、土工協側が総合評価方式の拡大と適切な運用について現状の説明を求めた。同局は「市区町村の導入率は20%程度にとどまっており課題となっている」と述べた。また、栃木県などが県発注工事や管内自治体で先進的に導入が進む自治体の状況を説明した。
土工協は、国土交通、総務の両省から地方自治体に対して、公共工事入札契約適正化促進法に基づいて総合評価方式の導入拡大を要請している点を踏まえて、現状の説明と見解を求めた。同局は、「都県との連携で環境づくりに努める」と話し、ホームページで導入状況の公表を始めたことを報告した。また、公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議による「公共工事の品質確保に関する当面の対策について」の徹底に向けて、地域ブロックごとの発注者協議会などで周知すると説明した。
栃木県は、08年度に県発注工事の6分野の全工事で総合評価方式を導入することや、31市町のうち既に9割が導入しており、08年度に全市町の導入に向けて地域ごとの委員会を設置することを報告した。千葉県は、県発注工事で200件、市町村も全体の4割の27自治体が要項の作成を予定しており、支援によりさらに割合を増やしたい考えを示した。
東京都は、都発注工事で300件以上を目標とし、市区町村に対しても、周知や学識経験者として参加することなどの支援を継続する方針を説明した。横浜市は20件を実施した07年度以上、さいたま市も70件程度の目標件数を示した。
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